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1イニングのエース  作者: 冬野俊
布石
145/171

追求 1

その頃、東洋スポーツの吉村は出来うる限りの人脈を使い、五十嵐の野球賭博について調べていた。

しかし、あまりに口の軽い人物には迂闊に「賭博のこと知ってます?」とは聞けない。どこから他社に情報が漏れるか分からないからだ。


慎重に、それでいて大胆に調べて行く必要がある。


最初に探りを入れたのは、ネタ元としている一人の情報屋だった。付き合いも古く、賭博の情報が漏れる心配がないというほどに信頼している人物だ。しかし、「最近プロ野球界の方面で変わったことはないか?」と尋ねても、出てくるのはいわゆる熱愛関係のスキャンダルネタばかり。話していても本当に賭博に関してのことは知らないように感じた。


次に探りを入れたのは、三年前まで東洋スポーツの記者をしており、現在はフリーライターになった吉本という男だった。


名前が似ていることに加え、入社してすぐの研修期間に、吉本が吉村の指導役を務めていたこともあって、吉本が会社を辞めてからもたまに連絡を取り合う仲だった。


「お久しぶりです」


「おお、久しぶりだな。元気でやってるか?」


電話の向こうからは相変わらず優しげな声が聞こえてきた。

「自分は元気ですけど、会社は厳しいみたいですよ。まあ新聞は斜陽産業って言われてますからね。吉本さん、フリーになって正解でしたよ」


「バカだなあ、フリーなんて本当に生活ギリギリだぞ?俺は斜陽産業でもそっちの会社に戻りたいよ」


吉村は笑って「またまた」と答えたが、フリーが厳しいというのは案外、本音のように聞こえた。基本的にフリーライターは収入が安定していない。一方、傾いていようが新聞社は未だに高収入の仕事になるだろうからその差はもしかすれば大きいかもしれない。


「あ、ちょっと聞きたいことがあって電話したんですけどね」


「ん?なんだ」


「実はですね…野球賭博の話とかって最近聞いてませんか?」


「野球賭博?」


吉本の声が明らかに変わった。

先ほどよりもわずかに低く、それでいて真剣な声。



吉村が森国から話を聞いた時のように、きっと吉本の胸も高鳴っているのだろう。


そんなことを考えながら吉村は今回の概要を話し始めた。

新たに相沢の高校野球監督編を連載開始しました!


こちらもよろしくお願いします!


https://ncode.syosetu.com/n5005ey/

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