表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/38

始まり

 この作品は全て架空のものであり、実在の人物・組織・団体・実際に起きた出来事と類似する点があっても全てフィクションである事をあらかじめ断らせていただきます。承知した上でお読みください。

 (この縦読み用の行進頻度は著者の気分に左右されます。ですので更新は横読み用が先です、ご了承ください)




 西暦二〇十八年十二月三一日 

 平成三〇年 日本標準時二三五〇時。 


 来年の二〇十九年には様々な行事や準備の年だ。

 五月には天皇の退位と新天皇の即位があるのと同時に平成から新たな年号へ変わる年でもある。

 あとは実に半世紀ぶりに開催される二度目の東京オリンピックの開催だ。

 そのための都市工事が既に終わっているはずだったが、工期が遅れに遅れ間に合わせるため突貫工事で東京に限らず全国で進められていた。

 様々なことが年明けから予定されていた。

 年明け数時間前、全国には様々な人が年を明けるのを疑い、いや疑うこともなく過ごしていた。



 休暇を取り妻や子供と実家へ帰省する人


 友人らと年明けパーティーをする人


 意味もなく、人恋しく、待ち合わせをする人


 日の出を山の頂上、海の上で船へ、空中から見ようと移動する人たち


 金欲しさに体をうるために待ち合わせをする人


 人と関わることを拒み部屋に籠る人


 休暇も取らずに仕事をする人


 薄着で炊き出しへ向かう人


 外国で休暇を過ごそうと出国する人


 宇宙で年を迎えようとする日本人もいた。  



 『こちらヒューストンからISSへ、パーティーの準備は進んでいるか?』

 「こちらISSの良太、アルコールなしのビールパック片手にカウントダウンを待っている」

 『ははは、こちらも君たちと同じくノン・アルコールビールで一緒乾杯するが、私は家に帰宅したら三〇年物の良いワインで妻と乾杯する予定だ』

 「クッソ・・・・」

 ISSに乗り込んでいる日本人宇宙飛行士である上坊良太は管制官の嫌みに吐き捨ているようにつぶやいた。

 ISSは元々冷戦時に米国が旧ソ連との宇宙開発競争の産物であったが、ソ連崩壊に伴い不要の産物となる。

 完成どころか計画は二転三転した結果、ロシアや日本を含む一五国での国際共同での建設になった。

 そんなISSに乗り込んでいるクルーたちは新年を祝うためちょっとしたパーティーを開いていた。

 もし地上ならビールかワイン、日本酒で乾杯するとこだがNASでは宇宙空間での宇宙飛行士のアルコール飲料の摂取を固く禁止している。

 そのため祝い事の際の飲み物はジュースか良くてもノン・アルコールビールだけだ。

 しかも悪いことに良太は酒好きで、その彼からすればノン・アルコールビールはジュースとさして変わらない。

 だが良太はアルコールの当てが一つあった。

 「セルコビッチく~ん。少しお話しようか」

 「何ですかリョウタ」

 良太がニヤニヤと話しかけたのは同じ、宇宙飛行士クルーであるロシア人のセルコビッチだ。

 「その手に持っている飲料パックは何味かな~」

 「え、ただのオレンジジュースですけど・・・」

 良太はセルコビッチの目が一瞬泳ぐのを見逃さなかった。 良太は無言でジッとセルコビッチを見つめた。しばらくしてセルコビッチは両手を上げため息をした。

 「はあ、分かりましたリョウタもどうぞ」

 「ふふん、分かっているじゃないか」

 セルコビッチから差し出された飲料パックを満面の笑みで良太は受け取る。

 そして早速飲料パックの封を切って臭いを確かめる。

 飲料パックから香る臭いは柑橘系のオレンジではない、無臭だ。

 「ふふん、ウォッカか」

 NASAでは確かにアルコール飲料を禁止している。

 だがロシアの宇宙開発機構であるロスコスモスでは宇宙でのアルコール摂取を許可こそしていなが、黙認している節がある。

 それに現在ISSまでの人員輸送の手段はロシアのソユーズ宇宙船しかないため、アルコールを持ち込むことは簡単だ。

 歴代のロシア人はアルコールを持ち込んでいた。

 セルコビッチも例に漏れずに持ち込んでいた。

 しかもご丁寧にパックに入っている。

 「俺は少しやることがあるから先にパーティー会場に行ってくれ。あ、これは少し飲むからな」

 良太はウォッカの入った飲料パックを持ち上げていう、セルコビッチは苦笑いしながら頷き食堂へ向かう。

 クルーのバイタルは常に全て地上の管制官にモニターされている、そのため例え少量でもアルコールを飲んだら脈拍ですぐに分かるだろう・・・そして誰が持ち込んだかも。

 地上が見える窓をのぞき込むとちょうど日本列島の上空だった。

 日本を見ながらウオッカを少し口に含む。

 久しぶりのアルコールしかも度数の高いウォッカに良太はむせ返った。




 日本標準時 〇〇〇〇時。 




 良太は壁を蹴り食堂へ向かう、先程まで騒がしかったがやけに静かな気がした。

 食堂へと着いたがクルーの一人も存在しなかった、食べかけの缶詰やパックが浮いているだけだ。驚かそうとしているのか?と思い探す。だが探しても探しても見つからない。 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 跡形もなくいない。心拍数が早くなるのが自分でもよく分かった。

 落ち着け、と自分に言い聞かせて地上と交信を試みようとしたが全くつながらなかった。

 地上と全く交信不可能なのだ。

 急にこのISSだけではなくこの宇宙で自分1人だけなのでは?という考えがよぎる。

 何度も通信を試みた。ふと近くの窓を除いたとき良太はドキッと心臓が一瞬止まった。

 ISSは地上から四〇〇キロ上空を秒速七・七キロ、速度にして二七万六〇〇キロで地球を回っている。

 わずか九〇分で地球を一周しており一日で一六週もする。

 つまり太平洋上空でも少し待っていればユーラシア大陸なり大小の島が見えるはず、だが眼下に見えている地上にはただただ海ばかりが広がっている。

 大陸どころか島の1つも見えない。

 通信機から離れ窓にしがみつくように地上を呆然と見つめた。どれほど時間がたっただろうか?良太の目に故郷である日本列島が見えた。

 しかし日本列島は光に包まれておらず所々しか光はない。 さらに日本列島の周りにあるはずの朝鮮半島やユーラシア大陸が文字通り()()()()()のだ。

 代わりといわんばかりに日本の周りには四国や北海道ほどの大きな島がいくつも見えた。

 完全に思考が停止した良太は先ほどまで待ち望んでいた交信がきた。

 『―――こちらジャクサ、聞こえますかISS?こちらジャクサ―――』

 窓から目を離さないでマイクを手に取った。

 「こちらISS、そちらの声ははっきりと聞こえている」

 『全国規模の停電により管制室も停電していました。NASAや他の宇宙局と通信がつなりません、原因不明ですがほとんどの通信衛星もダウンしている状態です。ですのでそちらが日本上空を通過している今しか通信できません、そちらからNASAと通信は可能ですか?』

 「聞こえるか、日本の周りがいや陸地が―――」

 果たして信じてもらえるだろうか



 「消えた」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