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珍獣最強 《チンジュウサイツヨ》~クソ強伝説~  作者: あそあいやあ
第一章 爆誕
3/5

最強への第一歩

体感30年くらいの年月が過ぎた。


俺は立って歩けるようになり、さらに喋れるようにもなった。つまり、なんでもできるってことだ。


そして、俺はこの世界についての多くを知ることができた。この人類の叡知が集約されたバイブル!『これ一冊で完全マスター!ステータスとスキルの鉄則!!』によって!


こう、指を下から上へ動かすと......ほれ!縦に並んだボタンが4つ出てきた!


このボタンの一番上が「ステータス」の表示、二番目が「スキル取得」、三番目が「スキル使用」、四番目は知らん。バイブルに載ってなかった。じゃあただの飾りだな。


そして、ステータスについてなんだが....まぁ概ね想像通りのものだな。でも、ゲームで言う「体力」の項目が少し特殊かもしれんな。俺の場合はこう表示されている。


A:97.3%


どうやらこれは生存確率を表してるらしい。今の体の状態から一定期間経過した後生存している可能性だとかなんとか。毎秒2.7%の確率で死ぬとかではない。あと、今はちょっとお腹が空いてるから値が低めに出ている感じはあるな。


あと、なんでアルファベットとお馴染みの数字で表示されているかなんだが、多分俺が転生者だからかな?

知らんけど。他のヤツは別の文字で表示されているらしい。国によっても違うとかなんとか。


次に、この世界でもっとも重要な要素の1つであるスキルについて。まず、これは2つの種類にわかれる。


1つが、「共通スキル」。上の説明で「スキル取得」って言うボタンがあったと思うが、それを押したときに出てくる、スキル一覧というか、スキルツリー、これが大体共通スキルだ。要するに皆が共通して取れるスキルのこと。


もう1つが「固有スキル」。これは共通スキルと逆で皆がとることはできない、産まれた瞬間に配られるスキルだ。必ず1つは配られるんだが、たまに2つとか3つ持って産まれてくる子がいるらしい。

もちろん俺がもらったのは1つだけだ。何か文句でもあるのか?


まぁ、でも?こーゆーのってやっぱ中身が大切だってよく言うしね!はい、肝心の中身はと言うと「呪い耐性(小)」!


えーと、バイブルによる説明だと「呪いに対する耐性が気休め程度に上がる。」うーん、最強のスキル(笑)


ん?........ア“ア“ァァァーーー!!?弱いって書いてあるぅぅーーー!!??「このスキルは本当にゴミでなんの役にも立ちません」だとぉぉーーー!?お前それは言い過ぎだろうがぁぁぁーーー!!!!





くそぉ......悔しい...きっとこのスキルにしかできないことがあるはずなんだ......(大)でも(中)でもない、(笑)でしかできないことが........って言うか呪い耐性自体弱いのかよ.........。



受け入れるしかないのか、この悲しい運命を.......。



「サイちゃーん、ご飯よー!」


ヤッターー!!飯だ飯ーー!!


「わーーい!!」














「どう?サイちゃん、美味しい?」


「おいしーー!!」


いやー、やっぱりママの手料理は最高に美味しいなぁ。特にこのバカみたいにデカイ、ロブスターみたいなヤツ、ぷりっぷりでもうたまらんなぁ....これどうゆうルートで手に入れたんだろう?


「ままー!」


「なぁーに?」


「べっぴんさーーん!!」


「まあ!うふふ、褒めてもなにもでないわよ。」


なんか最近、思っていることがすぐ口に出ちゃうんだよなー、声だけでなく行動でも、なんだけど。

これそのうち治るのかね?


「あっ、そうだ、サイちゃん、明日『ギフト』を貰いに行くから今日は早めに寝なさい、朝早くに出発するからね。」


Gift?


「なにそれー?」


「皆で、あなたのスキルを貰いに行くのよ」


「えーー!すきるもらえるのーー!?やったーーー!!」


スキルって固有スキルのことだよな?もらえる?マジで?........ワッショーーイ!!!ヤッタヤッタヤッターーー!!!イィィエェェェァァァァ!!!


最高の気分だー!.........アッ、なんか「呪い耐性(笑)」が悲しげにこちらを見つめている気がする。


ごめんねぇ、生涯を共にするからそれで勘弁してねぇ。


にしても、どんなスキルが貰えるんだろう。


「なにがもらえるのー?」


「それは明日になってからのお楽しみよ」


「うーー.......かっこいいのもらえるかなー?」


バーン!!


