表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1イニングのエース  作者: 冬野俊
シーズン開幕
86/171

六回裏の攻防 7

大八木が投げたカーブは真ん中から低めへと落ちていく。三反崎は必死だった。何故なら、当初からカーブを狙い球としてずっと待っていたからだった。しかし、ボールは予想以上に変化し、今にもワンバウンドしそうなほど落ちていく。


三反崎はすでにスイングを始めていたが、その急激な軌道の変化に対応できず、体勢を傾かせながら、それでもボールに食らいついた。



「打てえー!三反崎ーー!」



ベンチから聞こえたのは森国の声。


その声で三反崎の気持ちが吹っ切れた。


「うおぉぉー、当たれえぇぇぇー!」


普段は闘志をそれほど表に出さない三反崎だったが思わず声が出た。その声に呼応するかのように、振り始めていたバットはワンバウンドしたボールを再び地面に叩きつけるかのような角度で当たった。

三反崎は一度打席内でよろめき倒れたが、すぐさま立ち上がって走り出した。



「石川ーー!走れえぇー!」

ベンチから再び発せられた森国の声。三走の石川はその打球が叩きつけられたのを見て迷わずスタートした。打球は少し高いバウンドになったものの、大八木の真正面。


大八木はしっかりと補球してキャッチャーへと送球する。石川はホームベースに、回り込むようにヘッドスライディングした。キャッチャーは大八木からのボールを受け取ると、少し距離があった石川に向かって飛びつくようにタッチに行く。


タイミングはほぼ同時。





「セェーーフ!セェーーフ!」




「うおっしゃあー!」

天を仰いで喜ぶ石川に、観客からのこの日一番の大歓声が降り注いだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