「あの夏の日に」について
加瀬優妃と申します。
旅人達のアレコレ~digression(よもやま話)~にお越し下さり、ありがとうございます。
今回の内容は……
「あの夏の日に」について
でございます。
①リメイクのこと
あとがきにもあったように、これもリメイクで……私にとって、書くのは三回目になります。
一回目は中学生のときなんですが、このときの話の内容は全く覚えていません。
二回目は……高校に入学する春休みです。暇だったので「○○○大賞とかにでも出してみようかな」と思い立ち、原稿用紙で書いてみた、というものでした。
確か、100枚強……40000字程度ですね。結局出さずに何人かのクラスメートに見せたのですが……。
あ、それについては『田舎の民宿「加瀬優妃亭」へようこそ!』の第2話に書いてありますので、ゼヒゼヒ……。
(……そういえば、友人Mちゃんの作った同人誌に寄稿したような気も……)
主人公の男の子の前に同年代の美少女が現れるのですが、実は彼女は宇宙人(!?)で、ある星の千年に一人しか生まれない特別な女王(時を操ることができる唯一の存在)になるはずだったんだけれど、母星が宇宙間戦争に巻き込まれ、彼女の両親によって地球に逃がされていた、というものでした。(ちなみに彼女には両親による封印が施されていて、容姿も地球人に似せてあり、本人の記憶も欠落している、という設定。)
母星の敵に狙われるが撃退 → 何回か撃退するがついに攫われる → 宇宙空間に
主人公を呼び寄せる → 敵の戦艦内から脱出ポッドで出る → 追手を退けるため
の攻防で封印が解けて元の姿(金髪、紫色の瞳)になる → 敵をすべて潰す
→ シィナが別の戦艦に吸収され、主人公も赴く → 同盟を結んだ星の青年で、
両親から託されたシィナの婚約者だった → 運命を受け入れたシィナは主人公
を出会った時間に帰す
……という内容でした。(ちなみにシィナは女王時の名前であり、地球人に化けていたときは紫奈子という名前だったかな)
エンディングと金髪・紫色の瞳の姿が封印で黒髪の美少女になっている、というところだけですかね……元の話から持ってきたのは……。
二つ目の異世界、ということで、「一つの異世界に一つの国とは限らないだろう、別の国が遠くに存在していてもいいんじゃないか?」ということで「ウルスラ」を設定しました。たまたまですが、女王ってところがかぶってたし……。
……いや、多分ですけど、「女の子が男の子を守る」という設定といい、中学生当時の私は「男より強く、退けてしまうくらい特別な女の子」というのが気に入っていたのかもしれませんね。
……何というか、「男子なんかに負けない」というのが前面に出ていた時期だった気がします。(思春期……)
それはさておき、どうやってリメイクしたか、ですよね。
シィナのキャラは、テスラのフレイヤ女王と比べるとあまりにも頼りなかったので、統治している女王ではなく象徴の女王、ということにしました。
「託宣」という現在および近い未来を視るテスラに対し、未来を視ることができる、ということにし、予言を授ける存在として人々にかしずかれている、ということにすれば、キャラの頼りなさは問題にならないだろう、と思ったんですね。
……で、あとは一からウルスラという国の設定を作り、ユズやギャレット、シャロットなどの背景を決めました(これを決めないと話が始まらないという……)。
まぁ、例によって年表の作成です。(ちなみにスミレがいた1000年前およびギャレットが皇女になる28年前からガッツリ作ってありました)
当初は「ユズ」を主人公として書こうとしたんですが、あまりにも物静かなキャラが肌に合わず、また「ユズ」の一人称では最初からネタバレし放題なので、「トーマ」を主人公にしました。
人見知りで不思議な力もあるユズが誰かと友人になるとしたら、それはどういう状況でどういう性格だろう、と考えたら、あのような田舎のおおらかな少年になった訳ですね。
……そうなんですよ。よく考えたら、主な登場人物の中で一番最後にできたキャラが、主人公であるトーマなんです。
②名前のこと
「ユズ」というのがポンと出てきて、「ユズ」と呼んだり呼ばれたりするのはいいな、と思って決めました。「トーマ」もカタカナが先で、これも音が気に入って、です(十馬は当て字)。なので作中ではもっぱらカタカナになっています。
「シィナ」は元作品の女王名なのですが、本名にしては短い気がしたので間を足して「シルヴァーナ」にしました。
……基本、女王の血族の長子系は「○○ナ」次子系は「○○ト」で統一しました。決めておいた方が迷わないし、間違わないからです。
トーマとユズの名字については……トーマの「中平」が先にぽーんと決まったので、ユズは「高中低」から「高坂」になりました(……そんな訳で、次作の水那は「低」から「比企」になったのです)。
まぁ、名字で呼ばれることは全くありませんから……どうでもいいっちゃどうでもいいんですけどね。
でも、ここでトーマの名字が「中平」だと覚えている方がいらっしゃれば、次作「漆黒の昔方」の冒頭の電話のシーンで何か気付かれたかもしれませんね。
……そんな方がもし、いらっしゃったら……ちょっとスゴいですね。
とても嬉しいです!
気づいたよ、という方、是非カセユキまでご一報を……!
②エンディングのこと
エンディングだけは同じにすると決めていました。
旧題「さよならの瞬間」は「出会った瞬間」でもある、というのが気に入っていたんですけどね……。
そうか……ネタバレになるのか……。(--;)
「あの夏の日に」は急きょ決めたものだし、サブタイトルの漢字2字もとりあえずって感じだったし……どっちもあんまりしっくりきてはいません。
ひょっとしたら、いつかタイトルだけ全部変えてしまうかもしれません。(いい案が浮かべば……)
③この作品の存在意義
一本の話としてはちょっと弱い、という感じは否めないですね。完全に私の力量不足なんですが……。
でも、「漆黒の昔方」への前フリ、と考えれば……。
(ちょっとひどいかも。ごめんよ、トーマ)
これから続く長いシリーズのうちの一つ、としてみるのが、正しい解釈かもしれません。
もしこれから読む方がいらっしゃれば……そんな認識で読んでいただければ、と思います。
『田舎の民宿「加瀬優妃亭」へようこそ!』でも述べたように、これは出版社からの講評がよくなかったんですね。
でも、若い女の子対象であれば、そうヒドくはないのでは?……と思ったりしてるのですが。
閲覧いただき、ありがとうございます。
7/23 追記
改稿にあたり、サブタイトルをすべて付け直しました。
1話あたりの分量を減らしたので、少しは読みやすくなっているといいのですが……。