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1イニングのエース  作者: 冬野俊
挑戦への第一歩
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開幕投手

開幕戦は昨シーズンの優勝チーム、関東ダイヤモンズに決まっていた。


エースの大八木は球界屈指の投手で、その安定感は昨年の20勝4敗という成績からも読み取れる。右上手で速球は145キロ前後だが、制球力が抜群。変化球のキレも申し分ない。


今年に入ってからも調子は落としておらず、ダイヤモンズの開幕投手が大八木である事はほぼ確定していると言っても良かった。


森国が抱いた構想は、その日のうちにレッドスターズの投手陣全員に伝えられた。



キャンプ地のホテルの一室で、極秘ミーティングを行い、一軍の投手全員を集め、森国が開幕での作戦を伝える。


「ほ、本気ですか、監督?」


相沢が驚くのも無理はなかった。

投手陣の中で一番驚いたのは相沢だっただろう。





何故なら、レッドスターズの開幕投手に指名されたのは、相沢だったからだ。


「ああ、本気も本気だ。そして、うちが今シーズン、リーグ優勝を真剣に狙いに行くという姿勢をダイヤモンズだけでなく、うちのファンの人たちにも示さなければならない」



「で、でも、うちには坂之上さんというエースがいるじゃないですか?」



投手の中で唯一、じっと聞き耳を立てていた坂之上だったが、意外にも森国の意見に対しては賛同しており、確認の意味を込めて、森国に問いかけた。


「これは、開幕戦を勝ちに行くための作戦ですよね。そして、相沢が先発しなければ、この初戦はものにできないと」


森国は深く頷く。


「もちろんだ。これはある意味で奇襲だ。王道の戦い方ではないかもしれない。ただ、これまでと同じことをやっていたのでは、初戦に必ず負ける。もちろん坂之上、お前はうちのチームには欠かせない、エースであり、大黒柱だ。だからこそ、お前の力を最大限に活かすための作戦が必要になると思ってな」



森国はそう言った後、開幕戦での具体的な戦い方について選手たちに伝えた。


最終的には相沢も了承し、投手の方はこれで目処が立った形になる。



あとは野手だった。


二軍監督から昨年のドラフト2位で入団した、真木が調子を上げてきているという報告は受けていた。


大学から獲得し、走攻守揃った即戦力として期待していた選手の一人。

もし真木がレギュラーを獲得すればショートのポジションは確保できる。


昨年四番を打っていた外国人枠のフランケルは、左膝の手術から復帰途中で、もしかすれば開幕にも間に合うかもしれない。


そうなればライトの枠も埋まりそうだ。



あとはセンターがどうしても必要だった。守備範囲が広く、状況判断ができ、周囲に指示出しも可能な選手。



森国は悩んだが、ここについてはどうしても閃かない。



「何かいい案は無いだろうか」



そうやって悩んでも結論は一切出なかったため、森国は翌日、直接二軍のグラウンドに行って選手の仕上がり具合を確認しようと考えたのだった。

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