ライバルとの戦い 2
快調に投げ進めていた桜井。その前に立ちはだかったのが、ダイヤモンズの羽柴である。
桜井の腕には一層、力が入っていた。何故なら、羽柴は桜井にとって、また桜井は羽柴にとってのライバルだったからだ。
この二人の関係は高校時代にまで遡る。
広島東陵高校の桜井、京央大成徳高校の羽柴は二年春の選抜大会と三年春の選手権大会の二回、甲子園で対戦していた。
春の選抜は三回戦で対戦し、桜井は2失点で完投し、チームは勝利。羽柴は4打数無安打に抑えた。しかし、夏の選手権は準々決勝での対戦となったが、夏初優勝を目指した広島東陵の桜井を羽柴が見事に打ち崩した。4打数3安打1本塁打と、桜井にとっては完敗とも言える内容で、高校野球生活に終止符を打たれた相手となった。
ともに高校を卒業し、プロ野球入りしてからも同世代の二人の対決には常に注目が集まった。対戦成績は一進一退。お互いにとって存在が刺激を与え、二人ともが何度もぶつかり合いながら、年々さらに力を蓄えていった。
それから数年が経ち、状況は変わった。方や球界屈指の打者、方やメジャーで活躍する投手となり、一時は対決が休止となった。
しかし、桜井の日本球界復帰により、再び対戦が実現したのである。
この日の広島ドームはその二人の対決を楽しみに観戦に来たファンたちも多かった。それだけ、注目を集めていた『戦い』だったのである。




