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「漆黒の昔方」について

 加瀬優妃と申します。

 旅人達のアレコレ~digression(よもやま話)~にお越し下さり、ありがとうございます。

 今回の内容は……

  「漆黒の昔方」について

でございます。


①世界観について

 テスラ、ウルスラと来たので、同じ世界の三つ目の国にしました。やっぱり「3」というのは座りがいい数字ですよね。

 そのとき、ぱっと映像として思い浮かんだのが、王宮ではなく、深い地中の暗い神殿で、一人の女性が蠢く闇を見つめている、というものでした。

 ……つまり、プロローグの映像です。


 そこから、三つ目は「女王」ではなく「巫女」で、闇を抑えるために地中深くでひっそりと暮らしている、そして飛ばされてきた主人公はその闇をどうにかするために旅をすることになる、というストーリーを考えました。


 ここでちょっと気になっていたのは、前二作とも、異世界と繋がる現実世界「ミュービュリ」はつねに日本である、ということでした。

 彼らにとっての「ミュービュリ」が現実世界の地球全体を指すのなら、日本以外の外国でもいいんじゃないのか、常に日本なのは都合がよすぎるのではないか……。

 そう考えたんですよね。(Nには考え過ぎ、と後で言われましたが……。)


 そこで、彼らの言う「ミュービュリ」とは「日本」である(つまり、繋がるのは必ず日本国内になる)という根拠を作るために、「ヒコヤ」と「三種の神器」の設定を作りました。


 作中では述べられていませんが、ヒコヤの持ってきた「三種の神器」とは、勿論、今、日本に伝えられて奉られている三種の神器とは別物、という設定です。

 しかし、「鏡」「剣」「勾玉」というのはなかなかいいし、前作でちょうど「不思議な剣」も登場しているので、三種の神器がそれぞれ三つの国にある、ということにしよう、と考えました。


 そして合わせて、三女神の設定も考えました。

 「現在」「未来」と来たので、ジャスラは「過去」です。そうすると、大昔に起こったことをすべて把握し、その上で今のヤハトラを築いていることになります。


 ……という訳で、この一つの話を書くために、全部の国の成り立ちも含めた背景を考えないといけなくなり……なかなか大変でした。


 そんな訳で、この時点で、三女神とヒコヤのストーリーはだいたいできあがっていました。

 殴り書きしてあったメモを見ると

・「想い紡ぐ旅人」に出てきた北東の遺跡は女神テスラの最後の地

・フィラは女神テスラとヒコヤの子孫の国

・女神テスラと鏡は東の大地に眠っている

……などは、この時にできたものです。



②主人公のこと

 上にもあるように、前作で登場した「剣」が三種の神器であるならば、ヒコヤにも関係があるということになります。

 ですので、「主人公はトーマの父親にしよう」というのは、割とすぐに決まりました。


 トーマのキャラを作ったとき、「山奥の田舎でじいちゃんと二人暮らし」という設定は大らかな彼らしい背景だよな、と思って決めただけだったんですが、もしものときの設定の余白として「両親については定めないでおこう」という意図もあったのです。


 ちなみに、なぜウルスラで「剣」を登場させたかというと、トーマが剣道の有段者だったから、というただそれだけで、そこまで深くは考えていませんでした。(だってもともと一本のみの話だったから……)

 そしてなぜ剣道の有段者にしたかというと、多少は闘うことになるので主人公は何らかの武道ができる人間にしなければならなかったからです。

 朝日が「空手」だったのでトーマは「剣道」にしました。


 ですが、田舎だと立派な道場とかないだろうし、じいちゃんから教わったことにするしかない。

 ……とすると、じいちゃん自身が有段者じゃないといけない。……だとしたら、元警察官という設定なら、厳しくも暖かいというじいちゃん像に適していていいかもしれない。……そう考えて、この設定になりました。


