現第一師団団長・人災のクロフォード (2)
「あらら、クロちゃん。もう聴取は終わったの?」
アイスマグナの湖の方から、副団長・ジローラが歩いてやってきた。
表情を変えないクロフォードとは対照的に、軽薄な笑みをたたえた男だ。
「ジローさん…その呼び方やめてもらえますか?」
「いいじゃん。
クロちゃんただでさえ無愛想で、部下から怖がられてるんだから、イメージ戦略大事よ。
そんなことより、どうだった?」
ジローラは、アストン達の亡骸を指差しながら尋ねた。
「ええ、彼らの証言では隕石が落ちたと。もちろん疫病神の姿など見ていないそうです。
そちらはどうでした?処刑場の方は?」
「異常なし。結界も塞がったままだね」
「…そうですか」
「どしたの、何かひっかかる?」
「いえ、隕石が落ちたという証言がどうも。
たまたま、監視棟の建物に直撃したなんて偶然すぎる気がしまして」
「あるんじゃない?この地域は、火球の目撃情報多いって有名じゃん。
そもそも湖自体がはるか昔に隕石の衝突でできたって話じゃない」
「…そうですね。一応確認ですけど、、そちらはちゃんとくまなく調査したんですよね」
クロフォードは、ぐいっと顔を近づける。
「ちょ、ちょっと疑わないでよクロちゃん!もちろん隈なく調べたさ」
「…すみません。ジローさんはさぼり癖あるのでつい」
「わかってくれたらいいんよ。じゃあ将軍には先輩の俺から無線で、問題なしって報告しとくから。
クロフォード団長は早く飛空艇戻んなさい。風邪引くよー」
「労い感謝します」
クロフォードは、ジローラに背を向け周囲の団員たちに告げる。
「みんなご苦労だった。調査は終了だ。各自飛空艇に戻り、身体を温めるように」
ジローラはその背中を見ながら額の汗をぬぐった。
「ふー。全く、真面目なんだか、恐ろしいんだかようわからんやつ」
ジローラはアストンとバップの亡骸に視線をうつす。
「あの剣技だけでも恐ろしいっつうのに、加えて『魔獣の細胞』の保持者でもあるなんてなー。
チートもいいとこだわ。敵には回さんとこ」
クロフォードは飛空艇に近づき、船首の鷹の紋章を指で撫でた。
「天音マヒロ、少し残念だ。
貴様がもし生きていたなら、第一師団団長の名のもとに葬ってやったのに」
クロフォードは氷のような目で、鷹の紋章をにらみつけた。
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