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三題噺もどき5

作者: 狐彪
掲載日:2026/06/23

三題噺もどき―はっぴゃくきゅうじゅうに。

 




 窓の外では、白い雲が空を覆っている。

 時折横切る鳥は、渡り鳥ではなく、大きな鷹。……この時期に渡り鳥が居るのかどうかは知らない。

 スズメやハトもいるけれど、それらは大抵下の方に居る。

 広い空で優雅に羽を広げて飛ぶのは、あの大きな鷹くらいしかこの辺りには居ない。

「……」

 家の近くにある公園にも、あんな風に鷹が飛んでいる。

 あそこは広い原っぱのある公園だから、そこでピクニックをしている人たちの食べ物を狙っているんだろう。あからさまにその上をぐるぐる飛んだりしているから見ていて面白いものではある。

「……」

 あの鷹も、何かを探しているんだろうか。

 同じ個所を回っているようには見えないけれど、どうにもぐるぐると回っているようには見える。

 何かいるのだろうかと下の方を見れば、そこには犬がいた。

「……」

 散歩中なのか、大型犬がリードを引っ張りながら歩いている。

 飼い主は引っ張るので精一杯なのか結構大変そうに見える。

 遠めなのであまり分からないが、ゴールデンレトリバーだろうか。

「……」

 鷹があの犬を見ているのかどうかは分からないが……当の犬は前に進むことに注力しているように見える。

 何かその先に居るんだろうか……生憎その先までは隠れてしまっていて見えない。

 鷹もそれを狙っているのかもしれないが。

「……」

 なんというか、大型犬って、こうやって遠くから見ている分には可愛いし、動画を見ていてもいいなぁと思うのだけど。

 実際に迎え入れるとなると、それなりに力と体力がいりそうで大変そうなんだよな。

 まぁ、全部の犬がああいう風に振り回すタイプではないんだろうけど。

「……」

 正直に言うと、あまり犬は得意ではない。

 見る分には全然、大丈夫だし、ああいうふわふわしたものは誰でも触りたくなると思うんだけど。ちょっと、過去に色々とあったもので。

「……」

 いとこの家には小型犬が居るのだけど、それらは見るたびにキャンキャンと吼えて正直耳を塞ぎたくなるものだし。

 かなり幼い頃に、公園でリード無しで散歩をしていた大型犬に、追いかけまわされた挙句に、剛速球のように突進されたことがあるのだ。

「……」

 あまりその時の記憶はないのだけど、無意識に怯えているのか、歩いている時に大型犬が横切ろうとしたり遠くに見えると足が引く。

 アレは、あの飼い主が悪いんだと思うんだけど……あんな子供もそれなりに来るような公園で離して散歩する人なんていないと思う。

「……」

 それ以外に会ったことのある大型犬は、そんなことはなかったな、そういえば。

 親戚の家には、黒いラブラドールがいたし、通っていた保育園にはゴールデンレトリバーがいた。どちらも、大人しくて、突進することなんてなかったし、子供になれているというのがあったのか、素直に撫でられてくれていた。

 それに、どちらもしっかり繋がれていた上に、ケージの中にいたのもあるんだろう。

「……」

 もうきっとあの犬たちも、いなくなっているんだろうなぁ。

 あの時でさえ、いい歳だったはずだ。

 保育園には妹たちも通っていたけれど……そのときは確かまだいたような。あそこの保育園はウサギとインコもいたんだよな。

「……」

 小中の記憶は割と曖昧だったりするんだけど、保育園の頃の記憶は割とはっきりとしていたりする。何をしたとか、何があったとか、何が楽しかったかとか。

 かなりいい経験をさせてもらっていたんだと思う。

 こういう、集団行動の場で唯一と言っていいほど楽しい記憶たちなんだろう。

「……」

 でもまぁ、あの子と一緒に居るようになってからは、記憶に残っている気がする。

 去年の修学旅行もそうだけど、中学の頃に一緒に何をしたとか、昼休みにこんなことをしたとか、放課後に図書室に行ったとか。

 楽しい記憶はあまり残らない方なんだけど。

「……」

 先日の体育祭も、なんだかんだとほとんど一緒にいたし。

 次は文化祭があるのだ。3年生は舞台があるから大変だろうが、一緒に回れるといい。1,2年は各教室で展示なり飲食を出すなりだから、そんなこともできなかったし。……ちょっと楽しみになってきた。

「……」

「――起立!」

「――!」

 忘れていたが、今は普通に授業中である。

 気付かぬうちに終わり、最後の挨拶が行われる時間になっていたようだ。

 ぼうっとしすぎはよくないな。

「礼!」

「「ありがとうございました」」

「……」

 間一髪間に合い、授業の終わりを無事迎える。

 この後は移動か……面倒なこった。











 お題:剛速球・渡り鳥・犬

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