 さてそうなると……トーマ18歳の時点で、父親はミュービュリには帰ってきていない訳です。

 ジャスラで何があったのか……というところから、この話のエンディングは決まりました。


 前二作と違い、この話に関しては年表を作っていません。四つの祠をめぐり、最後は母親が闇に消える、という大筋だけ決めて、思いつくまま話を書いていきました。

 旅をするのだから途中でいろいろアクシデントはあるだろうし、書きながら動かしていった方がいいと思ったんですね。

 前の二作と違ってずっと主人公の視点で時系列に沿って書いていくことになるので、「一方こちらでは」みたいなことを気にする必要もなかったし……。

 結果として殴り書きメモとは全然違う話になっていったけれど、何か臨場感が出て、かえって良かった気がします。



③キャラの名前について

 主人公の「ソータ」という名前は、これも「トーマ」と同じく音の感じから決まりました。漢字変換したときに「颯太」の字面が一番好きだったので、この名前になりました。

 「風」という字がソータの「旅人」というポジションやキャラに合っているなと感じた、というのもあります。


 そして、この漢字に「風」が入っていたので仲間になるキャラは「水」「火」「土」に関する名前にしよう、と決めました。(相変わらず縛りがないと決められない)


 ヒロインに「水」を選んだのは、運命に翻弄され、流されて生きてきた少女だけれど、最後は強固に自分の使命を貫き通す姿に合っている気がしたからです。

 さんずいの漢字を当てようかとも思ったのですが、「ミズナ」という音の響きが気に入ってそのまま「水」を使いました。


 前二作は「男二人+女一人」だったので、今作は「男一人+女二人」にしようと決めていました。

 ソータたちが最初に訪れるデーフィの領主の娘、ということは確定していたので、山岳地帯に住んでいる「土」の人たち、ということで「土」関連から名前を決めました。


 セッカは漢字で書くなら「石華」、デーフィの皆の憧れ、とか元気の素、とかそんな感じの意味です。

 父親のダンさんは、土ヘンの漢字をずーっと並べて見て、「壇」の意味と音から決めました。


 「火」の仲間は熱いハールの海の男「ホムラ」(=焔)にしようと最初から決めていたので、ハール関連の人名はすべて「火」に関する名前になりました。

 長男レッカ(烈火),三男カガリ(篝火(かがりび)),四男アブル(炙る),レッカの妻キラミ((きらめ)き),レッカの息子エンカ(炎天下)……といった感じです。



④ソータのこと

 前二作の男性キャラと言うと、浮世離れした人(=ユウ)や妙に気が回る人(=夜斗)、物事に動じない人(=トーマ)や仙人みたいな人(=ユズ)で……何というか、「そんな奴おらんやろ~」という人たちばっかりだったので、今回の主人公はその辺にいそうな、リアルな人にしようと思いました。

 それに、フェルティガエではない、元々は普通の大学生ですからね。


 そうして、あまり真面目ではなく、ぶっきらぼうだけど憎めない、不器用で照れ屋な彼ができたのでした(本人は要領よく今までやってきたと思っていますが、単に流されてきただけ)。

 身長が170センチに届かなかったことがコンプレックスで、顔もどちらかというと可愛い系なので、「男らしくカッコよくありたい」という思いが比較的強い人です。

 女の人に対して来る者拒まず去る者追わずで数多くこなしていたのも、自分の価値の再確認のためで、元々そんなに女好きな訳ではありません。


 このキャラができたことは大きかったですね。私が「続きを書いてあげないと」と思ってしまったのは、彼に感情移入し過ぎたからだと思います。


 ちなみにNに好きなキャラを聞いてみたところ

 1位 ソータ  2位 ケーゴ  3位 夜斗  4位 瑠衣子

……というもので、「じいちゃんが2位なの!?」と非常にびっくりしました。

(4位の瑠衣子も相当意外だったけど……)



 Nの「好きなキャラランキング」は相当意外だったんですが……。

 でも、実際のところ、作品を読んで下さった方々はどうだったのでしょう?

 私の予想としては男性キャラだと「ソータ」か「夜斗」、女性キャラだと「朝日」が強いんじゃないかな、と思ってるんですけどね……。


 閲覧いただき、ありがとうございます。

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少年の元に幼い少女が降ってくる あの夏の日に
使命のもと少年は異世界で旅に出る 漆黒の昔方
かつての旅の陰にあった真実 少女の味方
其々の物語の主人公たちは今 異国六景
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其々の状況も想いも変化していく まくあいのこと。
ついに運命の日を迎える 天上の彼方

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