初めの会話は丁寧に
「っ!ここは……」
光から解放されると目の前に現れたのは、大きな噴水のある広場だった。今は人でごった返しているが……おそらく俺と同じプレイヤーだろう。
それにしてもレンガで舗装された道に並木道とかしゃれてんな。店も大半がレンガ造りだし。
さて、これからどうすればいいんだ?
……ん、メール?
【お兄ちゃんへ
遅くなるから噴水広場でまってて?
フィアより】
遅くなるってあいつ何する気だ?俺が想像以上に早かったのもあって時間ができたな。とりあえず噴水広場とやらに行こうか。
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少し道に迷ったけどNPCのおばさんに道を聞けばすぐにたどり着いた。おまけにいろんな噂話も教えてもらった。もしかしたらこれがキーになるクエストもあるかもしれんしな!
でだ。時間が空いたわけだがどうせなら魔法作りをやってみようと思う。えっと【魔法陣作成】を使ってっと。
今回使うパーツは何にしようかな?気分的に火のビーム系魔法を作りたいから炎のイメージのパーツと棒状のパーツは必須だろ?
で、これだと魔法陣がスカスカだから六芒星のパーツを入れて。周りを炎で囲んで完成!早速効果確認!
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名称未定【オリジナル】
熱を下げる魔法、微熱にのみ有効【魔法】
消費MP・17
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使えねー……
効果は、まだ許すが微熱にしか使えないとか……
しかも消費MP高いよ……
仕方ない、検証だ。まずはパーツ数を増やそう。
棒のパーツを増やしてみる。とりあえず5本追加!
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名称未定【オリジナル】
熱を下げる魔法、高熱でも治る、微熱に効果てきめん【魔法】
消費MP・67
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はいアホ。効果はよくなったが消費MPが最悪すぎる。
つぎ!配置をきれいにしたら?ってことで検証!
さっきと同じパーツで棒を六角形に配置っと
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名称未定【オリジナル】
熱を下げる魔法、高熱でも治る、微熱に効果てきめん【魔法】
消費MP・11
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お!効率アップしたぞ!
つまりパーツ数を増やすと効果が変化し強くなるが消費MPもその分上がる。
きれいに並べると効率が上がると。
よし、最後の1回でもっといい魔法を生み出そう。
今度は別のパーツを追加しよう!どれにするか……きめた!この小さい丸のパーツ6個と小さめの三角のパーツ3個、そして謎の文字列1個!
これをさっきのに足して……完成!
効果を見てみよう!
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名称未定【オリジナル】
炎でできた鳥を生み出し直進させ
3m飛ばしたところで爆発させる魔法【魔法】
消費MP・8
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お?思ってたのと違うけどよさげなのができたぞ?
魔法陣を罠として使うにはなかなかいい魔法なんじゃないか?
消費MPもなぜか少ないし後で試してみよう。
魔法はセットしなくていいかな?自分で魔法陣を書くならその魔法陣さえ覚えてけばセットしないでも使えるらしいし。
にしてもフィアのやつ遅くないか?
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あれから20分後、まだフィアは来ていない。
そのあいだ、俺は【魔力纏い】を使用して魔力コントロールの練習をしてたり、親友の大樹と連絡を取ったりしていた。
………遅いな。
俺だって暇なんだよ。あ、【魔力コントロール】ってスキルが生えた!
効果は?
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魔力コントロール
魔力をコントロールし、次に使う魔法の消費MPを半減する。
【整備】自身の周囲の魔素を自分の魔力として一部使用できる
リキャスト・20秒
消費MP・0
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……割と壊れスキル来たな。とはいえ20秒のリキャストが微妙につらいが。
「すみません。わたしのおにいちゃん知りませんか?」
ん?あそこにいるのってもしかしなくてもフィアだよな……
周りの人に聞いているがあれじゃあ騙されるぞ?フレコは送ってるはずなんだが……
フレンド通話に切り替えてっと。
「もしもし?フィアか?」
「お兄ちゃん?あ!そっか!フレンド登録してたんだっけ……」
「お前、相変わらず抜けてるな。噴水の向こうで手振ってるのがお兄ちゃんだ」
「おーあれかー!ありがと!それじゃ!」
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「何とか合流できたね!」
「できたね!じゃねぇよ。あのままだと面倒なことに巻き込まれてたぞ」
「ごめん……」
「謝ればよし!それじゃあこの後はどうすんだ?」
「確か冒険者ギルドで登録だったはず」
「了解!それじゃあ行くか!で、どこにあるんだ?」
「さぁ?そこにたどり着けてからが本番としか聞いてないや」
なるほど、それじゃあ周りの人に聞き込みしますか。見てろ!俺がさっきおばちゃんとの会話で鍛えたテクを!!
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ってなもんよ!どうだ!
「お兄ちゃんまた変なこと考えてるでしょ」
「なぜわかったし……」
「そりゃ顔に出てるし?」
「そ、そうか……で、ついたわけだがでかいな」
「そりゃ、ギルドってでかいもんでしょ」
「それもそうか」
「それじゃあさっそく登録してくるわ」
「私もしてくる!」
さて、特にイベントもなく俺の番がまわってきた。途中割り込みはあったけどそのたびにいかつい顔のおっちゃんに連れてかれたみたいだから気にしちゃいけない。
「何の御用でしょうか?」
「冒険者の登録をしたいんですけど」
「かしこまりました、こちらに手をかざしてください」
そういってお姉さんが取り出したのは青い大きな宝石だった。
おー、よくあるステータス鑑定のやつか?それとも魔力鑑定?これに手をかざせばいいんだよな。はいっと。
すると青い宝石がほんの少し光った。
「OKです。それでは続いてこちらに登録したい名前とクラスを記入してください」
「了解です。名前はスカーレッドでクラスは……」
いや待てよ?今登録したい名前とクラスって言ったよな。てことは偽の名前とクラスを入れてもいいってことだよな……
悩む……けどここは正直に書いても問題ないよな。クラスは整備士っと。
「ありがとうございました。それではこちらがあなたのギルドカードになります。Eランクからのスタートになるので頑張ってランクを上げていってください」
「わかりました。ありがとうございました」
よし、これで終わりだな。フィアと合流しy[称号・【丁寧な正直者】を入手しました]なんだ!?
もしかしてあれか!?さっき丁寧な受け答え(普段通りなんだが……)して正直に書いたからか!?
しょ、称号の効果は……
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丁寧な正直者
この世界での会話で丁寧な正直者と思われた者に送られる称号
【丁寧な正直者の舌】というスキルを入手できる
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丁寧な正直者の舌
丁寧に正直にしゃべると子供と老人からの好感度上昇【パッシブ】【称号】
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なるほど。称号でスキルって手に入るのか。しかもパッシブだし。
戦闘にかかわらないけど割と重要スキルっぽい?これはほかの人も似たような効果の称号持ってそうだな。
ただ最初にナンパした人とかは大変そうだな。
ここからは2人での行動がメインです!
スカーレッドとフィアみたいな仲のいい兄妹ってやっぱりいいですよね!
次も明日を予定しています
次回をお楽しみに!