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メディア

 お昼過ぎ、実家から東京に帰ってきて一週間目、恵美は防衛省の道路一本挟んだ正門前に立っていた。

 防衛省に来た理由は調査隊へ同行するにあたっての説明会に出るためだ。持ってくるように言われた身分証と書類を持ち防衛省の前までついたが、入る気が起きなかった。

 正門には装甲車が二台止まっており、上にある機関銃には射手がついており銃口は空ではなく車や人が行きかう道路に向いている。

 そばには完全武装の警備員が周囲を警戒してる。

 さらに車両が蛇行するように腰ほどある高さのコンクリートブロックが設置されている、自動車爆弾を警戒しての処置のようだ。

 事実、防衛省を含めたすべての省庁庁舎は暴動などで襲撃されていた(防衛省は計五回)。

 新年号二年、警察だけでは治安維持をできないと判断した政府は、警備会社の権限を強めることを決定した。

 その結果、警備会社は認可を取得すれば銃器を保有することが認められた。その際は警備員は車のように拳銃や短機関銃サブマシンガン、小銃ライフルの使用免許を取得しなければいけない。

 現在の警備会社の数は五〇〇〇社以上。

 そして銃器により武装している武装警備員の数は二〇万と警察や自衛隊に並ぶ武装組織に成長している。主な警備会社の武装警備員は銃の使用経験のある警察や自衛官などの退職者、スカウトされた人間が入っている。さらに警備会社によっては警察や自衛隊の特殊部隊出身者オンリーで埋めているところもある。

 警備会社の形は大きく変わり権限は今や警察以上の権限を持っている。全国から交番が消え、街角には完全武装した武装警備員が立っている。

 犯罪者などの拘束・逮捕も今や過半数の七割近くを警備員が行っている。

 警察と言えば人員の増強は行われず、同時にこれまでしてきた仕事は徹底的に消えた。交通違反を取り締まるのは白バイや覆面パトカーではなくオービスといったカメラなどで自動化。

 殺人事件で刑事が聞き込みすることも消え、同じように新年号一年末から至る所に設置されるようになった監視カメラで部屋にいても犯人が分かる。政治家を護衛するのもSPではなく、拳銃や短機関銃で武装した警備員が行っている。

 今や何かあったら一一〇番、ではなく最寄りの警備会社に電話をする、という状況だ。いつもでも誰でもフレンドリー、の恵美でも近づくのをためらう程だ。だが恵美はその防衛省に呼び出されたのだから、意を決し近づいた。恵美は横断歩道を渡り、恐る恐ると入り口に近づく。正門の両脇に武装警備員の視線に耐えながら受付に到着した。

 「あの、デジタルメディア社の如月恵美です。

 ええっと、新大陸調査隊警備部門から呼ばれてきたのですが」

 「はい、如月恵美さんですね・・・確かにあります。

 担当の者が来るのでここでお待ちください」

 受付にいた女性は無愛想に手元の書類を見ていう。五分程待たされ、制服姿の自衛官がやって来た。

 「デジタルメディア社の如月恵美さんですか」

 「はい」

 「送付した書類と身分証をお持ちでしょうか」

 「ええっと、はい」

 恵美は送られてきた書類と免許証を渡す。

 「少しお待ちください」といい少し入ったところにある建物に消えた。今度は待たされずにすぐに戻ってきた。

 「確認できました、こちらをお返しします。

 これを敷地内にいる限り見えるように首にかけてください、出なければすぐに警備に拘束されるので注意してください」

 身体検査に手荷物検査を受け、恵美の顔写真入りの証明証が渡される。防衛省では一日二回の見学ツアーを行っていたが、治安の悪化に伴い今ではやっていない。

 恵美は正門入って正面の庁舎A棟に案内され、会議室に案内された。

 室内にはすでに十数人の人間がいた。自衛官とは違う、恵美と同じような服装と雰囲気の人間だ。調査隊に参加するメディアの人間だろう、事実恵美も何回か顔を見た他社の記者が数にいた。

