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「うっさいわ、言わんでもわかっとる。俺の負けや言いたいんやろがっ」

 二人の戦闘は相打ちのように見えたが、実際には泰明の方が優勢で終了していた。勘がよく体捌きにも優れた二人ならば今の攻撃を凌いでいたかもしれない。もしそうなっていれば、武器が問題なく使える泰明の方が断然有利だからである。不利になっても南郷は立ち向かう性格であるため、沙良が予感したとおり怪我か、もしくはその先にまで発展していた可能性も大いにあった。

「なんでっ、二人が戦うの!? 南郷君って祓魔局の人でしょ? 東光寺君と同じ退魔師で仲間なんでしょ? なんで敵同士みたいになってるのよ!?」

 二人が止まったのはいいものの、沙良は少し興奮気味に泰明に詰め寄っていた。

 そんな沙良の姿を初めてまじまじと見た南郷が口をあんぐりと開ける。

「おい東光寺! お前なんで女連れなんや! しかもこんな美少女! ど、どういうこっちゃ!?」

 南郷は明らかに動揺して唾を飛ばした。

 焦る南郷を面白がるみたいに、泰明が沙良に手を伸ばして肩を抱く。

「やらんぞ」

「えええッ!?」

 泰明の発言に沙良も仰天の声を上げる。

「ちょちょちょっと主! 何してるのよッ!?」

 刀から人の姿に戻った麗月もあたふたとし、抗議の声を上げていた。

「いっ、いらん! 羨ましないわ!」

「涙拭けよ」

「うっさいわボケぇ!」

 南郷は本当に滝のような涙を流して頭を抱えていた。

「お嬢さん……東光寺と、つ、付きおうとるんか……?」

「え!? わ、私はその、付き合ってるとかじゃ……っ」

 泰明と彼氏彼女の関係になった覚えはないのに、沙良はなぜかうまく否定の言葉を口にすることができなかった。

「……ま、まあ、なんにしても言うといたるわ」

 南郷の目つきがまた鋭くなる。獲物を見定める捕食者のようにぎらりと光らせた。

「東光寺はな、堕天の殲滅鬼だてんのせんめつきて呼ばれとるんや」

「……堕天の、殲滅鬼?」

 先ほど泰明が南郷のことを爆虎と呼んだように、泰明の二つ名とかそういうものだろうかと沙良は思った。

「若造……。我が主を、その忌々しい名で呼ぶのは許さないわ!」

 麗月が泰明を庇うように前へ出て、南郷を威嚇の意味を込めて睨み付けた。

「はん、ほんまのことやないかい。ええかお嬢さん、そこにおる男はな、さっきのザコと同じ、禁忌をおかしたんや」

「……えッ!?」

 泰明が、禁忌をおかした。

 聞き違いではないかと、沙良は心の中で何度かその言葉を繰り返した。

「禁忌をおかしたもんは仲間やない、むしろ敵や。そいつは、東光寺はな、妖魔の血ぃ飲んだんや」

「東光寺君が? よ、妖魔の血を……飲んだ?」

「妖魔の血ぃ飲んだら妖魔になる。退魔師でも例外やない。狩る側から狩られる側に変わるんや。そやから東光寺は、退魔師育てる学校から追い出された上にマークまでされとる。祓魔局に属さんでフリーでやっとる退魔師もまあ、数は少ないけどおるわ。けどな、東光寺だけは別格なんや。そいつだけはいつ俺ら祓魔局に追われる身になってもおかしないんやで」

「……東光寺君が……そんな……!?」

 沙良はあまりの衝撃に口をパクパクとさせていた。

どうも、Mt.バードです。

甘いもの、特にかりんとうとかを食べると止まらなくなります。

自分の手が甘味星人に乗っ取られた気分です。

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