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第一話 変わらない日常

……コ……ウ…………タ……ケ……


(え…)


……コ…ウ……キ……タ…ス…ケ…テ……


(だ、誰!?)


…………タ…ス…ケ…テ……コ…ウ…キ……


………………助けて!!


「うわぁ!?」


突然聞こえた声で少年は目を覚ました。


「はぁ…はぁ…今の何だったんだ…」


少年はその声に身に覚えを感じたが、不意に自分の布団に触れた瞬間に我に戻った。


「あぁ…布団が汗でびっしょりだ…洗濯しないと…」


「光輝起きてるの?朝ご飯出来てるわよ」


一階から聴こえてくる声は僕の母親だ。


「光輝起きてないの?朝ご飯食べれなくなるわよ!」


その声はだんだん大きくなってくる。

そろそろ起きる事にするか。


「分かったよ、今行く」


俺は身支度を整え、階段を降りて行った。


階段を降りるとテーブルには母と父、妹が既に朝食を食べていた。


「光輝、早く食べないと遅刻するわよ」


さっきから俺の名前を言ってくるのは俺の母親の高嶋直子たかしまなおこ。母さんはいつもうるさいが、家族を一番に気に掛けている存在だ。


「分かってるよ母さん。…父さんおはよう」


「あぁ光輝、おはよう」


朝から新聞を読んでいるのは父親の高嶋正夫たかしままさお。父さんは普段とても物静かなんだけど、とても仕事熱心で怒ると怖い。


「ねぇねぇお兄ちゃん~そのウインナーいらないなら頂戴!」

「いや、これ後で食べるつもりだったんだけど…」

「えぇ…なら先に食べてよ…要らないかと思った。」

(おいおい…飯食べる順番くらい決めさせてくれよ…)

「…分かった、やるよ」

「本当!?ラッキー!ありがと〜」


朝から五月蠅いこいつは俺の妹の高嶋響たかしまひびき。今年から中学3年生になるのにまだまだ甘えん坊な奴だ。早く大人になって欲しいと思っている。


「光輝、響と喋ってないで早く学校行きなさいよ」


そんな感じで響と話していたら時間が来たようだ。


「うん…じゃあ行ってくるよ母さん、父さん、ついでに響」


「ついでにって何よ!」


俺は半分残っていた牛乳を一口で飲み干し、鞄を持って玄関を出た。





俺の名前は高嶋光輝たかしまこうき。歳は16歳で今年から高校生になり、今日から東橋高校での初の授業が始める。

そして俺は今、授業初日から遅刻しそうになっていた。


「あぁくそっ!何でもっと早く起こしてくれなかったんだよ母さん!!」


いつものように母さんに言い訳をしながら慣れない道を走っていく。


(頼むから間に合ってくれ…!)


そう思いながら走っていると、前にある十字路の手前に小さな小道があるのを見つけた。


(お、ここから行けば近道出来るかも)


しかし朝とはいえ、その小道は少し薄暗く、気味悪い感じがした。


(うーん…あまり行きたくないけど、ここから行けば間違いなく遅刻は逃れる事が出来るしな…)


数秒間悩んだ結果、初日から遅刻だけはしたくなかった為、小道を通ることにした。


小道に入ると、見える限り一本道が続いており、やはり薄暗いせいか、人は誰一人も通ってはいなかった。


(こんな道があったのか…知らなかったな…でもこれなら時間に間に合いそうだな)


暫く一本道を進んでいると、数メートル先の右側にいかにも古そうな家らしきものが建っている事に気付いた。


(やっぱりこの辺は古家が多いな…)


そう思いながら家の前を通り過ぎようとした瞬間、誰も住んでいないだろうと思っていた家の中に女性らしき人がはっきりと居たのが見えたのだ。


「えっ!?今のって…」


俺はその古家で完全に足を止め、暫く立ち止まっていた。しかし、もうそこに居た女性らしき人は既に居なくなっていた。


「今のは間違いない…でも何で此処に…」


俺は動揺を隠し消えなかった。それは見えた女性が有名人に似ていたからとか、幽霊だったとかということではなく、その女性には見覚えがあったからだ。いや、正しくいえば、俺の彼女だったからだ。


「遥華…うぅ…」


その時、俺の頭の中を過った…

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