新兵 イチカ=シオン
「初めまして!!今日からこのアイスマグナ監視棟に配属されました!
十字軍、第三師団イチカ=シオンと申します!」
3年前、疫病神・天音マヒロを処刑した、処刑場アイスマグナ。
そこから数km離れた場所には監視棟と呼ばれる、兵が駐留するための洋館のような建物が設置されている。
ただ一人、疫病神の復活を懸念していた十字軍将軍・ブラッドの命によって設置されたものだ。
「暑苦しいがきだな。しかも女かよ」
「いいじゃないか、アストン。まだ若いよね。イチカちゃんは歳はいくつだい?」
この監視棟に駐留している兵、アストンとバップはイチカに尋ねる。
「えっ?えーっと今年で17になります!等級は一等兵です!」
「へー、その若さで一等兵とは。優秀なんだね。たしかに身体も引き締まってる」
バップはイチカの身体を嘗め回すように見る。
「第三師団といやー、団長はあのミランダか。痴女ゴリラの部下とはお前も大変だな」
「なに言ってんのアストン!ミランダ団長なんて全男兵士の憧れじゃないか!
強くて、男にはドSだけど女性兵には優しいっていうギャップがたまらないよね。
セクシーな紫髪に、何と言ってもあのスライム爆乳がたまらないよー」
(この人たち、二人とも気持ち悪いな。。でも、一応先輩だし)
「団長は痴女ゴリラじゃありません。たしかに力はゴリラみたいに強いですけど」
「ちなみに、このアストンっていう本物のゴリラみたいなおっさんは、こう見えてかつてあの第一師団に仕えてたんだよ」
「えっ!本当ですか!あのマヒロ団ちょ、、いや、クロエさんやブラッド将軍がいた師団ですよね!」
「ああっそうさ!十字軍最強の精鋭部隊!
お嬢ちゃんも腕に覚えがあるみたいだが、俺に逆らったらひねりつぶすからな」
「は…はい」
イチカは苦笑いを浮かべる。
「返事は?!新兵!」
アストンは顔をグイっとイチカに近づける。
(、、酒臭い!!)
「イエッサー!!」
イチカは鼻呼吸を止めて声を張り上げ敬礼した。
「いい返事だ。じゃあ、お前は夜まで棟内の掃除な」
「はい。…ちなみに先輩たちは何をされるんで」
「あっ!!いちいちうるせえな!」
「まあまあ、そう声を荒げない。これから、判断力を養う大事なトレーニングだよ」
バップの手にはトランプと酒瓶が握られていた。
(…賭け事ね)
イチカはもう一度敬礼し、ため息交じりに返事をした。
「イエッサー…」
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