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6 私はダメンズウォーカー

ロバート先生が上機嫌で帰っていった。

いい先生だなあ。頭が下がる。

それにしても、薄い本だったけど重かった。装丁は本屋さんで売られてるようなハードカバーな感じなのに、手書きだったYO! しかも使い込まれてた。本は、全部手書きなのか? 活版印刷ってまだ発明されてないかも。

ロバート先生が説明を書いていた紙だって、分厚くて、なんか小さい穴がぼつぼつ開いてたし。すっごい書きにくそうな紙だった。あっ、あれもしかして羊皮紙かな。ぼつぼつは毛穴っ!?


つらつら考えながら自室に戻るため、廊下を歩いてるんだけど、いやあ、立派な廊下です。なげー。学校の廊下なみ。どんだけでかいんだろうこの屋敷。そのうち探検しよう。

コリーナが一緒だから、あまりきょろきょろできないなあ。

 

部屋でゆっくりしようかなと思ったら、勉強した後、そのまんまだった。

コリーナがテーブルを片付けている、無言で。

ちらちらと私を見る、無言で。


むむう。なんかやばいかも。とりあえず外に逃げよう。

「庭を散歩してくるわ」

「わ、わかりました、お嬢様」

コリーナはそう言って日傘を渡してくれた。

「ありがとう」

お礼を言ったら、コリーナがフリーズした。うおっ! お礼言ったらまずいのか?

逃げるように部屋を出た。


さっきお昼を食べた1階のダイニングルームへ行く途中で、庭に続くでかい窓を見たのを覚えてる。

現在の部屋は2階なので、階段を降りてでかい窓を目指す。

いやあ、まいったなあ。やっぱり別人だよねえ。エリザベートと同じ行動なんて取れないよ。

無事庭に出た。あら、きれい。バラが色とりどりに咲いている。

おっと、忘れずに日傘をささないと。ってか、私元の世界でも日傘使わない人だったから、結構新鮮。

ドレス着て、日傘差して、バラの庭をそぞろ歩き。

いやーん。お嬢様みたい。あっ、お嬢様か。正真正銘の貴族のお嬢様だったな。忘れそう。


ゆっくり庭を散策していたら、ごっつい金髪の大男が目の前に現れた!

でかっ! アメリカに旅行に行ったとき、偶然すれ違ったプロのアメフト選手ぐらいでかっ!

にやっと笑いながら大男が寄ってきた。え、なに、くんな。そば寄んな。

「エリザベート! 会いたかった!」

私を抱きしめようとした。えええええええ!思わず逃げた。

「どうしたんだ? エリザベート? 風邪なのに見舞いに来なかったのを怒っているのか?

いろいろと忙しく時間がなくて。私の麗しの君、許してくれ」

見舞いに来なかった? 私の麗しの君?

こいつがエリザベートのマルク様かっ!


・・・・・・趣味わるー。エリザベート、趣味悪すぎ。

黙って見てたら一生懸命、見舞いに来なかった言い訳を続けてるけどさ。言い訳になってないよ? まとめると、「遊ぶのに忙しくておめーの見舞いに来る時間なんてなかったぜ」って言ってるよ、こいつ。

忙しいって女の尻追っかけんのに忙しかったんじゃない? 酒と白粉の匂いがするもん。

こーんな頭悪そうな、不誠実そうな男のどこがいいの?

反対している父親グッジョブ!


「どうして口を開いてくれないんだ、愛しのエリザベート」

「・・・・・まだ体が本調子じゃなくて。ごほごほ。うつると大変ですわ。もう少しお離れになって」

しっしっと手を振ってみた。

「う、うつる?」

おーっと、ものすごい速さで後方にひいた。

「あ、あー、これを見てくれたまえ、エリザベート」

そういって手に持っていた小箱を開けた。キラキラキラキラ。おおう、宝石の輝き。

む、こいつセンスはいいな。黄ダイヤのネックレスとイヤリングのセット、すごいきれいで可愛い。

「君が僕にプレゼントしてくれた宝石。いつも持っているよ」

・・・・いつも箱持ってんの? 無用心なヤツだな。ってかそんな訳ないだろ。

「君は好きなように使ってと渡してくれたけど、見てごらん。一つも欠けてないだろう?

君は箱を見る度に足りない、愛が足りないといって、宝石を箱に入れてくれるけど、そんな事は必要ないんだ! 2人の愛が足りないわけがないじゃないか。

だから今日、僕は返すよ。宝石を全て返す。変わりに君の愛が欲しい」

マルクが膝まずいて、宝石箱を私に差し出した。


つまりエリザベートはこいつに貢いでるわけ?

で、これって、もしかして2人のお約束なわけ?

マルクが宝石箱を差し出して返す変わりに、愛が欲しいって言って。こんな数じゃ愛が足りないってエリザベートがさらに宝石をこいつにあげてるわけ?

バカじゃない? ほんと、エリザベート、バカじゃない?


黙ってたらまたマルクがべらべらとしゃべり始めた。

「君をさらって逃げて欲しいと言われたけど、やはりそれはできない。君のためにならない! 君は伯爵令嬢だ。逃亡生活なんて無理だ」

お? 以外に常識派? だよね、エリザベートが平民の生活なんて無理無理無理無理。

「だから、一度だけ僕のものになって欲しい。君の思い出が、愛が欲しい」

・・・・・前言撤回。結婚はする気ねーけど、一発やろうぜってか、おい! さいてー。

「君に アクセサリーを全て返す。変わりに君の愛が欲しい」


私はにっこり笑って宝石箱を取り返した。

「わかりました。じゃあ返していただきます」

「えっ、いやっ、えっ!? ほっ、本当に?」

マルクが立ち上がって満面の笑みで私を見る。立ち上がんな。でかい。うざい。

「君の愛をくれるんだね。嬉しいよ。君のためにならいつでも時間をあけるから」

なんか叫んでたけど知らんわ。宝石よりも一発やりたいってか。


はあー。

私って、私って、男の趣味最悪!


これがダメンズウォーカーってやつ?

いや一人だけだけどさ。


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