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厄災の邪気

『私の能力について1つだけ忠告だ』


マヒロの頭に突然、3年前、疫病神・トキシカントから告げられた言葉がよぎる。


『邪気とは、極限に圧縮された濁りのない負の力。

黒い炎のように、浸食しすべてを燃やし尽くす。

俺以外の人間が使うとどうなるかは知らんが、

理性を保ちたければ心まで浸食されんように精進しろ

…まあお前が本当の悪に染まるのも見ものだがな』


煮えたぎるマグマの中、マヒロは自分を陥れたものたちへの復讐と憎悪だけを燃やして今日まで生きてきた。


マヒロはトキシカントの言葉通り、心まで邪気に染められていた。

自分に立ち向かう、かつての自分のように正義感を抱える若い兵士。

その命を奪ったことで、マヒロは初めてそのことを自覚した。


マヒロは虚ろな表情で自分の手を見つめる。


(どうでもいい、、俺がおれでなくなることなんか。

あいつらさえ殺せればそれで。

邪魔するやつは排除するだけだ)


「待て!…天音マヒロ」


振り返ると、イチカが息も絶え絶えながら立ち上がり、マヒロに刀を向けた。


(なぜ、立ち上がる?息をするのも辛いはずだ)


「わ…私は、オーリの村の出身だ」


マヒロの頭に突然割れるような痛みが走る。

3年前マヒロに扮したブラッドの手により、多くの村人が死んだ村。


「そうか…復讐か」

「違う!!」


イチカは呼吸を整えながら、静かに続けた。

「…ただ大切な誰かと平穏に生きたい。

そう願う罪なき人が、悪人や災いによって命を奪われる

…そんな理不尽を少しでも減らすこと。それが」

「やめろ!!」


マヒロは反射的に声を荒らげていた。

イチカは曇りのない瞳で真っ直ぐにマヒロを見つめた。


その瞳から涙が一筋流れる。


「それが…私が憧れるヒーローの使命です。マヒロ団長」


マヒロの頭に割れるような痛みとともに、忘れていた過去の記憶が押し寄せる。

貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます。

本作に少しでも興味を持って頂けたら、下記2点より作品の評価いただけると幸いです。

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