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桜子さんのショートショート

異世界で即戦力になるには、これが一番

作者: 秋の桜子

異世界の人々と、魔物との戦闘が、佳境迎えていた。

その世界において、魔物の勢力が強く人類は、苦境に立たされていた。このままでは、蹂躙されてしまう。


神に救いの手を願いし人々、それに女神が応える。


何処からか優秀な、勇者になるべき者を、召還しなければ、


この世界に置ける、人類が滅んでしまいわすわ。と

 息を潜めろ!息を殺せ、心臓の鼓動、静まれ!悟られる!


 ……時は闇夜、訓練所の種物の影に、俺は隠れている。手には抜き身の剣を、懐には短剣が数本、今の手持ちはこれだけ。


 実践形式の訓練、これに勝ち残る事が出来れば、任務中で『外』に出れる、この国から、外に出れる!



 ……奴隷制度がある国、俺の父も母も奴隷だ。身分制度が決まってるこの国では、


『奴隷の子供は、成り上がれなければ、生涯奴隷、先ずは男も女も、見目が綺麗ならばハーレム、それか奴隷戦士』


 俺は幸い両親が、優秀な元奴隷戦士、若い時は『暗殺者』だった。


 俺は、歩き始めたら直ぐに、両親からの手解きが始まったと聞いている。


 ハーレムに行くことよりも、良いだろう……


 そう考えた父と母の考えからだ。十の年齢には、訓練所に入れられた。その後二人とは会って居ない。


 最後にあったとき、戦士として、地位を得ていた父母は、何処かの戦場に行くとは言っていた。


 つくづく戦闘が好きなのだ、と二人して笑っていたけど。


 戦う事でしか、居場所がない人生を歩いて来たのだから、当然かとも思う。


 そして俺も、その道を歩き始めていた……


 ……チャリ、かすかな足音が聞こえた、誰だ?間抜けなやつだ。右前方からの気配、打って出るか……


 俺は剣を握りしめ、敵を、共に学びし仲間を殺す為に、気持ちを上げていく。


『視覚に頼るな』両親の教えが頭を過る、目を閉じる。聴覚、嗅覚、触感、全てを研ぎ澄ませる。


 さわと異質な香りが俺を包んだ、血の香り、それに薬草、毒を使う者もいる。誰だ。この気配!誰の気配か……


 数を数える、漆黒の闇の中で、近づく敵の呼吸を感じる。それに合わして行く俺。気配をかさねる。同調させていく……


 そして、頃合いを見計らい、一気に駆けて出る。


 深く踏み込む、そして空へと、天へと、力の限り飛び上がる。


 高く、高く、果てなく高く、望みを、願いを込め俺はそこを目指す!


 剣を大上段に構え、対象物を刃で捕らえる、


 重力を味方に躊躇なく、振り下ろし切り捨てる。


 今まで何人切り殺して来ただろう、生きるためには殺すしかない。それに関しては何も思わない。


 道端に咲く花を切り払うのと、何も変わらない。そういう世界で生きている俺。


 強くなる事だけを追及してきた。なぜなら成人前に『外』に出るには『暗殺者』となるより方法がない。


 それならば、国から資金を得て、個人で外の世界でしばらく過ごす事ができる。


 もちろん、人殺しをしながらだけど


 そして俺の両親みたいに、優秀ともなれば結婚も許され、主なき身分に成り上がれる。


 同じような、成り上がりの大人達の中には、行商人になり旅三昧で、気楽に過ごしている人もいる。しかしその実は、


 彼等は各国を巡り、国の為に情報を集める、隠密集団だ。散っている暗殺者に、渡りをつけるのも彼ら達だ。


 しかしそうはならなかった俺の両親は、戦う中での高揚、己の中で溢れる喜び、楽しい、愉快、それに飲み込まれたと言っていた。


 ヒリヒリと痛い、生きている実感から逃げられなかったと笑っていた。


 なので、戦士の地位を得て、結婚の自由を得て俺を産み育てた。


 しかしその育て方は、目にする他の子供とは全く違ったけどな、


 まぁ一人で匙を使える様になった頃に、手渡されたのが、今使っている『剣』これはご近所さんから聞いた話だけど……


 ×××××


 ――どぉ!と袈裟斬りにした敵が倒れた。


 返り血を浴びぬ様に、ぐっと足に力を込めると、数歩後ろに下がり、ざっと飛び避ける。


 それと同時に絶対的な違和感の足元、そして気がつく。


 どぉ?俺が戦っている相手は、同じ年の頃だぞ!


 大人を伐っても倒れる時は、そんな音しないし!それに奇妙に、足元が柔らかい!なんだ?


「て、これ何?」


 俺の見下ろす地面は、柔らかい草に覆われていた。石畳の訓練所では、無かったのか?それに倒れてる『モノ』はなんだ?