「もちろんです!!お坊っちゃま!!」


キャー!ビックリしたじゃないのー!そんな扉を勢いよく開けるんじゃないわよ!.......あっ、この人はレイナさんか。俺が生まれる前からこの家に仕えているらしい。今でもよくお世話になっている.......なっているのだが.......。


「必ず、坊っちゃまにふさわしいスキルを用意してみせます!!」


「レイナ、もう用意はしてあるのよ」


「では、私のスキルも差し上げましょう!!」


「それはダメって前に約束したでしょ?」


「ですが、カレン様!坊っちゃまは全世界を統べる王となる御方!!」


初耳なんですけど。


「きっと...いや!必ず多くの困難が立ちはだかります!!だから───」


「ダメなものはダメよ」


「そ、そんなぁ.......いや.....なるほど!そういうことだったんですねぇー!!!」


「違うわ」


「坊っちゃまは神の子だったのですね!!」


「は?」


「つまり、手助けをするまでもなく、世界を統一するという事実に変わりないわけですねー!!」


「レイナ、あなたは少し勘違いしているわ」


「え!?」


「シリカは私たちの子よ」


「私とカレン様の!?」


「レイナ、あなた今日でクビよ」


「つまり、カレン様と旦那様は神様だったのですねーー!!」


「..........ええ、そうよ」


えぇ?ママって神様だったの?すげー。


「ままー、なんかねむーい...」


「あぁ、サイちゃん、ちょっと待っててねー!」


「坊っちゃま!.....ふへへへ....さ、触ってもよろしいでしょうか...?」


「れいな、おちついて、しんこきゅーだよ、しんこきゅー!」


「あなた本当にクビにするわよ」


「善処します!!!」


「だめだこりゃ!」






───翌日───




「サイちゃん、そろそろ出発するわよ!」


「はーい!」


「.....では、村のこと、よろしくお願いしますね」


「ええ!任せてください!!」


うちはどうやら村で一番偉い立場にいるらしい。まぁやたらメイドさんがいたり、山ほど本があったりで、なんとなく察しはついてたが。


って言うか、あんだけ召し使いさんがいるのにママはなんで自分でご飯作ろうとするんだろう?お料理好きなのかな?


あと、この『ギフト』を配るイベントは基本的に貴族の間だけで行われるらしい。つまり、俺たち一家は貴族だったのだ。位がどれ程なのかは知らん。でも、こんな小さい村の村長なわけだから、あまり高くは無さそうだな。


そもそも、この世界の貴族階級ってどんなのがあるんだろう?たしか前いた世界では、男爵が.....一番下だっけ?で次に公爵がいて.....そのさらに上が上達部か!んで、一番上が天皇だ。

...あれ、ちょっと違う?まぁ些細な違いだな、気にすんな。



「たのしみーー!!」


「ええ!楽しみですね!坊っちゃま!」


ちなみに今回の旅には、昨日クビにされかけたレイナさんも同行しております。


っていうか、この人俺より目キラキラさせてんだけど....。


「ままー、あとどれくらーい?」


「そうねぇ、王都に着く頃には夕方くらいになっていと思うわ」


「ええぇぇーー!!そんなにかかるのー!」


「それまでの間、坊っちゃまと触れ合い放題というわけですねーー!!」


「違うわ、殴るわよ?」


「ヒィィ!?」


あっ、めっちゃビビってる。よっぽど痛いんだろうな。


にしても、本当に暇だなー、バイブル持ってくれば良かったー....。


「はい、サイちゃん、これ読んで暇潰してなさい」


「ばいぶるだー!!まま、ありがとー!」


そういや、アンタ神だったわ。


















王都に着き、めっちゃ豪華な宿に泊めてもらってから、一晩明けた。いよいよ今日が『ギフト』を貰う日だ。


「きんちょーするー!」


「ふふふ、堂々としていれば大丈夫よ」


式場へ近づくにつれて明らかに高貴そうな人の数が増えていく。


「さあ!坊っちゃま!こっちですよ、こっち!」


この人いつもはしゃいでるなー。


「着きましたー!さぁさぁ早く中へ入りましょう!」


「レイナ、あまり悪目立ちするような行動はしないで」


うわー......すげぇ煌びやかだぁ.......金有り余ってんだろうなぁ..........あ、なんか嫌味みたいになっちゃった...へへへ、すみませんねぇ。


「やぁ、こんにちは、スカルヘッドさん」


わー、イカした名前の人もいるもんだなー、うちとは大違いだ。


「あら、グランドール卿、お久しぶりです」


えっ、なんでママが返事してるんだ?うちにはスコルッツヨという誇り高き変な家名があるはずなのに......。


「ごきげんよう」


おや、こちらは娘さんかな?やっぱ貴族って礼儀正しいなー..........じゃなくて、俺も返事しないと!!


