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コジーの独白

「まいまい、ただいま~」


「ゆいちん、おかえり~って…え? 」


シェアハウスしている親友のまいまいはいきなり連れ帰ったハスキーコジーを見て予想通りのリアクション


だよね…そりゃ驚くよね…


「かっこいい~」


そうそう かっこいいでしょって…へ??


「なになになに~こんなイケメンと何処で知り合った?」


「買い物の途中でナンパされた」


「キャハハハ ウケる~。


きみ、イケメンだね~毛並みもいいしどこの子?」


「いや、飼い犬じゃないみたいなの」


「うっそ~こんなきれいに手入れされてて野良ちゃんはないっしょ」


だよねだよね…う~まさか犬が話しかけてきて…なんて言えないし…うう…


わんっ♪ ハッハッハ


親友にどう言い訳すればいいか悩んでいると…コジーはまいまいに飛びつき尻尾をブンブン振って好きですアピール


すると…


「暑かったでしょう、早く水分補給しなよ~。コジーの足、拭いてあげないとね~タオル持ってくるね♪」


??


あれ…コジーの名前 言ってないのに…


まいまいの変貌に戸惑う私の右手をコジーがいきなりペロリと舐めて現実に引き戻される


「コジー様、どーゆーことですか?」


『心配ないって言ったろ』


「ねぇ…あなた、いったい…何者なの?」


『俺、魔性犬ハスキー。魔界で大魔王に飼われてっていうか使い魔してたんだけど 


私は生涯独身貴族だと豪語していた公爵様がよりにもよって下界の少女に恋しちまって相手の少女もとんだメンヘラで運命ですわ~とかのぼせちまって


周りの反対を押し切って大恋愛の末に結婚したんだよ。


だが俺はその女が長年御使いしている公爵様が愛するに値する相手だとは思えなくてな…結婚後、俺と仲良くしようと話しかけたり世話をしたがるそいつがうっとうしくて


ずっと無視していたんだが「お散歩にいきましょう」とか「お風呂に入りましょうね」とか俺をバスタブに入れようとしたからついキレちまって脅かすつもりで


牙をひん剥いて唸ってやったんだ


「あなた、その女の子を噛んだりしたの?」


コジーはムッとして質問に即答した


『見損なってもらっちゃ困る…公爵様が命よりも大切にしている相手を怪我させて悲しませるほど俺は不義理じゃない。


だがな、運悪くその場に遭遇した公爵様は激怒して俺を怒鳴りつけ鞭で打とうとしたんだ』


「まあ、訳も聞かないで?」


『今まで一度だって殴られたり叱られたことなんてなかった俺はショックで…長年、忠実に仕えた俺より若いだけが取り柄の人間がいいんだな…と


公爵様に失望してどうにでもなればいいと腹をくくったよ』


「それで?」


『頭に血が上った公爵様を新妻のそいつが、フローラが泣きながら俺の前に立ちはだかって…お待ちください! コジーは悪くありません!


私が嫌がるのを無理やりお風呂に入れたから気を悪くしただけで…みて下さい。私は噛まれてもいませんしどうか鞭をおしまい下さいって俺を庇ったんで


公爵様は鞭を力なく手が落とされ…こう言った』





『フローラがそれほど言うのなら許してやろう。


お前とは長い付き合いだからな…だが仮にも我が伴侶に牙を剥いた者をこのまま傍に置くことは出来ぬ。


下界に降りて少し人間と触れ合い、勉強するがいい。


男でも女でもよい。お前が共に暮らす飼い主を見つけてその者を幸せにしたら魔界に帰ることを許してやろうってめっちゃくちゃなこと言われてな』


「そうだったの…随分と無茶ぶりする飼い主さんね…

でも 悪魔が人間を幸せにしろ、なんてらしくないとゆーか…」


『公爵様が愛したフローラが人間だったからだろう。


お前は人間について何も知らないくせに毛嫌いし過ぎる。修行と思い下界で人間の良さを学びなさいって言われたのさ』


「なんだか…切ないな…コジーは公爵様が本当に好きなのに…」



彼の身の上を聞いて涙が込み上げる


『おいっ、何でお前が泣くんだよっ! いきなりおん出されて泣きたいのは俺のほうだぞ』


それもそうだね…でも…泣けて仕方ない…




「聞いていい? どうして私を飼い主に選んでくれたの?」


コジーは間髪入れずに質問に答えてくれた



『汚れてないから…お前は魂が赤ん坊みたいに真っ白で純粋な匂いがしたからだ


俺は魔性犬だから匂いで人の本性を嗅ぎ分ける。


例えば性悪な奴がいるとする。そいつがどんなに完璧に猫を被っても内心心が真っ黒で舌を出しているのが見えるから騙されないのさ』



そうなんだ…


なんか…嬉しいかも…


『なんだ? いきなり泣いたと思えば今度はニヤニヤして…変なやつだな…』


「あ、ごめんね。なんだか褒められてるみたいで嬉しいの。


コジー様、選んでくれてありがとう」


お礼を言われて戸惑うコジーはプイっと横を向いて押し黙った


「ゆいちん、タオルとお湯持って来たよ~」


「さんきゅ、まいまい」


グッドタイミングで足を拭く準備をしてくれた親友に感謝しながら私はコジーの手足をそっと拭き始めた









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