ヌコってかわいいよね
はじめまして黒服です。
今回が初めての小説となっています。
まだまだ至らない所も多いでしょうがアドバイスや感想など下さると嬉しいです。
なお、受験生のため不定期な亀更新となります。
申し訳ありません。
「えーと…あなたが宇佐見さん…ですか?」
輝く月と澄んだ夜空の下そう首を少し傾げながら言った少女は頼りなく猫みたいな雰囲気を纏っていて、でも神々しくて…僕はとても愛でたくなった。
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4月6日待ちに待った高校デビューの日だ。
周りの同級生達は近場の公立を第一志望にする中、どこまでもロマンに溢れた高校を探した結果10月末に巡り会った運命の高校。
私立明凌高校。
ここは様々な部活動があり進学率もまぁまぁ。
おまけに校舎もきれいで家からは電車を使い約1時間。
そんな訳で7時には家を出て駅を目指す。
乗り換えなしなので、ただ延々と車内で寝ていると駅に着く。
因みに親は後から学校へ来る手筈だ。
駅を出て徒歩6分の我が母校となる校舎を目指しているとコンビニが見えてきた。
腕時計を確認すると現在時刻は7時50分、8時15分までに着けば充分なので眠気覚ましに缶コーヒーでも飲むかなと入ろうとすると、ドンッという音と共に体に衝撃が走る。
下を見ると少し釣り上がった目にサイドポニーの女の子が頭を抑えている。
「あ、あのー」
「いってー…って時間やば!?あ、そこの人ぶつかってごめんねーでは!!」
話し掛けようとすると何か色々と、まくし立てて走って行ってしまう。
(あれ同じ新入生だよな…時計見間違えたのか?)
そう適当に考えてから缶コーヒーを買うという本来の目的を思い出しコンビニへと入っていくのだった。
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今はあれから学校へ着き入学式を半分寝た状態でやり過ごし、クラスへと戻ってきて自己紹介へと移っている。
前の人が自己紹介を終え席に座るのを確認すると席を立ち何となく頭で考えていた文章を読む。
「えーと、出席番号3番の宇佐見 明人です。趣味は写真撮影とか昼寝とかで得意科目は国語、苦手科目は英語です。1年間よろしくおねがいします」
そう言って席に付くと、まばらな拍手が起こる。
それからも何となーく自己紹介を聞き流していると、女子の紹介に移った。
「出席番号16番(女子の最初、クラス総数は35人)青山 桜子です。サクって読んでください。趣味は青春巡りです!!」
と、よく分からん趣味を言い放ち座った女の子を見ていると何だか見覚えがある気がしてきた。
必死に記憶を探っていると今朝の登校中で脳内検索機はストップをかける。
(あっ今朝の娘だ)
それは、今朝ぶつかってきて現在、時計見間違え疑惑がかけられているサイドポニー娘だった。
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放課後になると親と共に帰る者や友達と帰る者、一人で帰る者と様々だった。
因みに僕は一人で帰る者だ。
同じ中学出身は女子だけだし友達もまだ出来てない。
親は入学式が終わると、さっさと帰って行った。
朝と同じ道を歩いていると登校中にぶつかってきた女―青山桜子がいた。
何だかコンビニの自動扉の前でキョロキョロしているので扉が開いたり閉まったりとせわしなく動いている。
(あの人…なにやってんだ?)
訝しみながらもスルーという選択肢を取る事を決め横を通り過ぎようとする。
「あっ!!いたいた、ねぇ君、朝の人でしょ!?ねぇってば!」
すると突然、腕を捕まれて朝同様にまくし立てられる。
「あー…多分そうだけど青山さん何か用?」
そう言うと青山さんは何か驚いた様な表情をする。
「あうぇ、えっと朝はごめんなさい!!時計が昨日から止まってて時間を勘違いしちゃって…でも何で私の名前知ってるのかしら?」
(同じクラスって知らないのか)
「一応同じクラスなんだけどね、出席番号3番の宇佐見 明人です。よろしく」
そうこっちが自己紹介をすると少し慌てて青山さんも自己紹介をする。
「えっそうだったんだ…ごめんなさい。改めまして青山桜子です。こっちこそよろしくね」
その後、すぐに青山さんのご両親が迎えに来て結局そこでさよならした。
もしかして一緒に帰れるかも!?とか思っていたから虚しさが込み上げてくる。
べっ別にさびしくなんてないんだからねッ!!
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家に付くと即効でベッドへと向かいダイブする。
ドッと気持ちのいい疲労感が込み上げて来て母親の晩御飯よ~という声を聞きながら眠りにつく。
(んっ…寝ちゃったのか)
時計を確認すると深夜2時をまわっている。
(あっ月がきれいだわー風情があるな)
部屋についてる小さなベランダへと続く窓から夜空に浮かぶ月が見える。
その透き通った夜空は今日も晴天だと言うことを告げているようだ。
(うっし!!寝汗かいたし夜風でもあびるかね)
そう考えてベランダへと続く窓を開けた途端
―チリンッ
と鈴の音が鳴った。気になり、そちらを振り向いて見ると身長160cmくらいの猫目で、でかい鈴が2つついたマフラー様なものを首にかけている美少女が立っていた。
「えっ…?」
「えーと…あなたが宇佐見さん…ですか?」
感想などくれると嬉しいです。