 「担当を呼んで来ますのでもうしばらくお待ちください」

 恵美をここまで案内してくれた自衛官が出ていく。恵美は手持ち無沙汰に空席に座る、普段なら話しかけられるだろうが、誰も話しかけるどころか口を開かない。

 正門とはまた違うピリピリとした空気に外に出て新鮮な空気を吸いたい気持ちを抑え、テーブルに取材道具をバッグから取り出す。

 ノート、筆記用具、レコーダー、そしてノートの頭に今日の日付と場所を書き終わった時、会議室に二人の人間が入ってきた。

 「これより新大陸調査隊への同行取材に関する注意事項の説明を始めます」

 広報官と自己紹介した二人は同行取材の注意事項の説明を始めた、スムーズに進み「最後にこれにサインをしてください」と広報官の一人が全員へ一枚の紙を配る。

 誓約書にはいくつか書かれていた、要約するとこう書かれていた。

 『怪我または人体を損傷、死亡する危険性がある。現地(大陸)調査の際は同行する部隊の指示に服従すること。

 同行するにあたって出る“被害”の責任は一切防衛省並びに政府は認知しない。上記の項目を全て理解し自己責任であることを理解した上で調査隊へ参加する』

 誓約書や内容は予想通りだったらしく異議を立てる記者はいなかったが、恵美は誓約書にあった一文に同じ疑問を抱いた。その一文には『調査隊との意思疎通を円滑にするため一部訓練に参加すること』と書かれている。一部訓練に参加すること?どいう意味だろう。

 同じことを思っていた一人の記者が広報官に質問する。

 「この訓練に参加する、というのは?」

 「文字通りの意味です。これに関しては二佐から説明してもらいます」

 今度はもう片方の二佐と呼ばれた自衛官が説明する。

 「調査隊に参加する部隊はすでに招集され、近々訓練を開始します。あなた方は部隊の訓練中盤に参加します。十二月十日から十七日の一週間」

 「似た地形?どこです」

 「択捉島です」

 択捉島。七年前に日本へ“戻って”きた千歳列島、つまり北方領土(千歳列島)の中で一番大きい島。

 千歳列島の近海には豊富な海底資源、天然ガスが豊富にあった。資源開発に必要な海上施設建設するための物資集積所、作業員の生活基盤が千歳列島で空港が唯一ある択捉島と国後島それぞれにある。

 余談だが、この二島にはロシア軍基地がある。

 小銃や機関銃、対戦車砲、ロケット砲、北海道近海を射程に収める対艦ミサイル、択捉島の空港には十機以上の戦闘機といった航空機が発見された。それら兵器は全てその場で爆破処分されるか、北海道や本州に運ばれた。

 沖縄同様に過激派がロシア軍兵器を奪取して、独立宣言をされては困るからだ。


 「どんな訓練をするのですか?」

 「主に行軍を中心に基礎体力測定と緊急事態の対処能力を覚えてもらいます。あと訓練へ参加する際こちらのリストに載っている物を全て揃えてください。

 それらは新大陸にも持っていく物です」

 配られたリストには生活品などや通信機器の予備などが記載してあった。

 メディアへの説明が終わったのは陽が沈んだ一七時頃だった。恵美が帰ろうと席を立った時、背後からかけられた。

 「よう、恵美」

 「あ、お久しぶりです笹木さん」

 話しかけてきたのは笹木ささき一郎いちろうだった。笹木は既存メディアで一番の売り上げを誇るM新聞社の記者で、よく取材が被るうちに仲良くなった記者だ。恵美がまだ新人の頃は色々と記者の知識を教えてくれた一人でもある。