 そしてここは何処だ?ゆるりと辺りを見渡す。


 森の中だと?いつの間に、それとも薬を嗅がされて、幻惑が見えてるのか……


 ×××××



 ――連射、手に響く重み、耳につんざく音、火薬の香り、血の匂い、焦げた肉の匂い。


 悲鳴等は耳に入らない。私はある組織に拐われ『教育』を受けた『少年兵』幼い時に、家を焼かれた。


 父親を、幼い私の目の前で切り刻まれた。


 母親は、大勢の男が次々に、覆い被さっていたことしか覚えていない。


 私はそれを泣きもせず、声も上げず、眺めていたそうだ。


『ほう『モノ』になるな、連れていけ』


 母親との事を終えた、リーダーのその一言で私は組織に連れて行かれた。


 そこでは、私は同じように、連れて来られた年頃の子供の中でも、破格の待遇をうけた。


 リーダーが仮親、屋敷に部屋をあてがわれ、働かなくても、生活の保証を得れ、学ぶ機会を与えられた。


 読み書き、計算、礼儀作法、そして武器の扱い方、人の殺し方、それらの、一定の基準の評価を得れられてれば、何の不自由もない生活。


 私は優秀だった、なので、人混みの多い街中でもターゲットをヤれる様に、短剣の扱い方を、薬の使い方を、しかと叩き込まれた。


 小柄の身体の為に、女に化けられる私、


 卒業試験の任務はドレスに身を包み、密やかに忍ばせた獲物で、パーティー会場での暗殺。


 もちろん、優秀な私にとって、簡単過ぎる程に終わったのは言うまでもない。


 身体にそれをまとい、特性の花火を打ち上げ、迷えし人々を、神の元へと導く任務も、私は免除されている。


『父』に、ヤれと言われれば、爆薬少々と、ナイフ、数本有れば事は足りるから……


 でも、私は派手に弾薬を撒き散らす方が、好きだ。響く重さ、香りを嗅げば高揚する硝煙、次々に倒れる対するモノ。


 何よりも、タイミングをずらすと、自分も蜂の巣になると言う、ピリピリと感じる皮膚の痛みが好きだ。


 ×××××


 ある日久しぶりに屋敷に帰り『父』と食卓を囲み、明日のターゲットの話をした。


 赤く滴るレアステーキを、ナイフで切り分け、口にしながら、どう殺るのか、計画を煮詰めて行く……


 外貨稼ぎの一貫で、依頼者の邪魔者を消す、そんな事もやっている私。つまらぬ任務なのだが、高額な報酬なので、仕方なくうけている。


 ――翌日、私は街中の事もあり、至って普通のトレーナーに、ジーパン、キャップを被り、ディパックを肩から下げて、歩いている。


 ターゲットは、先程確認した。あるビルの前で、携帯で会話を、せわしなく交わしている人物。


 一歩、二歩、三歩……耳にイヤホン、音楽を聴きながら、歩いて行く、視線はもちろん落としている。


 ターゲットの足元の『靴』それを、ここ数日の張り込みで形、汚れ、全てを脳裏に刻んでいる。


 視界に『それ』が入る。もう少し、さりげなくぶつかって、数分後に倒れる様に、調整した薬を塗布してる、


 手のなかに潜ませてる得物で、一突き、ちくとした、痛みしか感じないだろう。


 全くつまらない、つまらない、と思いながら、トン……とぶつかる。


「気をつけて!今の若い子は!」


 忌々しい声は、もちろんスルーして、私は何時もの癖で、瞼を閉じ、一瞬だけ、黙祷をささげる。


 ……喧騒がなくなる。風に包まれる。そして顔を上げると、思いもしない展開が、待ってきた。


 訳のわからない、異形の形のモノが、突然、大鎌を振り上げ襲って来たのだ。


 一瞬で、構築する、戦法を!手元に有るのは数本の、毒を塗布したナイフ、他のモノはディパックの中だ!


 目を狙う、右は、紅く、左は緑の、ギラギラとした光を狙い、咄嗟にそれを投げ放つ!


 ギシャァァァ、と今迄聞いたことの無い叫び声と共に、霧と流れるそれ……


「は?ここ、何処なの、森の中って」

 

 私は、ゆっくりと辺りを見渡した。ここは?一体何処なのか……



 ×××××

 


 天上世界で、女神様がほくそえんでいました。



 ……ふふ、と後で『夢』をつかい『異世界の言葉』を通じる能力を授けましょうか、



 それだけで、充分、彼等ならば、生活環境の劇的変化にも対応出来る、鋼の精神力、耐久力を持ち得ていますわ。



 そしてなにより、戦う事においての、罪悪感等皆無……



『即戦力』になりましてよ。




 ――したたかな、女神に導かれし少年達。



 神の力を使い、時を越え、選ばれた二人の『勇者』となる者達。



 その後、破格の勢いで頭角を表した、二人は

 


 異世界において、その名を歴史に残したのは、言うまでもない。



「完」































































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