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1イニングのエース  作者: 冬野俊
布石
136/171

信憑性

「どうでしたか?」


そう問いかけたのは黒坂だった。黒坂が居たビルの屋上には、週刊芸能の奈良原の姿もあった。いよいよ夏に向けて気温が上がって来ている時期だったが、黒坂はスーツをきっちりと着こなしている。奈良原は「暑そうだ」という心の声を口に出すことなく、結果のみを報告した。


「ええ、球団事務所に話は通しておきましたよ。ただ森国監督は『うちの選手はやっていない』と言ってました」


「なるほど。ですが、このネタは事実なのでしょう?」


奈良原は遠くの山に目をやる。


「もちろん、こちらもある程度信頼のおける情報でなければ掲載など出来ませんよ。ただね…」


「ただ、何ですか?」


「ただ、世間様にとっては情報が正しいか正しくないかなどは大して重要ではないんですよ。世間が求めているのはいろんな人たちが対立している姿、謝る姿、みすぼらしい姿、困っている姿、なんですから」


「まあ、そうでしょうねえ」


「だからこそ私たちみたいなヤクザな商売が成り立つんでしょうけど」


奈良原に対し、黒坂が歩み寄り、封筒を渡す。奈良原は中身を見ずとも、その重さを確認して懐のポケットに入れた。


「ありがとうございます。またご協力出来ることがあれば、力を貸しますよ」


そう言って奈良原はビルを後にしたのだった。

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