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とまどい…


『ドックラン?』


「そうよ! そうなのよ、コジー様。ハスキーといえばドックランを颯爽と駆け回る姿がかっこいいの♪」


『あのね…わかっているとは思うが俺は魔性犬…暑い中、何を好き好んで外で走り回らなきゃならないんだよ…』


「いいじゃない…ハスキーとドックランに行くの夢なんだもん」


しょんぼりして俯く唯にコジーはため息をついた


「ご飯だよ~♪ どったの? ゆいちん…なんか…暗いんだけど…」


「コジーがドックラン行くのイヤだって…」


ふとコジーに目をやると機嫌悪そうにふて寝している


「ほんとだ めっちゃ迷惑そうオーラ出してる~。


無理ないよ~この猛暑だもんね。ほら、ハスキー犬って暑いの苦手じゃない」


「そっか、ならプールつきのドックランは?


フィンくんやもんちゃんが行ってたみたいなトコ」


『ったく…下界の犬も楽じゃないな』


唯はふて寝しているコジーを後ろから抱きしめると耳元で囁いた


「人間を幸せにしたら魔界に帰れるんでしょ?」


ピクリとコジーの耳が反応するのを唯は見逃さずに頼み込む


『そうだったな…そんなんでお前は幸せになれるのか?』


「なるなる~♪コジー様がドックランを駆け抜けてプールで泳ぐ姿を見られたら超ハッピー♪」


『いいぞ』


え?


『行ってやるよ…それで帰れるならお安いもんだ』


帰る…そう…だよね…私がハッピーになって満足したら帰っちゃうのか


まだ 会ったばっかりなのに…


『場所は任せるから探しておいてくれ…それより喉が渇いた』


「あ、うん。やっぱいいや、熱中症になったら心配だし…もう少し涼しくなってからでいい」


『あ? なんだよ…自分から言い出しといて…おかしな奴だな…』


だって…ハッピーになったらあなたは…魔界に戻ってしまう

それがコジーの望みだけど…まだ、まだ待って…もう少しだけ…


「ごめんごめん、はいっ、お水飲んで。水分補給しないとね」


キンキンに冷えたミネラルウォーターを与えているとまいまいが不思議そうに呟いた


「この子、常温だと飲まないんだね。贅沢~。なんか人間みたい キャハハ」


ギクリ…


「そ、そうかな、暑いのが極端に苦手なんだよね~コジー?」


わん♪わんわん


「ほら、そうだよって言ってるし(汗)」


「ふぅん。ま、いいっか。


ご飯にしよ♪唯の好きなロコモコにしたよん」


「わぁい♪ コジー様の分もある?」


「もちろん♪ はい、きみはこれね」


まいまいは綺麗な深皿に大盛のロコモコを盛り付けてくれる


『旨い! ロコモコって旨いな』ガツガツ食べるコジーに唯は微笑み胸を撫でおろした


よかった…気に入ってくれてる


そんな唯に気付いたまいまいが


「ゆいちん、 彼氏を見守る彼女みたいな顔してる」


「ちょ、バカなこと言わないでよ~コジーは犬なんだから」


真っ赤になって否定する唯にまいまいはびっくりして


「冗談冗談♪ムキにならないでよ~。コジー、きみの飼い主さんは過保護だね~


コジーが大好きなんだって」


「やめて! 」


唯は真っ赤になりテーブルから席を立つと唯は部屋に入ってベッドに潜り込む





あんなこと…コジー様に変に思われちゃうじゃない


まいまいは彼が言葉が通じて話せるのを知らないから仕方ないけど…


どうしよう…恥ずかしい…気まずい…はやく戻らなくちゃ…


頭を抱えて悩んでいると


コンコン…


「大丈夫? 具合悪い?開けるよ?」


心配してドアを開け入って来たまいまいに唯は謝った


「さっきはごめんね…ちょっと寝不足でイライラしてたみたい」


まいまいは数秒ほど唯を見つめると笑いながら頭をポンポンと撫でて笑った


「ゆいちん情緒不安定だかんね。 いいよいいよ、さ、戻ってはやく食べよ。


コジーくんも心配してるよ」


コジー…変に思わなかったかな…


トットット…おおーん。あうあうあう~


階段を駆け上がり部屋に入るとコジーは唯の顔をペロペロ舐めた


『腹でも痛いのか? ロコモコ食わないなら俺にくれよ』


よかった! なんとも思ってなさそう


もっともまいまいにはただ吠えているだけにしか聞こえていない


「ごめんね。コジー様、一緒に食べようか…」


どうかしてる…どうしてこんなにドキドキするの


コジーに嫌われたんじゃないかって思っただけで不安になるなんて…変だよ…私…



「ほらほら、レンチンしたから美味しいわよ~おかわりあるからねっ」


おかしな態度をとった自分にイヤな顔ひとつしないでロコモコを温めてくれた親友の優しさに涙が溢れる


ヤバい…ほんとどうかしてる…泣いたら変に思われ……


ペロリ



え…


零れた涙をコジーが優しく舐めている



『いつまでおあずけさせる気だ? 腹減ってんだよ…』


「そ、そっか、ごめんね。コジー様、おかわりあるからたくさん食べようね」


『おお♪頂くぜ』


食事の続きをとりながら舐められた瞳の下が熱くなるのを唯は必死に耐えていた








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