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新兵・イチカ VS 疫病神・天音マヒロ

「十字軍か、」

マヒロは苦笑し、頭をかいた。


「何がおかしい!」

「なんでもない、あの時と立場が逆転するとは。

その刀、懐かしいものをもってるな」

「覚えてたのね。そうよ。あなたの心臓を貫く刀よ!」


イチカは瞬時に間合いをつめるとマヒロの胸元目掛けて刀をふるった。


「ほう。それを使いこなせるか」

と同時にマヒロは右足に刃がささる感触を覚えた。

イチカは寛解神刀を右手で振るうと同時に左手に隠しもっていた短刀をマヒロの右足に突き刺していた。

マヒロの注意が右足に向いた直後、イチカは空中で反転しもう一度寛解神刀を横から薙ぐように振り下ろした。


「戦い慣れてるな。筋がいい」

イチカの懇親の一振りをマヒロは二本の指先で受け止めた。


「うそっ!」


直後右の拳でイチカの腹部に一撃を見舞う。

衝撃でイチカは後方に勢いよく吹き飛んだ。


「、、ぐふっ」


イチカは口から血を吐き出す。

(なんて力なの、、鎧越しに素手で殴ってこの威力)


顔をあげると、マヒロが冷淡に見下ろしている。


「壁の外に用があるんだ。邪魔するなら殺す」

マヒロの爪が鋭利な注射針のように形を変えていく。

そのあまりの冷酷な表情にイチカは思わず恐怖に慄く。


「わ、私は」

「だまれ」

マヒロは注射針のような爪をイチカの首筋に刺した。

途端、イチカの全身を猛烈な寒気が襲い地面にうつ伏せに倒れ込む。

背中は寒いのに頭は燃えるように熱い。


「…な、なにをした」

「高熱と悪寒を引き起こす細菌を流し込んだ。少しタチの悪い風邪を引いたようなものだ。

まあそのまま氷の上で寝てたらすぐに死ぬだろうな」

「…ま、待て」

「立ちはだかったお前が悪い。それと、その刀は返してもらおう」


マヒロは足にささったイチカの刀を抜くと地面に放り、代わりに寛解神刀を拾い上げる。

マヒロの足の刺し傷から流れる血は瞬時にとまり、傷口も瞬く間に塞がった。


「…はぁ…はぁ」


高熱に当てられ苦しむイチカを一瞥すると、マヒロはそのまま出口に向かって歩き出した。

貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます。

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