 「これから会社に帰るのか」

 「チーフに説明会の報告をして帰ります、笹木さんは?」

 「俺は直帰するが、その前にメシでもどうだ」

 「おごってくれるんですか」

 「そんなに高いヤツじゃないないなら」

 「やった!」

 苦笑いする笹木を先頭に二人は防衛省を出て、駅の近くにあったファミリーレストランに入った。

 前は全国にいくつものレストランチェーン店が存在したが、今は殆どが合併し統合され大手チェーン店は三社ほどしかない。

 レストランの中はファミリーレストランという名の割に家族連れはおらず、スーツ姿の人間が殆どで恵美と笹木のように普段着の人間は少し目立つ。入ってすぐの場所に空席かどうかが表示されている端末がある。

 都市部の飲食店の殆どがこの端末を導入しており、空席の確認や料理の注文、支払いを端末一つでする。

 従業員が全てをする店は高級店か小さな個人経営でしかやっていない、接客といえばこの端末によるものを今は差す。

 さすがに調理や料理を席に運ぶのは給仕が行う。四~六年後には八〇パーセントの飲食店全てがオートメーション化され、全てロボットが行うとされている。すでにオートメーション化された店がいくつか試験的にある。

 笹木が端末に表示されている空席をタップする。すると天井に埋め込まれているプロジェクターが起動し、床に矢印が投影され二人が矢印通りに進むと笹木が端末でタップした席に着いた。窓際の方に箸立てやカトラリー、ナプキン、塩コショウが置いてあり傍には小さな端末がある。この端末を使い料理などを選び注文ができる。

 「一番高い料理は何かな~」

 「あんまり高すぎるヤツはダメだぞ」

 高い値段の料理を頼む気満々で端末を眺める恵美に、笹木は置かれていたポットから二人分の水をコップに注ぎながらいう。

 「私は決めました。どうぞ」

 注文済みと書かれている欄にはステーキとある、笹木は唐揚げとビールを注文しながら話す。

 「親御さんは許したのか?」

 「ええ、思っていたより簡単に。笹木さんのご家族は?」

 「少し前に成人した娘が一人いる。家内は八年前に病気で死んだ」

 「・・・そうでしたか、すみません」

 「謝るな。こっち(第二地球)に来る前に“豊かな”日本で、家族に看取られて死ねた。

 食糧不足、医薬品不足の中で飢えに苦しみながら死ぬのとは全く違う」

 笹木のいう通り輸入がストップしてからは、医薬品不足により死亡する人間がそれなりにいた。

 会話が途切れた時「お待たせしました」とウェーターがビールジョッキを笹木の前に置いた。「あんがとさん」笹木はウェーターに礼をいい、ジョッキを持ちビールを一口飲んでから話を続ける。

 「昔話はここまで。しかしチップを埋め込むことになるとは・・・少し前なら考えられないよ」

 「今の時代は合理か非合理かで物事を決める時代ですからね。それでいったら埋め込みは合理的でしょう?」

 「若い人から見ればそうだろうよ。

 俺みたいな中年層から見れば体内に機械を埋め込む何て考えられない、ゾッとする。誰かに操られるって発想が真っ先に浮かぶよ。それに近い将来には“埋め込まれる”立場何だからな」

 説明会では特定公務員(特に自衛官や警察)に埋め込まれているのと同じ、マイクロチップを参加するメディアの人間にも埋め込むと説明された。

 説明では二週間以内に指定された自衛隊病院で、マイクロチップの埋め込み手術を受けるように言われていた。手術事態は三十分程で終わる。


 確かにマイクロチップは公務員の中で活躍した。しかしもっとも“活躍”したのは民間であった。


 日本の状態はかつての戦争終決後と似ていた。あらゆる物資が足りなく人がいくらいても足りないところなど瓜二つだ。

 政府は使える人的ヒューマン資源リソースを総動員する。 その結果、家から人がいなくなり高齢者の面倒を見る人間がいなくなった。そうするとこれまで通りに、老人ホームや訪問介護つまり介護福祉へと負担が行く。

 だが介護福祉の現場はすでに人材不足が深刻を越えており、一人で百人を世話するなど当たり前になってしまった。さらには高齢者施設のキャパシティを越えれば待機児童と同じように待機高齢者が大量に出た。

