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激闘を制する者に微笑んで


 あれから10分、俺たちは攻めあぐねていた。


 「そっち行ったよお兄ちゃん!」

 「おうらああぁぁ!!打ち上げ!!」

 『狙いが甘い。連携は相当だが個人技と手数が足りていない……』

 「なら今度は!疑似フォールメテオ!!」

 『その程度!』

 「今だ!スターストライク!」


 だが、やはりというべきか。攻撃力が足りてないがためにまたはじかれてしまう。フィアには火力が、俺には手数が足りていない。それは何度もこの戦いの最中に感じてはいた。やはり朱雀様は強い。だからこそあきらめたくない。認めてもらいたくなる。


 このままだと俺たちのスタミナが持たない。どうすればいいんだ?!

要は空にいられると攻撃しにくくて狙いが甘くなるんだろ?だったら!


 「フィア!【チャージ】を頼む!こっちで動きは止めるから!」

 「何か作戦があるんだね!わかった!」


 任せとけ!この武器、モーニングスターはこのゲームでは、本来のそれとは違うところがある。それは鎖が伸びるところだ。それを最大限生かせば!


 「いくぞ!打ち上げ!」

 『その程度か!』


 いいや?その程度なわけないだろ?鉄球が天高く宙を舞っている今!一気に鎖を短くする!そうすると……


 『ほう。面白いことを考えおる。まさか空を飛ぶとは」


 よし!成功したな!鉄球に俺が引っ張られて空を飛ぶ。考えたけど成功するかは半々くらいだと思ってたからな!

これで高所を取った!あとは!

鉄球を思いっきりたたきつけろっ!!!

 

 『そんな攻撃当たらんぞ!む?』

 「えぇ当たらなくていいんです!鎖であなたを縛る方が目的なので!」


 そう俺の目的は、鎖を伸ばしてたたきつけの勢いを利用して朱雀様を捕獲すること。そして……


 「いまだ!【クリティカルポイント】【強槍撃】!!」

 『ぬぅっ!?』


さらに!【魔導陣】!

10分前の傷跡が変形していく!そしてそれに気づいてはいない!


 「いまだ!【起動・サンダー】!!!」

 『なっ!?いつの間に!?』


 魔導陣から青い雷が朱雀様の翼から現れ朱雀様の脚を貫く!


 『ぐぬわぁぁぁああああ!?!?!?』

 「よしっ!決まった!」

 「ナイスだよお兄ちゃん!」


 朱雀様の体力を見ると累計で3割くらい削ったみたいだ。これなら認めてくれるだろう。


 『ふぅ。なかなかやるようじゃのう。ならもう少し本気を出してもいいかのう』

 「まだやるんですか!?恐ろしいこと言いますね。それでも!」

 「私たちはあきらめないよ!絶対に!!」

 『そうか、その目。おぬしらにはとっておきを見せるとするかのう』


 そういうと朱雀様は天高く飛び上がり、大きく息を吸い込んだ!?

いやいやいや!?!?あれ絶対ブレスでしょ!どう逃げる?

空は相手のフィールド。後ろの森は論外。地面の中なんていく手段ないし……

詰んだか?だがあきらめたくない。よく考えろ。朱雀様が本気で俺たちを殺しに来るか?何かしらの対処手段はあるはずだ。

いや?まて?あれを使えば?何とかなる……か?

おそらく正しい攻略法はわかった。だがそれでいいのか?ほかの選択肢がある今、そっちを選ぶべきなのでは?


 「フィア!」

 「なに!お兄ちゃん!私今考え中で……」

 「どうにかする方法がわかったぞ!」

 「ほんと!?」

 「ただ朱雀様の考えてる対処法と賭けになるが想定外の方法の2パターンあるんだが」

 「想定外のほう!面白そうだし!」


 やっぱりそっちか!なら見せてやるぜ!究極奥義!賭けにはなるがどうにかなるはずだ!


 「ならば……………………」

 「なるほど!了解だよお兄ちゃん!」


 作戦会議が終わると妹は、全力で走り出した。MPを全力で込めた残像を出しながら……な!

朱雀様はまだ息を吸いこんでいる。どれだけ全力を出す気なんだ!?

だがこっちも準備は整った!あとは……


 「OKだよ!お兄ちゃん!」

 「了解!行くぞ!【2倍拡大魔法陣】【魔導陣】!!」


 そういうと妹の通った場所にある残像が拡大・変形していく!

そう。俺は妹に残像で魔法陣を描いてもらっていたのだ!

そしてここからは俺の仕事!めいいっぱいMPを魔導陣に食らわせる。

そして……


 『【焔界熱線】!!!』

 「【起動・フェニックスブレイズ】!!」


 朱雀様がブレスを放つ。というかあれブレスというかレーザーみたいになってるんですが……

こちらも魔導陣から現れた燃え盛る大鳥がレーザーにぶつかっていく。

その結果!互いの炎でお互いが打ち消され、ありえないほどの爆発が起こる。クレーターがさらに削れ、辺り一帯に熱が広がる。

辺りは静けさに包まれた。


あたりの静けさを打ち消すように朱雀様が降り立つ。


 『よもや我のブレスと力比べするものがいるとは思わなかったぞ』

 「これで……認めてもらえますか?」

 『あぁ。おぬしら二人を試練合格者として認めよう。おめでとう』

 「ぃやったぁぁあああああ!!」

 「ぃいぇぇぇえええええい!!」


 うれしい!超うれしい!!対戦相手からの誉め言葉ほど、うれしいものはない!フィアと一緒にハイタッチをしてしまうほどにうれしい!


 『おぬしらには試練に合格したものとして褒美をやろう』

 「ほんとですか!これは……」

 『これは希望の種と言ってな。おぬしらの道を導くために変化するスキル、通称変化スキルというものじゃ』

 「変化スキル……ありがとうございます!」

 「ありがとうございます!」


 希望の種か。見た目はただの赤い種だが食べることで、スキルとして習得するんだという。これはいいものをもらったな!


 『うむ。さて、我はそろそろ主のもとへ帰らねばならん』

 「あ、それなら少しお願いがあるのですが、1週間に1回でいいので、またこうやって誰かに試練を与えてくれませんか?」

 『またそれはどうしてじゃ?』

 「俺達だけが試練を受けるというのは少しずるい気がしまして……」

 「それに今回きりじゃなくなれば私たちがそういう目で見られるのも防げるかなーって!」

 『ふむ。それならば週に1度、この先にある湖で待たせてもらう。他に質問はないかね?』


 質問か。それなら一つ気になってたことがあるんだよな。


 「それなら、朱雀様が帰るならここのボスはどうなるんでしょう?」

 『それなら本来のボスに戻るはずじゃ。とはいえおぬしらは我の試練に打ち勝ったのだからこの先にもういけるのじゃがな』

 「そうでしたか。どうせならそのボスとも戦ってみたいのですが……」

 『向上心があって結構!もちろん構わんよ」

 「よかった!」

 『それではそろそろ行くとするかのう。おぬしらも我と対等に戦えるくらい強くなってみせよ!」

 「ええ!それじゃあまた!お元気で!」

 「またねー!」


 朱雀様は夕焼けの空に消えていった。なぜか俺にはその夕焼けが笑っているような気がした。

次は27日を予定しています


次回をお楽しみに!

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