朝の光 メロディーを熊たちと 22
この学校の初めての音楽コンクールは
普通の学校のように
楽しく笑いあい励まし合い仲良く始まった。
バンドを組んでロックミュージックを奏でる者たち。
クラス集まって合唱をする生徒たち。
オペラなのかミュージカルなのかわからないが
ストーリー仕立ての劇。
少人数の仲良しハーモニー。
吹奏楽部のメンバー。
もうどんな編成でコンクールに臨むのかという垣根はいつの間にか
無くなっていた。
クラスで組んだり、友だち同士だったり
一人でいくつものグループに入っていたり。
美奈香はクラスのアカペラでリードボーカルをやった。
熊はバスドラム、陽介はベース、翔はボイスパーカッション
彼らが中心になってコーラスがまとまって
音が集結して一つになった。
いいクラスだなとゆりあは思った。
でも、彼らが一番で優勝というのはどうなんだろう?
ちょっと出来すぎって感じかもしれないなぁ~
そう思っていると
「ここで、飛び入り参加がありま~す」
翔の声が響いた。
「人はいろいろな経験をしてそれを乗り越えて成長します」
陽介の落ち着いたナレーションのような声。
そして熊五郎がマイクを持って檀上に立った。
この子はなんでこんなにも、舞台上からマイクを
持つのが自然に受け止められちゃうのかしら。
ゆりあは、熊五郎が話始めるのを聞いた。
「こんな舞台を夢見たまま卒業しちまったんで後悔が残ってる、先輩だ。
な訳なんで、今回ここで演奏してもらう事にしました。みんな聞いてくれ!」
そこには、染谷くんと南里くん、そして由芽香が立っていた。
三人は深々と礼をすると
染谷くんはギターを南里くんはベースを由芽香はキーボードを。
そして、翔と陽介がドラムを引っ張り出してくると
そこに熊五郎が座った。
「きゃ~~!がんばって~~~」
黄色い声援は美奈香だ。
そして、三人はメロディーを奏でた。
ゆりあが聞いたことのあるメロディー。
懐かしい忘れていたメロディー。
あの頃の愛しいメロディーを。
次回、4月17日です。