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1イニングのエース  作者: 冬野俊
挑戦への第一歩
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森国の苦悩

村瀬二軍監督の言う通り、森国には、真木はまだ成長途上のように見えた。


現段階でショートにはベテランの隅田という選手がいたが、すでに35歳。昨シーズンからコーチを兼任しており、恐らく今シーズンでの引退を決意しているであろうことは、昨年まで同じような立場だった森国には分かっていた。そして、全盛期の頃の身体のキレは最早、失われていた。


まだ成長しきっていない若手か、ピークを過ぎたベテランか。森国にとっては悩ましい問題だったが、結局結論は出ず、二人ともをベンチに入れて、様子を伺うことに決めた。


村瀬は「もっとじっくり育ててから一軍に上げたいのですが」との申し出はあったが、チーム事情を鑑みると悠長な事は言ってられない。


石川については一軍に上げることを伝えたが、まだ守備の詰めが甘すぎる。幅広い守備範囲で、長打を単打にする事が出来たとしても、アウトにできた方が良いには決まっている。開幕までの時間はあまりない為、こちらは徹底的な守備練習で細かな部分を教えていくしかなかった。



ライトのフランケルは手術からの回復が思ったよりも早く、開幕直前にはチームに合流できそうだとの報告があった。


捕手候補は昨年までの正捕手だった蔵前、それと3年目の辻がポジション争いをしているが、こちらはいずれも帯に短し襷に長し。開幕でもどちらを出場させるかは難しい決断になるだろう。とりあえず、ここはもうどちらかに頑張ってもらうほかない。



問題は唯一埋まっていないサードだった。



昨年までは森国が守っていたポジションであり、引退までほぼ、そのサードという位置を明け渡した事はなかった為、現段階で抜けたところに入る選手が、これまた大きな課題だった。



「あとは、サードだなあ」


森国はどうすればこの難問が解決するか、答えを探していた。


まず一つ目のパターン。

ショートの隅田か真木のいずれかをサードに回す。


二つ目。

それ以外の内野手をサードに回す。


三つ目。

二軍から有望な若手を引き抜いてくる。




これぐらいだろうか。


ただ、前日に二軍の選手を見た限りでは他に有望そうな選手はおらず、サードに回れそうな内野手も居ない。


または石川をサードにという選択肢もない事はないが、それでは守備範囲の広さを十分には生かせないだろう。



となると、真木か隅田かになるが…。



その時間は森国にとって長いように感じられた。


その末に出された結論は




真木をサードに据えるという決断だった。


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