「あわ、あわ、あわわ!」


「...........?」


あれれ.....?そういえば挨拶ってどうやるんだっけ?なんか貴族式のポージングみたいなのあるよね......?

......やべぇ!わかんねぇ!どうしよう!?


まずい!このままでは不敬罪で処されてしまう!!


なんとか....なんとかしなくては....!

クソッ、褒め称えるしかねぇ!!!


「きれい、うつくしい、かわいい、すてき、びじん、てんさい、すごい、やばい、まじでやばい、てんし、さいこー!」


「はわわ!?」


「はっはっは!!まさか、親の前で娘を口説くとは!君はなかなか良い度胸をしているようだな!」


「うふふ、ごめんなさい、この子も悪気はなかったんです」


「わかっておりますとも........うむ、ここは人気が多く、気になるでしょう。もう少し奥の方へ行きましょうか」


ふぅーー、なんとか乗りきったか。というか、このグランドール卿?とママは随分仲が良さそうだな。それに名前の件も気になる..........が、もうなんか怖くなってきちゃった、頼むから何事もなく終わってくれー............。













「ここなら、人が少ないので、気兼ねなく話せそうですな。」


「ごめんなさい、気をつかわせてしまって」


「いえいえ、お気になさらず、あと、ヘルエールさんも元気そうで何よりです」


ヘルエールって誰?


「だれのことー?」


「パパのことよ」


「ぱぱいるのー!?」


「ええ、えっと、ようやく会えるようになったから」


いるとは聞いていたが本当にようやくだな。すげー長い出張にでも行ってたのかな?


「はやくあいたーい!」


「え、ええそうよね、早く会いたいわよね......。」


「うん!あいたーい!!」


「........グランドール卿」



「認識阻害の魔法は張っておきますので、どうぞご心配なく。それでは私はこれで」


「ありがとうございます.........」









「シリカ、ママ今から、すごく変なことを言うけど、聞いてくれる......?」



「ん?...うん!」










「実は、パパは......人間じゃないの」




「ほぇ?」


はぇ?






「あとね、実は..........ママも人間じゃないのよ」




「ふにゃ?」


ほわん?






えーっと......アレッ、というかパパとママが人間じゃないんだから......もしかして俺も人間じゃない.......?





「あ.....そっ、そ........」


「ごめんなさい、突然。困っちゃうわよね、こんなこと言われても。.......前までは、言わないつもりでいたの。あなたには普通の人として暮らしてもらった方がいいんじゃないかって。でも、やっぱりそれはよくないんだって思ったの..........あなたにとっても、パパにとっても。パパは私みたいに化けることができないから.........あなたとずっと会えないままなんて.....おかしいから。シリカ.....本当にごめんなさい.........。」



なるほどねー.....。きっと母親としていろいろ悩んだんだろうなぁ。子供の将来に関わる大切なことだと思うから。


でも、俺がやるべきことは悩むまでもないけどな。






「まま」


「...........何?」


「約束した日を忘れちゃって、家でぐっすり眠ってしまった」


「...........?」


「そういうこともある」


「.........えっ?」



「仕事でミスをしてしまって、他の人にも迷惑をかけてしまった」


「.............。」


「そういうことはいくらでもある」



「そして、最後に言わせて」


「今まで人間だと思っていた人が、実は人間じゃなかった」


「..........うん」















「あははー!ごめーん!流石にそれはないやー!」


「そりゃ普通はそうよ!?」



「でもね、でもねー!!今回のことで、そういうこともあるんだなーって思ったよ!!」


「............シリカ」



「まま!大丈夫!!!」





「ママが頑張って、悩んで、決断した答えなら、まぁ大体なんでも受け入れられる。そういうことが大半なんだから!!」









「ぼくは、ぼくのためにいっぱい悩んでくれるママのことが.......だーーーいすき!!!!」








バーン!!



