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IOLE STATUS  作者: らびっとアビス
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プロローグ

「…死んじゃたんだ」


私こと山本未性やまもとみせい25歳。私のモノクロな人生は終わりを迎えた。


…まぁそれは別にいい。この世は無常の格差社会だ。不満はあれど希望なんてなかった。


しかし、だ。私にも一度くらい…


一度くらい…


「「セックスしたかった!!!!!」」


チャンスはいくらでもあったというのに!こんなことなら私から告白すればよかった。


かわいい後輩とコンビニに寄り道をし、ソフトクリームを分け合い、良い感じの雰囲気になった部活帰り!


同僚に飲み行ったときの少しえっちな会話で盛り上がった後、終電が過ぎたことに気が付いた居酒屋!

ってか絶対にあの時はお互い興奮してた!絶対に行けたのに!くそ上司からの電話さえなければ…!


「あの中年!いつも邪魔ばかりしやがって!しかもホテルの誘い方がキモイんじゃ!未経験でも大丈夫とかぬかしやがって!何が手取り足取り教えてあげる❤だよ!」


…なんか怒ってたら元気出てきたかも。はぁ。


「これからどうなるのかな…」


その時、未性の身体を眩い光が包んだ。そして、どこからともなく男性の様な、女性の様な、しかしとても優しく、癒される心地よい声が問いかける。


「はじめまして。未性さん。私はこの世界を管理する者です。いわゆる神様というやつです。」


「そうですか…やはり私は死んでしまったのですね。」


「ええ。あなたは死んでしまいました。」


神様は未性を見定める様に一瞥いちべつし続けた。


「…子孫を残すわけでもなく、性の喜びを知るわけでもなく人生を終えたのです。」


いくら神様でも失礼ではなかろうか。初対面でいきなり性的な事について言及するなんて…


不服そうな未性を意にも介さず、神は続けた。


「…もっともその右手とやらとは、お盛んだったみたいですけど」


「―ッ!/////」


「妄想のお相手は5つも下の新人後輩とはなんとも…」


「うっさい!かわいいんだよ!慕ってくれているの!」


「それでその後輩からもらったハンカチでしていたのですか」


神はそう言うと、未性の目の前に夜な夜なハンカチをオカズに慰める自分の醜態が映し出されていた。


「わー!!!やめて!やめて!」


今にも爆発してしまいそうな程、赤面し両腕を大きく振り回し、映像をかき消そうともがいている未性の抵抗もむなしく、両腕はすり抜け映像はみだれることもなかった。


「まぁ、あなたは乱れまくっていますけどね」


「うまいこと言うな!」


今にもこぼれそうな涙を両目に溜め、甲高く裏返った怒号は空をこだまする。


「もうわかりました、少し弄りすぎましたね。謝罪します。」


意外と話せばわかる神様だ。少し度がすぎていると思うが、意外といい人なのかもしれない。


「デリカシーなく未性さんのプライベートな映像を晒し、未経験と嘘をついてしまいました。右手の五本の指達と五股もしている大変経験豊富で魅力的な方です。」


「キライだよ!本当に!」


「まぁまぁ実はそんな、可哀想な未性さんに朗報を持ってきたんですよ。」


「朗報?」


「はい。私は今世では報われなく快楽を味わう事すらなかったあなた達を救うため、転生させてあげるのが仕事なのです!」


「おお!つまり私にもチートすきるが!」


「そんなのはないです」


「え、、、そんなぁ。私好みの年下のかわいい恋人を侍らせお城に住む夢が…」


まるでこの世の終わりの様な哀愁を漂わせる未性を、慰めるように神は声をかける。


「大丈夫ですよ。チートスキルはありませんが、その夢は叶えることが可能です!」


「ほんと?」


涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げ、か細い声が漏れた。


「ええ!あなた次第ですが。とてもあなたに有利な世界だと思いますよ!」


「やったぁ!神様大好き!」


「それではいってらっしゃいませ。」


神の送り出す声かけと同時に、未性の視界は暗くなっていき、意識も朦朧としていた。


「目が覚めたらそこは異世界です。未性さんの夢が叶うことを祈っています。」


神はひと際大きな声で未性を送り出す!


「性欲の強さがステータスになる世界!「IOLE STATUS」へ!」


「えっ」


未性はそこで意識が途絶えた…

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