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1イニングのエース  作者: 冬野俊
シーズン開幕
105/171

ミーティングルーム

坂之上と森国の対談からほどなくして、ミーティングルームにはチームの選手全員が呼び出されていた。


「いいか、ちょっと聞いてほしい」


部屋の前方に立つ森国は怪訝な表情で選手達をぐるりと見渡す。


「突然、呼び出したりして申し訳ない。だが、大切な事なんだ」


選手達も森国の言葉を静かに聞いている。


「実はな、坂之上のことなんだが…しばらくはチームから離れる事になった」


相沢が「もしかして、何かあったんですか?」と質問すると森国は一つ頷いて続けた。



「坂之上は、病気だ。それも…脳腫瘍らしい」


選手達は言葉を発することができずに息を呑んだ。


「今後については恐らく手術をする事になると思う。早急な手術が必要で、もし治ったとしても選手として復帰できるかは分からんそうだ」



相沢の嫌な予感は当たっていた。


もし、これが相沢の思い過ごしであればどれだけ良かっただろう。だが、結果的にではあるが、相沢が練習中に坂之上の異変に気付いていなければ発見できなかったかもしれない。


「治る見込みはどのくらいあるんですか?」


栃谷の疑問に森国は明確な回答はできなかった。


「本人からは『分からない』とだけ。脳腫瘍という病気そのものが、大変なものだ。場合によっては手術ができないパターンもあるらしい。まだ、手術ができるだけでも幸運だったのかもしれない」


しばらく、ミーティングルームには重苦しい沈黙に包まれた。


その後、森国からは「マスコミへは会見で知らせる」ということだけ伝えられ、ミーティングは終わった。



チームは未だ最下位。どん底の状況でエースが離脱となれば、さらに士気は下がる。


どうすれば今シーズンを戦い抜くことが出来るのか。森国は悩んでいたが、その不安を打ち消したのは3日後に掛かってきた一本の電話だった。

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