「よくぞ言いましたーー!!お坊っちゃまーー!!!」


「ちょっとー!?レイナさーん!なに空気読まずに飛び出してるんですかー!!?」


「私、レイナは坊っちゃまのお言葉に感激して涙が止まりませんーーー!!!」


「うぅぅ、ひっぐ、うぅぅぅレ“イ“ナぁぁぁぁさ“っきま“で隅っこでカカシみたいにな“ってたくせにぃぃぃぃでしゃばってきてんじゃないわ“よーーー!!!」


「ギャャャャァァァァーーー!なにをするんですかカレン様、ウワァァァァァァーーー!!」


「みんな、げんきになったね!!」


いやー、良かった良かった。ん?なんか背後から気配が.......?


「ア“ア“ァ......シリカ.....」


「.......ぱぱ?」


なんか、本当に人間じゃないんだな.....俺自身、見た目は普通の人間だからあまり実感は沸かなかったんだが。


そのパパと思しき者は、全身真っ黒で、所々ナイフのように鋭い刃物が生えており、目が青く輝いている。

あと、な、なんか煙いんだけど、な、なにこれ?


「シリカ.....スマナイ....本当二....」


「謝らないで、ぱぱ」


「.........カレンハ、酷ク悩ンデイタノダ。オマエノコトヲ」


「........」


「私達ハ魔族ダ、人間トハ違ウ。」


魔族.........。


「カレンハ人間ヲ愛シテイタ、ダガ人間ノ多クハ魔族ニ友好的デハナイ。......カレンハ、オマエガ産ウマレタラ、村デ育テ、大人ニナッタラ魔族ノ里へ独リ立チサセルツモリダッタ。」


「..........ほう」


「ダガ......オマエハ.....ナゼカ人間ニ似スギテイタ。魔族ノ里へ行カセルト、カエッテ危ナイ目ニアッテシマウ。ダカラ、逆ニオマエヲ人間トシテ育テタノダ。」


「なんか、ぱぱの声って聞きづらいねー」


「スマナイ...........」



「トモカク、ソコデ今回ノヨウナ問題ガ生ジタノダ。

オマエハコレカラ人間ト魔族ガ互イニ争イアウ場面に出クワスコトガアルカモシレナイ。ソウナッタ時、モシ、オマエガ自分ハ魔族デアルト知ッテイタラ、一体何ヲ思ウノダロウカ......」


............。


「モシカシタラ、魔族ヲ殺サナケレバイケナイ時ガ来ルカモシレナイ、ソノ時、オマエガ魔族デアルコトガ足枷トナッテシマッタラ.......カレンハ不安デ不安デショウガナカッタノダ」


「そうだね.......確かに、そんな場面に出くわしたら僕はきっと困っちゃうね......」


「コレハ......私ノワガママダッタノダ......タダオマエト会ッテ話シタカッタガタメノ......本当ニスマナ──」


「謝ったら、刺すぞ!!」


「エッッッ!?」


「ぱぱ、僕は、ぱぱに会えてすっごく嬉しいよ」


「.......ソウカ.....アリガトウ、シリカ、私ヲ許シテクレテ」


パパも随分悩んでたんだな。こんな物騒な面して........なんというか、ギャップ萌えだな。


「....ソウダ、忘レナイウチニ....シリカ、渡シテオキタイ物ガアル」


「なーにー?」


「『ギフト』ダ」


「えぇー!ぱぱがくれるのー!?」


「アア、特別ニナ......サァ、送ッタゾ」


「.........?」


「ボタンヲ出シテ、ソノ4番目ヲ押シテゴラン」


ん.....?あぁ!俺が前ただの飾りだと思ってたやつのことか!!


「........わぁ!何かある!開けるよ!」


「オマエニトッテ、ソレハ...ツマラナイ物カモシレナイガ....」




..........筋力上昇(大)......。




ははっ、本当、ロマンに親殺されたんかってくらい汎用性の高いスキルだなぁ.....。


.....まったく、これゲットするのにどんだけ苦労したんだか。

体を部分的に強化するスキルは山ほどあれど、全体を強化するスキルなんか滅多にないっていうのに....。


あーあ、俺、愛されてるなー


「ぱぱ!!」


「........ナンダ?」



「すっごくうれしーー!!ありがとーー!!!」



「ソウカ....!ハハハッ、ソンナニ嬉シイカ!!...アア........マッタク情ケナイナァ.......涙ガ止マラナイ......」



「シリカ、オマエト出会エテ本当ニ良カッタ」

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