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1イニングのエース  作者: 冬野俊
布石
133/171

謎の人物

ダイヤモンドを一周した森国を、球場の大歓声が出迎えた。

ここに集まったファンの数とこの響く声援が、ファンがどれほどまでに森国の復帰を願っていたかを示していた。


それを森国自身も感じたことは言うまでもない。ベンチに居たチームの選手達とハイタッチをしながら自分もベンチの中へと入っていく。


ベンチのムードも開幕戦以来の盛り上がりを見せていた。いくら、桜井が復帰し、相沢という切り札を得たとしても、選手達の心の中にはやはり、「大丈夫なのか?」「このチームで優勝できるのか?」という不安は常につきまとっていた。

もちろん、その不安が完全に消え去ることなどない。シーズン終了までその重圧と戦うことになる。さらには、終わってみなければ真の勝者が誰になるかなど分からない。



勝負事というのは、その様なものなのだ。


チーム内の雰囲気が変化を見せたことに森国は安堵した。森国が心から欲しかったのは自分の結果ではなく、自分がプレーすることによるチームの変化だったからだ。


そしてこの日、レッドスターズは森国の復帰を5-1の勝利で飾ることが出来たのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



レッドスターズが森国の本塁打で先制したその時、バックネット裏に座っていた一人の男が唇を噛み締めていた。


細身のスーツに身を包み、髪は丁寧に整えられている。眼鏡の奥の切れ長な眼と合わせると、一流企業の営業マンの様だ、と言った方がしっくりくるだろう。


この男にとっても、森国の復帰は大きな誤算だった。


男が携帯電話を胸ポケットから取り出す。


「もしもし、黒坂です。ええ、はい…」


電話先と一言二言交わした後で「分かりました」とだけ答えて電話を切った。




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