マヒロとイチカ ―チーム結成―
「団長!」
呼ばれた声にマヒロは振り返る。
「なんだ?」
「…私もお供します!」
「はっ?いや、おま」
「私は、団長に憧れて兵士になったんです!
第三師団に入隊してからは、クロエさんのような強くて優しい人が目標でした!
だから、団長がなんと言おうがついていきますから」
まくし立てるように喋るイチカに対してマヒロは、困った表情で頭をかいた。
「いや…その気持ちはありがたいんだがな、、」
「それに、私の村と家族を奪ったブラッドやスタンフィールドたちへの復讐を、団長一人にさせるなんてできません」
潤んだまっすぐな瞳に、マヒロは自分と同じように強い怒りと、揺るがない信念を感じとった。
(これは、、何を言ってもきかないか…まいったな)
「イチカ、敵はブラッドやスタンフィールドだけじゃない。
…この国の闇には、もっと上、国王までも絡んでる。
俺の使命はこの国の闇すべてを払うことだ。
これは単なる個人的な復讐じゃない。
アシナ王国そのものと戦争することになるかもしれないんだ」
「覚悟なら出来てます!
それにもし連れて行ってくれないなら、団長が私を殺そうとしたこと呪い続けますからね!」
真剣な表情で数秒睨み合った後、マヒロは表情を崩して大きくため息をはいた。
「…わかった。好きにしろ」
「はい!そうさせてもらいます!この国の闇をはらしましょう!」
イチカは微笑んだあとで、力強く右手の拳を差し出した。
マヒロはもう一度ため息をついたあと、苦笑しながらその拳に自身の拳を合わせた。
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