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1イニングのエース  作者: 冬野俊
シーズン開幕
76/171

ギア

四回裏。ダイヤモンズの大八木は眠りから覚めた獅子のように、レッドスターズ打線を手玉に取った。


一人目の真木は緩急を付けられた投球を捉えきれずショートゴロ。


ベンチに帰ってきた真木は「とうとう本領発揮ですね」と独り言のように言う。


「一打席目とは違う?」


相沢が訊くと、真木はバッティンググローブを外しながら「全然違いますね」と苦笑いする。


「初打席の時より、スピードも変化球のキレもアップしてると思います。何より気迫が恐ろしいくらいに感じられますよ」


それはベンチからの観察でも明らかだった。


大八木はギアを一段階上げたのだ。これはレッドスターズを舐めていたわけではない。大八木ほどの完投型投手となれば、力を入れるところ、抜くところを必ずつくる。そうでなければ、スタミナが持たないからだ。

だからこそ頭脳派の投手は、ペース配分と力の入れどころを天秤に掛けながら、試合を投げ抜いていく。


だが、走者がいない状態の先頭打者に対してもギアを上げたと言う事はつまり…


「大八木はスタミナが持つ限りのところまで投げ、限界がきたところで、リリーフに後を託すと決めたんだ。そう、完投を諦めた」


相沢のその分析は的を射ていた。


球界ナンバーワンの大八木が全て全力で投げれば、それこそ苦しい戦いになるだろう。


ダイヤモンズは救援陣も優秀で、六回まで投げ切れば七、八、九回とそれぞれ専門の救援投手がいる。


レッドスターズとしてはなんとか大八木攻略の糸口を見つけ出したかったが四回も結局、三者凡退で終了。


予想はしていた接戦に持ち込んだものの、まだ1点のアドバンテージでは安心できない。


そんな不安を抱くレッドスターズに、ダイヤモンズの打線がとうとう牙を剥いた。

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