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「天上の彼方」について

 加瀬優妃と申します。

 旅人達のアレコレ~digression(よもやま話)~にお越し下さり、ありがとうございます。

 今回の内容は……

  「天上の彼方」について

でございます。


 「まくあいのこと。」について、でも述べた通り、もう話は決まっていました。

 A4で9枚ぐらいでしたかね。後は時間軸の問題で……。

 という訳で、今回もエクセルでカレンダーを作り、話を書いていきました。

 カレンダー的に言うと、12月30日「水那復活」から3月13日「運命の日」、3か月弱の出来事です。



①暁とシャロット、ミジェルのこと

 自分的に「やったな!」と思えたのは、ヒールの「絶対障壁(シイヴェリュ)」が使えたことですかね。

 そのときは深く考えていなかったことが後で効いてくると、何かとても上手に話が組み立てられた気がして(気がするだけですけど)嬉しいです。


 暁の中ではシャロットは確かに女の子で、特別な存在です。

 ただ、本人は認めてしまったらシンドくなるのが直感的にわかってるので……意識下に封じ込めていますがね。

 もう15歳ですし、闇に汚染されること、それをシャロットが助けてくれるくだりは決めていたので、一足先に大人の階段を昇らせました。(^^;)

 ……平常時なら、きっと昇らなかったでしょうけど。


 一方シャロットはさらに子供なので、ちょっと揺さぶってみるか、と思いました。

 そうして二人の間に入ってきたのがミジェルです。


 「声のフェルティガエ」は案としては前からあって、どこかで絶対使おうと思っていたので、ミジェルを登場させることができてよかったです。


 ただ「少女の味方」での年齢設定から言うと二人より結構年上(18歳)になるので、性格についてはかなり迷いました。

 三角関係にしようかとも思ったんですが、話の主軸からは逸れるし、肝心の二人が無自覚だし、個人的にあんまりドロドロしたのは好きじゃないので、結局、シャロットに刺激を与え、自覚を促す存在、という形になりました。

 もし今後、暁とシャロットの話を書くとしたら、きっといい役回りをしてくれると思います。



②ソータと水那のこと

 この一連の話の中で、私は「水那視点の話は作らないでおこう」ということだけは決めていました。

 ソータや朝日など、他人から見える水那の姿の方を書きたかったのです。

 ……ですので、ここでちょっと水那サイドの話をしたいと思います。


 ソータがユウやトーマから「水那のどこが好きか」と聞かれてずっとはぐらかしていますが、それは答えるのが恥ずかしいというよりも、「最初からこいつしかいないと思ったから」というのを言いたくなかったからなんです。


 一目惚れ……というのともちょっと違うかもしれません。

 ソータは十歳のあの時あの場所で会ったときから「こいつだ」ともう決めていて、それが「勾玉がソータの伴侶として水那を認めた」根底にあるものです。

 ……そもそも、三種の神器を司っているのはソータですから、ソータが認めなければ伴侶になれる訳がないのです。


 つまりソータが望んだことだったのですが……その辺りは、ソータもネイアも気づいてはいません。

 ……あ、でも、ソータは天界に昇ってから知ったとは思います。……多分悶絶したと思われますが。


 ハールでカガリと対峙したとき、ネイアは「ジャスラの涙の力を使う」ことを許可したのですが、あの一件で水那は勾玉と繋がり、「勾玉の力を使う」ことを()()()()()許されたことになる訳です。


 水那は闇の中に消え、勾玉と繋がってから、そのことを知ることになります。

 ソータは自分の気持ちを喋るのは下手ですから、「漆黒の昔方(むかしべ)」の最後で頑張ったけれども、それでもまだ十分には水那に伝わっていませんでした。

 「怖がらせると思って近づかなかったけど、実はずっと好きだった」ぐらいだと思います。


 ですからケーゴがトーマを大歓迎してくれて、二人が息子のトーマを可愛がる様子を見て「自分がいなくてもトーマはみんなに可愛がられてちゃんと成長していけるだろう。私は私にしかできないことをしよう。ジャスラの闇は浄化者である自分にしかできない」と決意し、闇に飛びこんだ訳です。


 三人でミュービュリに帰って、幸せに暮らしてくれればいい。……そう思っていました。

 ソータが自分にそこまで執着するとは思わなかったんですね。


 ですから、闇から復活した水那はやや積極的です。

 ソータの不器用さ加減が24年という年月の重みでよくわかったので……そして復活してからも全然変わっていなかったので、「この人は本当に、もう……」と溜息をついたのではないかと思います。


