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1イニングのエース  作者: 冬野俊
布石
144/171

野次

対神奈川ブレイブス二連戦の第二戦。先発メンバーに森国の名前は無かった。復帰初戦を鮮やかに飾った翌日で、ファンたちは当然、第ニ戦も出場するものだと思っていたが、その予想は裏切られた。


森国は広報係に「吉村から何か連絡があれば伝えてほしい」と頼むとベンチに入った。


相沢以外のチームの選手たちには時期尚早と考えて五十嵐の件は伝えてはいなかった。しかし、僅かな出来事からチームに波風が立つことになる。



試合開始まであと10分ほどとなった頃、ちょうどレッドスターズベンチの真上のスタンドから罵声が飛んだ。


「おい!レッドスターズは八百長球団だぞ!」

「野球賭博に関わってるんだろ!?」


森国が慌ててベンチの外に飛び出すと、他の選手たちもつられてグラウンドに出て、スタンドを見渡した。


スタンドにはチンピラ風の男が二人、立って大声を上げていた。何処からか警備員が慌ててやってきて男たちを止めるが、一人ではどうにもならず、その後続々と他の警備員たちが駆けつけて取り押さえようとした。


しかし、チンピラ達は警備員の隙をみて逃げ出し、球場の外へと消えていった。



「おいおい、なんだあのチンピラは?」


鮫島が首をひねると栃谷が「そう言えば野球賭博がとか、八百長がとかいってませんでした?」と思いついたように口を開く。


かつて八百長の濡れ衣を着せられた鮫島は誰かに指摘された訳でもないのに「俺は関係ないぞ」と慌てる。


「当たり前だろ?そんな事思ってないって。いくら弱くても八百長なんかするやつはうちのチームにはいないだろ?」


栃谷のその言葉を聞き、森国は迷った。


五十嵐の事を言うべきか、言わざるべきか。


だが、そうこうしているうちに試合開始が迫り、森国は言い出すきっかけを結局は失ってしまったのだった。



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