3 私はわがまま
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「エリザベート! 意識が戻ったと聞いたぞ!」「ベス! 心配したのよっ」
壮年の麗しい中年男性と、これまた美しい中年女性が入ってきた。
「旦那様、奥様」
涙を拭きながらコリーナがベッドから離れ、お辞儀をして脇に控える。
きっとこのお二人が両親だな。
すみません。心配したよね。
どうしよう、本当のこと言ったほうがいいのか? 信じられないよねー。それに信じられたらどうなる? 私、この家追い出されちゃう? それは困る。いや、そんな打算的な。この2人には可愛い娘だよ。娘の中身が別人だったら、私なら知りたい。でも、、、どうしよう。頭がおかしくなったと思われたら。記憶喪失でいく? そういやー小さい頃、1回記憶喪失になったっけ。
うーん。とりあえず、娘のふりしとこう。ごめんなさい。
「ごめんなさい。心配かけてしまって」
「!?」
あれ、二人がフリーズ?
「エ、エ、エリザベートが謝った?」
「打ち所が悪かったのかしらっ!? いえ良かったの?」
何気にひどいこと言うなこの母親。
「気分が悪いのか? 大丈夫か?」
わたわたと父親が私の手を握る。
「無理しないでいいのよ? 横になった方がいいわ」
私の顔を胸にかき抱く母親。
愛されてるんだなあ。ごめんなさいね、心配かけて。本当のこと言わなくて。
、、、、、、、、お母さん、お父さん、、、、。心配してるかな。それとも私死んじゃって泣いててくれてるのかな。あ、涙出てきた。
「エリザベート、大丈夫か?」
「意識取り戻したんですって?」
両親に囲まれ涙しているところに新たな侵入者が。これまた、きらっきらの美しい男性。エリザベートの男性版。目がやられるう。
「父上も母上もエリザベートに甘いなあ。はははは」
もう1人は似てるんだけど、パーツは似ているんだけど、普通の女性。DNAって不思議だわあ。
髪は燃えるような赤毛。とってもきれい!
「あんなバカな事したんだから、お父様とお母様はちゃんとしかるべきよ!」
たぶん、兄弟だな。兄と姉?
「エリオット、ビアンカ。やっと意識が戻った可愛い妹をもっと気遣ったらどうなの?」
ほうほう。きらきらが兄のエリオットで、赤毛の女性が姉のビアンカね。
「もちろん心配してますよ。もう大丈夫かい?」
「心配よりもあきれてるわよ。いい物笑いの種だわ」
「エリザベートは風邪をひいているだけだ。よいな?」
さすがに狂言自殺しましたーとは言えないわよね。なるほど。風邪をひいたことになっているのね。
疲れているだろうからとみんな出て行った。と思ったら姉のビアンカが1人戻ってきた。
「エリザベート。あなたに大甘なお父様が、マルクとのことは決して許さないのよ? いい加減目をさましなさい。」
指を私に付きつけて言う。
「それから毎日婚約者のアルベルト様がお見舞いに来てくださったわよ。あなたが変な条件つけてるから、お会いせずに帰ったけど」
はあーとため息をつきながらビアンカが退室した。やさしいお姉ちゃんだなあ。
ん?変な条件? なにそれ。
私を横に寝かせながらコリーナが教えてくれた。
「お嬢様がお決めになったじゃありませんか。アルベルト様にお会いするのは
10日に一度、
晴れていること、
前日に雨が降らなかったこと、
お嬢様がお寝坊されなかったこと、
その日に夜会がないこと、
という条件があてはまった日だけですわ」
えー? どこのかぐや姫よ。
ってかそれでよく婚約してるなアルベルト。
ってか、てか、私って、すげー、わがまま。