悪兵たちのたくらみ ―ウサギ狩り―
キイーー……
深夜三時。
寝室の扉がかすかに開く音でマヒロは目を開けた。
外からかすかに漏れる光。
少し開いた扉の隙間からは、、ニンジンが差し出されていた。
(あの二人、、何か企んでいるとは思っていたが、幼稚な)
マヒロはその香りに鼻をひくひくさせる。
思えば、マグマの中で封印されていた3年間、一切食事というものをとっていない。
食事をとらなくても平気な身体になり、中枢神経をコンロトールすれば、食欲さえ遮断できる。
とはいえ、香ばしい焼きニンジンの香りにマヒロは抗うことをやめた。
(面倒だが、やつらの遊びにつきやってやるとしよう)
マヒロは、隣でパジャマ姿ですやすやと眠るイチカを起こさぬように、ゆっくりとベッドから降りると、ウサギ姿のままニンジンの方めがけて走り出した。
ニンジンにかじりつきそうになったところで、大きな右手に、マヒロは両耳をつかまれ、扉の外に引きづりだされた。
「いきのいい雪ウサギだ。こいつの肉は格別らしいからな」
両耳を乱暴に持ちながら、アストンは言った。
(酒臭いな、、こいつ。で、何する気だ?まあ大体予想はつくが)
「おい!バップ!持ってきたか?」
「もちろん、旧式の銃から一応A級魔物まで仕留める最新鋭の兵器もね。
ウサギ狩りにここまでのブツは使わないと思うけど」
武器庫から台車に兵器をつんだバップが後ろからやってきた。
「日々、こんなへき地にいてうっぷん溜まってんだ。どうせなら、お前も派手に殺したいだろ」
「まあね」
二人は邪悪な笑みを浮かべると、マヒロを連れて建物の外へと出た。
(ウサギ狩りか。弱いものいじめが好きなこいつらにはぴったりな悪趣味だな…)
二人は建物から離れた雪原に、マヒロを放り投げる。
台車から各々銃をとり、こちらに向けた。
「楽しみたいからな、せいぜい逃げてくれよ、子うさぎちゃん」
(さて…どうしたものか)
マヒロはめんどくさそうに心の中でつぶやいた。
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