 死亡し、死体が腐敗して初めて認知された老人が十万人近く出てしまう。この中には施設での死亡者も入っている。

 急遽作られたため衛生環境や介護知識を持たない人間などによる施設経営などが原因で二万人以上も死亡した。

 マイクロチップの登場によりこれが大きく改善される。

 だがこれは別の問題が浮上した。確かにチップの登場により誰にも知られず死亡し、死体が腐敗して初めてその存在が認知されるということはなくなった。だがそれでも焼石に水の状況だった。

 政府や福祉現場は更なる“効率化”を求めた。

 その結果生み出されたのは巨大な「高齢者福祉街」である。

 高度経済成長期に建てられたマンモス団地や公団住宅を巨大な老人福祉施設つまり老人ホームへ改造された。通常の老人ホームの定員は多いところでも一〇〇~二〇〇人程だが、この高齢者福祉街は小さくても五〇〇以上で最大のもので一〇〇〇人以上を収容することができた。 

 全ての棟にはエレベーターが付けられ、部屋の全てがドアはスライド、床はフローリングへ改装されている。街の中には病院は当然としてスーパーや飲食店に娯楽施設といた全てがそろっている。

 そしてここに“組み込まれた”高齢者全員にマイクロチップが埋め込まれており、体調が急変した場合は病院から介護スタッフが位置を特定し急行する仕組みになっている。

 説明だけ見れば本人と介護する側、両者が得するように見えるが全く違った。

 エレベーターが付けられているが、わざわざ五階も六階もある部屋から外出するのに制限がある高齢者からは億劫に感じる。

 そのため入居者の殆どが部屋から出なかった。食事は自分でも調理したり外食できるが、施設からも頼めば配達されるため、買い物に出る必要もない。

 部屋という閉鎖空間から出て、屋外の空気に触れるという行為は人間・生物にとって生きる上で絶大な力になる。痴呆症なども他者と交流や外出するだけで改善や進むのを抑制できる。

 システムに組み込まれた高齢者たちは徐々に外出もせずに部屋に籠るようになる。

 やることもなくただテレビを見るかボーっとし、一日三回、朝昼晩の配膳以外に人とも外の空気にも触れない。動けなくなればベッドに寝かされ、トイレや食事は職員によって事務的に行われる。

 こんな空間にいれば本来長かった寿命は短くなる一方だ。事実このシステムに加えられた場合、殆どが短くて六か月、長くて一年と少しで死亡している。

 そしてチップから送られてくるデータをコンピューターが監視しており、体調の急変を察知したコンピューターが職員に知らせる。そして職員は部屋に向かい入居者である高齢者に延命措置を取る。

 中には「殺してくれ」と訴えても職員は事務的対応し、何のためにするかわからない延命処置をする。

 死亡すれば職員は部屋を退出し、同じ敷地内にいる葬儀屋に連絡し死体が火葬場へ運ばれ通夜も行われない。

 葬儀屋とはまた別業者が遺体を洗浄され、病院の入院患者の着るような薄い服が着せられ、ベニヤ製の棺桶に入れられ火葬される。

 火葬されている間に清掃業者が部屋を清掃し数日中に次の高齢者が入る。

 戦後、日本を築き上げてきた年老いた日本人は社会から隔離され、ただ事務的に処理され日本から消えていった。

 法律上はこの巨大システムはグレーゾーンに位置しているが、人道上でいえば大きく逸脱している。だがこのシステムを真っ向から非難する人間、日本人は殆どいなかった。

 他者に目を向けられる余裕がなかったのだ。誰もが「仕方ない」の一言で片づけてきた。このシステムにメスが入れられ改善ここ数年で「うばすてやま」のようにいっそのこと捨てられて死んだ方が“まし”なのが現在の日本の実情だ。

 笹木といった中高年層の人間は体内チップに対してはマイナスイメージしかない。今回同行する記者たちに埋め込まれるのは自衛官と同じタイプのマイクロチップで、生体データと位置情報が分かるものだ。

