序章
ある神話にて、雷神と呼ばれ畏れられた神がいる。
ある神話にて、破壊神と呼ばれ畏れられた神がいる。
その二柱は、いや、その二柱に限らず、神話における神達は、時を経て、その絶大な力を失い始めていた。
語り継ぐ者達、すなわち人間が、彼らの存在を忘れ始めていたからである。
語り継ぐ者がいてこそ、彼らは存在し続ける。何故なら彼らを生み出したのは、他でもない人間達なのだから。
しかし、彼らにも、生き延び、力を失うのを止める手段はあった。
―《憑依》―
それは、人間にとって、最も誉れ高い名誉、の、はずだった………
ある夜、イギリスはロンドン、ビッグベンにて。
その頂上でじっと街を見る黒い男が1人。
その男にとって、この日のロンドンは仕事場であった。
最も危険で、最も憎むべき敵が現れるという信頼できる情報を聞き、ここにいる。
いつになれば、この戦争は終わるのか。
いつになれば、俺は死ねるのだろうか。
そんなことを考えながら、その男は注意深く観察する。
いつか、この戦争が終わるように。いつか、安らかに眠れるように。
ここは、ロンドン。
西暦2519年の、ロンドン。
初投稿です。更新頻度少なめですが、読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。