表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺した友達が帰ってくれない  作者: みのたろう
1/1

夏のできごと

ゴツン、と鈍い音が部屋に響いた。

勝也(かつや)の頭を直撃した灰皿は、若干勢いをなくしたものの、

そもそもの重量もあってか壁にぶち当たり、壁紙をはがしたあと、床にドスンと落ちた。

続いて、灰皿よりもっと重量のあるものが、床に崩れ落ちる。


ちょっと肌寒かったはずの部屋が、今では熱気に満ちている。

さっきまでは二人分、今では一人分の熱気。


頭の皮膚がえぐれ、少し割れたようで、

ドラマで見るより勢いよく血が噴き出し部屋を汚していく。


あれ、と思う。こんな簡単に踏み外せるものなのか、と。


荒くなっていた息を整えながら、勝也にゆっくり近づいていく。

うつ伏せに倒れた体に、顔は壁側を向いていて、こちらからでは表情が見えない。

窓から差し込む夕日に照らされ、血がぶどうジュースのようにきらきらしている。


血で足が汚れないよう注意しながら、顔が見える位置まで回り込み、

そこで息を飲む。


満面の笑みだった。

衝撃で目玉が少し飛び出たようで、異様な程目を見開き笑っている。


つくづくわからない男だ、とひとり呟いた。

急にのどの渇きを覚え、遺体に背を向けた瞬間、


「おれにもくれよ」


少し楽し気な色を含んだ声が、背後から飛んできた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