 「娘さんは反対しなかったのですか?」

 「最初は反対されたが、説得の末ってやつさ」

 先程のウェーターが今度は唐揚げとステーキを配膳する。 笹木は割り箸で唐揚げを一つ口へ放り込み少し咀嚼してビールで胃へ流し込む。恵美もナイフとフォークを使いステーキを一口に切り食べる。

 「この肉、まあまあ食える方だな」

 「そうですね。

 最近食べた中で一番“本物”に近いかもしれません」

 二人が食べている鶏肉と牛肉は全てブロイラーつまり薄暗い工場のような屋外で育てられたものだ。

 昔のように少し高いお金を払えば、放し飼いで太陽の下で育った豚や牛、鶏などの肉が食べれた。だが今では全ての食肉はブロイラーであり太陽の下で育っている食肉用の動物は存在しない。

 環境汚染によるのもあるが、一番大きいのは需要と供給を満たすためだ。

 ブロイラーの代名詞だった鶏の場合、ヒナから成鶏になるまで通常五か月要するがブロイラーだとこれが四〇~五〇日にまで減る。しかも一度に数千羽だ。これと同じように豚や牛といった食肉用動物は同じようブロイラー化された。

 成長速度は上がりこれまでの飼育期間は半分、もしくはそれ以下にまで短縮され毎日工場から加工された肉が出荷されるようになった。

 だが最初期の鶏以外のブロイラーの味はマズイの一言に尽きた。肉の触感はブヨブヨと油っぽく味がなくパサパサと、初めてのブロイラー鶏と同じだった。だが飢えていた人々には味など関係なかった。食べられて栄養が摂取さえできれば良かった。

 しかし最近になって質より量、という生産方法は見直され量も大事だが質も大事という方向へシフトチェンジしつつある。

 野菜も八割以上がプレハブもしくは植物工場つまり二四時間すべてが管理されている空間で育てられる野菜だ。ブロイラー同様に生産性はいいがやはり味っ気がない。

 自然で採れる食べ物といえば今では魚介類ぐらいしかない。

 恵美が本物に近い、といったのは殆どの人がブロイラーのことを偽物と呼んでいるからだ。

 二人はおいしい肉と酒がマズくならない、当たり障りのない話に替え料理をよく味わった。そして恵美がステーキを食べ終えナプキンで口元を拭きながら笹木に尋ねた。

 「先輩からコレは持っていた方がいい、見たいな品はあります?」

 「そうだな・・・ポラロイド、かな」

 「ポラロイド?ポラロイドカメラですか、こうベローって出てくる?」

 「向こうの住人と接触して食べ物と一緒に活用すればうまく仲良くできるだろう。映像よりも自分たちの姿がジワーと紙に浮かんでくるからウケると、思う」

 最後は自信なさげだったが恵美はさらに尋ねる。

 「ポラロイドカメラですか、手に入るかな・・・」

 少し前までなら趣味や一部の写真家がフィルムカメラを使っていたが、大恐慌や資源不足も重なりフィルムを製造している会社存在しない。

 「古い型でフィルムも少ししかないので良ければ一つやろうか」

 「本当ですか。ではお言葉に甘えてもいいですか?」

 「ああ、近日中に会社に送っておこう」

 「ありがとうございます!」

 「あとはそうだな、まあ万国共通のお菓子じゃないか。

 昔アメリカ兵が日本の子供にチョコを配ったみたいにお菓子をあげて子供から仲良くなり、あわよくば大人たちとも、ってね」

 「でもチョコは高すぎますよ」

 「なら飴なんかどうだ?飴なら安いし日持ちもするし、ものによってはキラキラと宝石に見えるのもあるだろう。

 子供だけではなく大人も喜ぶだろうよ」

 「飴なら確かに簡単に手に入りますね」

 それから二人はしばらく新大陸に持っていく物を話し合った。 

 

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