したかしていないかわからない約束
小さいころから夢を見る。この異世界に転生してからずっと見ている夢がある。
「異世界ってあると思う?」
屋上で目の前にいる女の子が唐突に変なことを言ってきた。その女の子の顔は黒くなっていて見えないが、ずっと一緒にいたと思えるような安心感があった。
「わからない。実際に行ったこともないし行ったって人を見たこともない」
と答えると女の子は屋上の手すりの方まで歩いて行って「つまらないな~」と言った。
「もし、もしも異世界があったとして、そこに行けたり転生したりするようなことがあったら私を探してくれる?」
その答えを言い終わる前に必ず目が覚める、覚めてしまうのだ。その子の顔の名前の思い出せないまま必ず答える前に目が覚めてしまう。自分の名前や趣味、好きなアニメや映画、転生する前の家族の名前は覚えているのに夢に出でくる女の子のことだけが思い出せない。
この異世界に転生して15年、気がつけば言葉も喋れない子供の姿になっていたし、正直わけがわからなかった。そんな中で唯一の救いは両親ともに優しい人だったことくらいだった。
「ご飯よー早く起きなさーい!!」
母親が呼んでるのでベットから降りてそのままリビングへ向かう。リビングでは先に親父がご飯を食べていた。
「また寝癖がついてるぞ、お前は少し抜けてるところがあるからお父さん心配だぞ。」
と親父から注意されるが気にせずご飯を食べる。すると親父が、
「お前こんなんで大丈夫か?明日から旅に出るというのに、、、」
そう、不肖この俺、レイ・シュトロームは15歳にして、したかしてないかわからない約束のために、いるかいないかわからない人を探す旅に出ることにしました。