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1イニングのエース  作者: 冬野俊
布石
150/171

同じフォーム

試合は進み終盤の7回裏。ここでマウンドに立ったのは相沢だった。


1ー2と点差はわずか1点。「どうしても流れを変えたい」と考えた森国は相沢をグラウンドに送った。


ここまで相沢が登板したのは僅かに5試合。これは森国と相沢が話し合って決めた温存策であった。シーズン前半は極力投げる機会を減らし、終盤に向けて登板を増やしていく。そうでなければ、相沢の魔球の正体がバレてしまうという危険性があったからだ。


6試合目となったこの日。相沢はブレイブス打線と相対した。

ブレイブス側も実際に相沢のボールを目にするのは初めてとなる。


一人目の打者はブレイブスの三番、早稲田。大きく振りかぶった相沢はアンダースローでど真ん中にボールを投げ込んだ。早稲田は余りの絶好球に思わずバットを振りにいく。


カツッ。


乾いた音の後に、早稲田の左膝に鈍い痛みが走った。


「何故だ」


プロの選手になればど真ん中のストレートが適度な速度で来ればミートすることは難しくない。

しかし、早稲田の打った球はバットの下側に当たり、自身の膝への自打球となった。


二球目。今度も同じコースにボールを投げ込んだ相沢だったが、ストレートではなかった。

ボールはベースの直前で内角に食い込みながら落ちていくシンカーだった。

裏をかかれた早稲田だったが、無理もない。相沢はストレートと全く同じフォームで、ほぼ同じスピードのシンカーを投げたのだ。初球のストレートの残像が残っている中で、早稲田はボールを引っ掛け三塁ゴロに打ち取られた。


結局、早稲田は初球のストレートを打ち損じた理由を見つけ出すことができなかった。

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