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1イニングのエース  作者: 冬野俊
挑戦への第一歩
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ドラフト会議

野球の小説を書き始めることにしました。いつまで掛かるか分かりませんが、のんびりと書いていきたいと思います。

ドラフト会議は大詰めを迎えていた。すでに上位指名は終わり、十二球団中、十一球団が指名を終えていた。


最後に残っていたのは、広島に本拠地を置く中国レッドスターズ。ラストの指名は、例年通り、そのまますんなりと終わるかに見えた。


「中国レッドスターズ、第八回選択希望選手…相沢俊佑。二十八歳、投手、北陸出版」


会場内に騒めきが起こった。まず年齢である。二十八歳での指名は通常から考えると明らかに遅い。もし、高校、大学、社会人のいずれかで実績を残し、活躍していたなら早々と目をつけられていたはずである。


だが、他のチームのスカウトたちは皆一様に首をひねっている。「そんな選手、居ただろうか」と。


一方、指名した中国レッドスターズの監督である森国慎吾はニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。監督に就任したばかりの森国はまだ四十歳と若い。


今年までレッドスターズの四番を打ちながらコーチを兼任していたが、前監督が成績不振を理由に自ら退くことを決め、森国も同時に引退を表明したことから白羽の矢が立った。


森国は思っていた。出版社に勤務する二十八歳の投手など、誰もが予想できないだろう。だからこそ、価値がある。


これから他のチームが情報を集め出すかもしれないが、ドラフト八位の無名選手を探ることにどれだけ労力を割くだろうか。物珍しさから最初こそ興味を抱くかもしれないが、わざわざ深く調べる必要もないとすぐに感じるだろう。


表面的にはこれまで「結果」や「実績」という言葉からは程遠い選手だったのだ。そのため、調べても何も出てこないはずだ。分かってもせいぜい、草野球チームのエースだったということぐらいだろう。


今年はチームにとって大切な年だ。リーグ優勝からは実に二十年以上遠ざかっている。ここ十年は万年Bクラス。ただ、そういう状況だからこそ、思い切った挑戦が出来るのだ。


チーム内では森国だけがこの時、本気で頂点を狙っていた。


そう、これまで届かなかった「日本一」を。

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