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検査結果2
「検査結果は…やはり脳腫瘍でした」
言葉を返せない森国。坂之上はそんな森国を気遣ってか、悲壮な表情を浮かべることなく、諭した。
「やめてくださいよ、僕の方がショックなんですから。とりあえず、一日も早く手術をする事が必要だそうです」
森国は眉間にしわを寄せる。
「治る…のか?」
「それは…分かりません。もしかしたら、治ったとしても脳ですから、後遺症が残れば、プロ野球界に復帰できるかも分からないそうです。本当なら即入院だったんですが、最後にこの球場は見ておきたくて、無理を言って入院を延ばしてもらいました。だから、チームのみんなにも森国監督から話をしてください」
大きく溜息を吐いた森国。
「チームのみんなには何と言えばいい?」
「ありのままを、伝えてください。マスコミには病名を伝えていただければ構いません」
「そうか」
立ち上がった森国は坂之上の肩を叩く。
「必ず治せよ。もし、選手として復帰できなくても、俺が監督の間はコーチで雇ってやるから」
坂之上は「ありがとうございます」とだけ言って微笑み返した後、ゆっくりとした足取りで事務所を後にした。




