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1イニングのエース  作者: 冬野俊
シーズン開幕
62/171

驚愕の起用

「おお!やればできるじゃないかー!」

「ナイスピッチングじゃー!」


ファン達は、シャットアウトを決めた相沢に大きな拍手を送った。


相沢はチームメート達にグラブでハイタッチをしながらベンチへと戻る。



ベンチに帰ってきた相沢を森国はねぎらった。

「ナイスピッチングだった」



相沢の投球の真相について知っているのは、チーム内では森国のみ。捕手の辻も何かは感じているかもしれないが、この段階ではまだ具体的な答えは出ないだろうと思われた。



相沢は自らの意思で、すべてのコース、球種、フォームを理論的にその場で選択し、ダイヤモンズ打線を打ち取った。それを森国は知っており、目の前で実演されたのだ。だからこそ、森国はここで相沢の本当の実力を確認できた。




一方、ダイヤモンズにとってはどうか。

相沢が伊達に対して、最後のボールに選んだのはトルネード投法からのフォークだった。


織田、徳川にはストレート(に見える正体不明のボール)一本だったのに対して、伊達に関しては3球とも目に見えた変化球。しかも3球目は投球フォームすら変えてきた。



ここまででダイヤモンズが相沢に抱いたイメージは



「謎」



まさしく、それである。


対戦するまでにも掴み所のない部分があったが、実際にそのボールを見てみて、さらに巨大な霧の迷路に迷い込んでしまった。



相沢のフォームはアンダースローなのか、それともトルネードなのか。持っている球種は?決め球は?



それらの答えはまだ出そうにない。


ダイヤモンズの大八木は流石にエースなだけあって、球威のある直球と変化球を巧みに織り交ぜながら、打者を打ち取っていく。レッドスターズは三者凡退でチェンジとなり、再びダイヤモンズの攻撃を迎えた。




そこで動いたのは、森国だった。


森国はベンチを出ると、ホームベースの近くにいた主審を呼び止め、なんと、投手交代を告げたのである。


「ピッチャー、相沢に代わりまして、坂之上。背番号18」



これが森国の考えていた奇襲だった。

先発の相沢に1イニングをぴっちりと抑えてもらえれば、それだけで相手チームへの動揺、プレッシャーを感じさせることができる。



そして、奇襲はこれだけでは終わらない。



「まだまだ、終わらんよ」


そう、森国は意味深かげに呟いた。

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