表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

神威にも苦手はあるんです。

「―――――はぁ…………………………」

ついたため息は重く、長い。

何が原因かなんて分かりきっている事だ。


すべてはあいつのせい。



「よーお、神威。久しぶりだな」

後ろから抱き着かれ、肩が重くなった。首が絞まる。


そう。すべてはこいつのせい。

毎度毎度、馴れ馴れしく抱き着いてくるこいつ。



「お!?おおおおおお!?今年も一緒だ。」

うるさい。耳元で怒鳴るな。

そんなものこっちは自分の名前の下にお前の名前があった時から知っている。


「良かったなぁ~神威。今年もこの俺様と過ごせるんだぜ!?」

良くない。新学期そうそう最悪だ。


がさつな奴なのに一言重い、放せといえば、慌てて手を退ける変な奴。

他の奴らのように最後の一線を乗り越えようとしないところがまた気にくわない。


生徒規約には役員は一般生徒に手を出してはならない。しかし一般生徒が役員の指示に従わない時にのみ特例を認める。と明記してある。


それに乗っ取れば一度目に警告すれば、二度目は問答無用で叩き潰せる。


その時を今か今かと待っているのに、いつもこいつは1度しか手をださない。

二度目を待っているのに。


草間勇斗。こっちの思い道理にならなくて、ムカつく男。


下を向けばカーキ色が視界に入った。

歩くたびにばさりと空気をはらんで欝陶しくてしょうがない。

これと一緒だ、と思う。


これは役員で―――生徒会役員である証。そして自分が弱い証。

力ずくで負けを認めさせられ、負いたくもない責任を負わされたあの日から身につけ続けなければならなくなったもの。


思い出したくもないあの男の声が耳の奥で蘇る。




――え?星を降りたい?不思議な事を言う子だね、君は。星になりたい子はいっぱいいるのに。


だったら、その方々に回してください。僕は、星つきなんて真っ平です。


ふうん。なんで?


僕には必要がないものだからです。


あれ?噂によると与えられたものは取りあえずもらっておく主義なんじゃないの?そう聞いたけど。


………あってますよ。自分にメリットがあるかもしてないものならそうしたでしょうね。


えー?星っていろんな特権あるよね?十分あてはまると思うんだけどなー?


…………分かっていて言ってるんですよね?この星に与えられるものは確かに大きい。でも本当はデメリットの方が大きいということを。みんな目先の事に騙されているだけで。

これは圧倒的に、メリットよりデメリットの方が大きいですよね?



へぇ。そこまで気づいちゃったんだぁ。そう。…………決めた。君にする。君を生徒会役員に推薦するよ。


は?誰もそんな話をしに来てません。僕は星を、印しを返上しに来たんです。生徒会役員になんてなりたくもない。星、返上できないじゃないですか。


うんうん。推薦何て言ってるけどね、これは強制、だよ。神威クン。この学園の教育方針は知ってるよね?強いものが弱いものを従えるんだ。弱肉強食。分かってるよね?今は君より僕の方が強い。ああ勿論、それが間違っている事を証明できたら撤回してあげる。


は?


もうっ飲み込み悪いなぁ。………こういうことだよ。|mmm@.or.jp./《魔方陣起動》|ブリザード《》



な…………っ!?|mmm@.or.jp./《魔方陣起動》!!


慌てて自分が最も得意とする分野の魔方陣を呼び出し、ありったけの力を注ぎ込むも結果は完敗。こてんぱんにやられた。こっちが全力でやった攻撃を片手一本で封じ込み、なおかつムカつくことに、口元には終始笑みが刻まれていた。




さあ、君は負けたんだ。大人しく誓おうね。

|mmm@.or.jp./lec#stu゛,《汝、》|qaismreshscwok$jdvxpectozalab゛,《音宮神威はこの度、》|uiismwokjhscgradj#&《生徒会役員に》|lecstumpectphoなることを――――?


―――――~~~~っ!|diwokjisbor.《誓います。》


|lec#stu゛olec&wokpo:《汝の名にかけて》?


dvxj.(はい。)


//%okkei.(完了。魔術発動)


途端に男の手の上に浮かび上がっていた魔方陣が輝きを増す。


ポオッと光って僕の右手の甲に吸い込まれた。

一度強く瞬いた後、それは消えたが手の甲にはまだ熱が残っている。



これは戒めだ。

僕が生徒会関係で………いや、そうでなくてもこの男に反抗的な態度をとればこの術式が発動する。場合によっては魔方陣を埋め込まれた場所が欠損する(なくなる)んだとか。


希望を持つとすれば、これは自分よりも格下の相手にしか使えない魔法だということですね。確かこの手の魔法は、術者と術をかけられるものの魔力《強さ》が同格になった時点で消し飛ぶはずですから。


………それはつまり、今の僕よりこの男の方が強いということですか。………ムカつきますね。




ん、よし。これで終わり。……っとそんなに見つめられたら困っちゃうなぁ、僕。


………………。


ん?なになに?好きすぎて殺したくなっちゃう?いやぁん。激しいなあもうっ神威クンは。


………………………そんなこと一言も言っていません。貴方より僕の方が強くなったら撤回して(生徒会・星を)くださる(止めてもいい)のですよね?


んーとまぁそうなるねぇ………。術もかかりにくくなっちゃうし。生徒会にも星にも引き止めるのは難しそうだしねぇ。


にこにこにっこり。


そうですか。分かりました。その言葉を聞けたこと、大変嬉しく思います。



その時から高等科三年間での目標はあの男を倒す(叩き潰す)ことになった。


もうすぐそれから一年になるが、まだその目標は果たされていない。地道に練習してるから、そこそこは強くなっているはずなのだが、今だ右手はあの男に支配され続けている。




叩きのめせればすぐにでも縁を切りたい相手がふたり。








僕はその時をずっと待っている――――。





草間くんは悪いこじゃないんですよ?

"あの男"はバリバリ悪い人ですけど。


本文中で本名が出てきてませんが、近いうちにわかる予定なので。

悪しからず。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