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天音マヒロ VS 疫病神 (1)

「...十字軍?聞き覚えがあるな...その刀も」

トキシカントは記憶を探るように一瞬目を閉じた。

次に目を開いたときには眼前にマヒロの姿があった。

(とれる!)

マヒロの神速とも言われる抜刀術。

斬撃が周囲の石碑を両断するが、トキシカントの姿はなかった。


「随分長く寝てたようでな、、色々思い出すのに時間がかかるのだ。そう焦るな」

宙に浮かぶトキシカント。

その左腕からは先程までなかったはずの2つの灰色の翼が生えていた。

「...『細胞変容』ってやつか」

「ほう。私の特性を知ってるのか」


トキシカントがもつ特異な能力の1つ。

自身の細胞や組成を変化させ姿まで自在に変えることが出来る能力。

マヒロは、父からトキシカントの情報を聞かされていた。


『 1000年前に現れ、疫病を蔓延させ多くの人間の命を奪い国を支配した厄災の王。

細菌・ウィルス・病を生み出し、細胞・組成、そして邪気と呼ばれる黒炎のごとき力を自在に操る人外の怪物。

その姿に、いつしか人は、神の名を冠する疫病神と呼ぶようになった』


「父さんの言った通り。怪物だ」

マヒロは思わず苦笑する。


「身体は覚えてるもので、つい避けてしまったが、思い出したぞ。

前にそれと同じ刀をもった男に切られたことを。

たしかゼンヤと言ったな。お前の父親か?」

「ああ、そうだ。20年前お前を追い詰めた男の息子だよ」


20年前。

当時の十字軍第一師団団長であった天音ゼンヤは、トキシカント討伐に成功した唯一人の男だ。

命を奪う直前まで追い込んだが、すんでの所で逃げられた、とマヒロはゼンヤから聞いている。

しかし、おかげで20年前には病が蔓延することはなかった。

「...天音とかいう耐性者の一族だったな。

そうか、俺は逃げたんだったか...厄介な刀だな」


古に病を沈めるために、神職者たちが祈りと呪いの力を注ぎ込んだ刀。

寛解神刀(かんかいしんとう)

疫病神を倒す唯一の手段は、その刀を心臓につきさすことだ。


トキシカントはにやりと笑う。

宙に浮かびながら右腕を頭上に伸ばす。

漆黒のアザのような模様がその腕を覆うと、掌の先から黒い球体が溢れ出した。

「お前の父親は何とか避けたが、息子はどうだ?」


黒死邪気(くろしじゃく)(なみ)


黒い津波のような波動がマヒロ目掛けて襲いかかる。

轟音とともに大地が裂ける。

黒い炎のように立ち上る邪気と砂埃が辺りを覆った。


「目覚めでいまいちコントロールが効かなくてな。消し飛んでしまったか」

トキシカントが欠伸をした直後、砂埃の先から現れたマヒロは刀をふるった。

懇親の一振りがトキシカントの翼の生えた左腕を切り落とした。

「...驚いたな」

切られた翼の生えた腕を見ながら笑うトキシカントに、息を切らしながらも、マヒロは剣先をむける。

「神だか知らんが、いつまでも上から見下ろしてんじゃねえよ」

「ははっ。厄介厄介」

貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます。

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