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結果

 日本では憲法改正を除き国民投票により物事を決定するという法律が存在しない。

 混同されがちだが国民投票と選挙は似て非なるものだ。

 国民投票で有名なのはスイス連邦だろう。

 スイスの法律は政治家が作成するか、さらに国民も作成できる。その場合は十万人の署名したのちに議会に提出する。

 そしてイニシアチブ(国民発議)を行使してレファレンダム(国民投票)により可決される仕組みだ。

 これを直接民主主義といい、これを採用している国はスイスを含めた数か国だけだ。

 ちなみに日本は間接民主主義と呼ばれる民主主義で、有権者(国民)から選挙といったもので選ばれた代表者が国会や議会で発言・決定を行う。

 つまり国民投票を実施しようにもその法律がないのだ。

 もし国民が「だったら作ればいいではないか」と言い出したら?数年前の法律家や政治家が聞いたら鼻で笑っただろう。

 だが今は違う。

 大暴動以来、国民は今までにない程政府に押さえつけられてきた。その結果情報庁の報告書にもあった通りもし政府が前政権同様いや少しでも国民の意思を無視しようものなら反乱が起こるだろう。

 今の国民は昔同様に羊だが狼にもなりうる存在と化している。

 話を戻す。国民投票がないのなら作ろう、そして新大陸と干渉する・干渉しない、と白黒つけようじゃあないか。そういった声が徐々に広がっていた。

 それも野党や与党の有権者までもがそう言いだしたのだ。その声は日に日に増していき、ついには国民投票を可能とする法を作成せよ、という運動が立ち上がる。

 そして一〇〇〇万人以上もの署名が集まり、事件発生から六か月後には署名は三〇〇〇万人にも上り、政府と各党は国民の意思を反映しなければいけなくなった。

 事件発生からちょうど一年後には国会に「国民投票意思反映法」が満場一致で可決された。

 「国民投票意思反映法

 一、日本国の有権者たる日本国民は国民発案・解任・国民投票を国家に求めることができる。

 二、 その場合、提出である人間・代表者は日本国民の三分の一、の署名をもって求めれる。

 三、以上をもって意見・法案・改正・破棄が求められた場合、政府および国会は六〇日以内に投票場を設けなけること。投票期間である三十日間は二四時間投票場を開けること。

 四、投票期間である三十日の間、政府は投票結果に左右する情報工作、またそれを支援することも禁ず」


 法案の可決から一か月後、必要な三〇〇〇万人を上回る五〇〇〇万人の署名が政府に提出された。

 何千万枚もの署名の束いや山の上には一枚の書類が置いてあった。そこには短くこう書かれていた。

 「新大陸への干渉の是非を問う国民投票を実施を」と。

 一月後、全国各地の主要都市に国民投票場が設置された。 そして国民は何かに取りつかれたように投票場に向かった。三十日間に及ぶ投票期間で投票総数は何と八〇〇〇万人もの国民が投票したのだ。

 国民投票の結果を発表することは当初は総理大臣とされていたが、国民投票はあくまで国民自身が出した結果だから国家の長たる総理大臣が発表するのは不自然だという声が上がった。

 議論の末、発表するのは天皇が行うことになった。

 日本国憲法代一条には

 「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴あつて、この地位は、主権を存とする日本国民の総意に基ずく」

と定められている。

 三分の二もの国民が選択した結果を日本国民の総意である天皇が発表する。これ以上にふさわしい人物はいない、ということになった。

 宮内庁は天皇陛下を政治に使うなど、と反対したが古賀総理は今回限りと押し切った。

 国民投票の結果が集計されてから三日後。

 皇居の一室にて天皇から国民投票の結果が発表された。

 日本人強いては人民の意思は「接触」だった。

 大陸から死者を乗せた船が一七〇年前の黒船の時よろしくやって来て一年。日本しいては日本人は自らの意思で再び動き出した瞬間だった。

 

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