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神の怒り

パンッ!!


乾いた銃声が響き渡る。


マヒロはすんでのところで、飛んでくる銃弾を交わした。


「ちっ、すばしっこい野郎だ」

アストンは舌打ちをした後でもう一度狙撃銃を構えている。


(危うくかするとこだった。やはり、この姿では思うように動けないな)


パンッ!


パンッ!


パンッ!


「とっとと死ね!クソうさぎ」


マヒロは連続して発射される銃弾を避け続ける。


(危ねー。アストンのやつ、調子にのってるな。

どうする?元の姿に戻るか?正体ばれるのも面倒だが)


マヒロが思案していると、今度は隣にいたバップが狙撃銃を構えだした。


「アストン、交代だよ」

「ちっ。俺はパワー系の大剣使いだからな、そもそも銃の扱いは苦手なんだよ」


バップは照準をマヒロに正確にあわせる。


「僕はアストンと違って狙撃には自信があるんだ。一撃で仕留めるよ。うさぎちゃん」

バップは舌舐めずりをしながら、邪悪にほほえんだ。


「…これは面倒とか言ってる場合じゃなさそうだ」

マヒロが呟き、人間の姿に戻ろうと決断した瞬間、バップの構えた銃から銃弾が放たれる。


パンッ!


「…なっ、お前」


バップ達とマヒロの間に、うさぎ姿のマヒロをかばうようにイチカが立っていた。


「銃声がきこえて…団長が襲われてるのを見て…寝室の窓から、咄嗟に飛び降りてしまいました。

団長怪我は?」

「俺は平気だ!…なんで無茶なことを!」


バップの放った銃弾はイチカの脇腹に命中していた。

イチカの腹部から流れた血がパジャマまで赤く染め始める。


「剣はもってきたんですけど…鎧脱ぐんじゃなかったですね。

…団長が隣にいたから

…つい気がゆるんじゃいました」

「イチカ!もういいから、しゃべるな!呼吸を整えて傷口を抑えるんだ!」

「団長が無事なら何よりです…団長…私の代わりにこの国を…救って下さい」


イチカはそう言うとその場に倒れ込んだ。


「あちゃー。まさかイチカちゃんに当たるとはまいったね。

でもあんなうさぎ庇うなんて、やっぱおつむは弱いんだ」

「随分と嬉しそうじゃねえかバップ」

「ばれた。一度生身の人間撃って見たいと思ってたからね。お前も同感だろアストン」

「ふっ、一緒にすんな。まあとはいえ、生きててこのことを上に報告されたら面倒だからな。

確実に殺して、行方不明ってことにしとこう」


アストンは腰に下げた大剣のさやに手をかけながら、イチカとマヒロの元まで歩み寄る。


「気に食わねえんだよ。お前みたいな正義ヅラした馬鹿女が。

だが最後に感謝するよ。若い女を切る機会なんてそうそうないからな」


アストンは鞘から大剣を抜いた。


「うっ…」

「イチカ、大丈夫だ。お前のことは絶対死なせない」

「団長、こ、これを」

「ああ、分かった。もう喋らないで寝てろ」


マヒロが優しく告げると、イチカは安心したように目を閉じた。

直後マヒロの身体が白い光に包まれる。


「あっ?なんだ、雪うさぎって光る習性でもあったっけ?

それに今なんか喋ってた気もするが…。

まあいいや。飼い主を切ったら、お前も楽にしてやるからよ。じゃあな!」


アストンがイチカの首元目掛け大剣を振り下ろした時だった。


―キンッ!!


金属同士がぶつかり合う激しい音と同時に真っ白い光が周囲に広がる。


「くっ、、なんだ今の光は」


光がおさまり、アストンは目を開ける。

自らが振り下ろした大剣の剣先は、呪布の巻きついた刀によって抑え込まれていた。


懇親の力を込めて振るったはずの大剣が、まるでビクともしない。


「…う、嘘だろ…な、なんで」

アストンの全身から冷や汗が吹き出る。


「アストン、、そ、そいつまさか」

バップも構えた銃を持つ手が激しく震えていた。


「ま、、マヒロ団長」

「久しぶりだな。アストン」


そこには、イチカから渡された『寛解神刀』でアストンの刀を抑え込む、人間に戻ったマヒロの姿があった。


「だ、、団長これはちが」

「口を閉じろ」


次の瞬間、爆撃のような轟音とともに、マヒロが握りしめた右の拳がアストンの腹部にめり込み、頑丈な鎧を粉々に砕いた。


「…が、、がはっ!!」


アストンは口から胃液を吐き出し、そのまま数10メートル後方のバップのもとまで勢いよく吹き飛ぶ。

その巨体が建物の外壁にあたり、衝撃で壁までも粉々に砕けちった。


「…アストン、バップ。十字軍、元上官としての情けだ。お前たちは苦しまずに殺してやる」


冷酷な表情で二人を睨みつけるマヒロ。

その瞳だけは、うさぎのように赤く燃えていた。

貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます。

本作に少しでも興味を持って頂けたら、下記2点より作品の評価いただけると幸いです。

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