 ですので、ちょいちょいソータを引っかけるというか、反応を見るような言動をするようになりました。

 やっぱり女の子ですからね。好きだという意思表示はしてほしいですから。



③朝日とユウ、夜斗のこと

 実は夜斗に、恋人とまではいかなくても癒しの存在となる特定の女の子を作るかどうか、悩んだ時期があります。

 このとき思いついたのが「声のフェルティガエ」で、喋れない彼女の面倒を見ているうちに……というようなストーリーでした。


 でも全然ピンとこなくて、Nに「夜斗に特定の相手を作ろうか悩んでるんだけど」と相談しました。

 内容について相談したのは、これが唯一ですね。


 Nは「あの夜斗に朝日と暁以上に大切な存在ができるとは思えない」と即答しました。

 私もストンと納得して、「そうだよね」と返事をしました。

 読者から見てそれが自然なら、たとえ夜斗が気の毒でも(……ははは……)それが一番いいのだろう、と思いました。


 ……そんな訳で、ユウには「朝日との家族」を、夜斗には「朝日との時間」をあげることにしました。

 そもそも、夜斗がいなければ家族になることはできなかったであろう二人です。

 三人だからこそ、という絶妙なバランスでここまで来てたわけですが……ユウがいなくなり、どうなるんでしょう。

 ……私も知りたい。



④デュークとドゥンケのこと

 パラリュスに混乱をもたらした闇が「神のなれの果て」である、というのはだいぶん前(「異国六景」よりも前)から決めていました。

 でも、ただ「混乱を好む神だったから」というのは嫌だったので、デュークの物語を考えました。

 デュークもただ混沌が好きだった訳ではなく、ちゃんとした理由がある、というのにしたかった。

 デュークを狂わせたのは「愛」ですが、最後にデュークを救ったのもまた「愛」だった、というところが気に入っています。


 デュークがジャスラを好きだったのは、本人も述べているように自分の存在をちゃんと見てくれていたからなんですね。

 不遇に育ったやさぐれた少年に、幼馴染のお姉さんだけはずっと優しくしてくれた、だから特別な存在で大好き、みたいな感じでしょうか(すりこみに近い……)。

 ですので、実際のデュークの好みはというと、ジェシカや朝日のように物怖じせずガンガン突っかかってくるタイプなんじゃないかと思います。


 デュークには、神として、そして特級神の息子としてのプライドがありましたから、ただのヒトの女に惑わされる(=好きになってしまう)のは考えられないことでした。

 ですから、ジェシカのことは最後まで認められなかったんだと思います。


 実際には、それなりに気に入っていたはずです。ドゥンケが幼い子供に成長するぐらいまでは一緒にいたんですから。

 ただ、ジェシカも民から疎まれたことで変わってしまって、デュークが好きだった積極的で気丈な部分が見えなくなったので、面倒に感じ、ウザくなってしまったんだと思います。


 ドゥンケは長い年月を生きてきて、肉体的にも精神的にも神に近かったですから、朝日に惚れるとかそういう感情は生まれていなかったと思います。

 ただ、見知らぬ世界から急に現れた朝日が新鮮で、何千年も止まっていた自分の時間を動かした彼女が眩しく、ただただ大事だったんだと思います。

 ……だって、ドゥンケにとって、たった一人の「他人」ですから。それだけで、もう唯一無二の、特別な存在なんです。


 ですから「ヒトごときが」と言っているデュークの方がよっぽどヒトに近いです。

 デュークはそのことも何となく気づいていたので「堕ちたくない」(デュークにとってはヒトに塗れることは堕ちることだった)とやたら抗っていたんだと思います。



⑤終わりのこと

 私が最初に思い描いたシーンは、天界への光が現れる中、ソータが水那に手を伸ばして「行くぞ」と声をかけるところでした。

 この映像に向かって話を作っていた感じです。


 そのあとの「29.人々のそれから」「30.遺された者は何を想うか」はゲーム「ス○○オー○○○2」のエンディングをイメージして書いています(個別エンディングだったり、カップルエンディングだったり……)。

 かなり長くなってしまいましたね。いかんせん登場人物が多いので、ちょっとずつ描写してもこんな量になってしまいました。


 初稿では、夜斗と朝日がソータと水那、駆龍(くりゅう)ドゥンケに会うシーンは書きませんでした。

 朝日が泣いて、でもこれから頑張るぞ、と決意するシーンで終わり、エピローグに繋がっていました。

 ここは書かずに察してもらった方がいいかな、と思ったのですが、Nに「飛び過ぎて訳がわからん」と一蹴されたので補完しました。

 でも……何か語り過ぎている気もするんですけどね……。うーん、どうなんでしょう……?

 実は、もし延長戦として何か書くとしたら、このくだりから書こうとか思ってたんですよね……。


 ま、それはさておき、230年後、三女神は元の力を取り戻し、ユウは女神テスラの使徒としてパラリュスに帰ってきます。

 ソータと水那はその功績を認められ、三級神になります。

 その後は三女神と三人で、パラリュスを見守るのでしょう。


 エピローグに登場した朝日の生まれ変わりであるオリエは、前世の記憶はありません。

 何か変な感じがしてサンのところに行くと、サンが慌てた様子で引っ張るのでとりあえず飛んできただけです。

 この先も何かを思い出すことはありません。ユウの方はサンに会ったことで思い出すとは思いますが。


 使徒の力を使えば記憶を呼び覚ますことはできるでしょうが、ユウはそれをしません。

 ユウにとって朝日は一人ですから、自分が救ったパラリュスを眺め、自分の子孫が繁栄していくのを、ただ見守るだけです。それでいいと思っています。


 こうして、終わりを迎えた訳ですよね……。

 相当長い時間、このお話に脳みそを使っていましたから、まだまだ抜けません。

 それがこの『アレコレ』創作になった訳ですが……。


 閲覧いただき、ありがとうございます。

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少年の元に幼い少女が降ってくる あの夏の日に
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其々の物語の主人公たちは今 異国六景
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