七夕飾りに【200文字小説】
七夕飾りに願いを書いたはずなのに
やってきた貴方はいったいだあれ?
男と女が空の上
愛を確かめ合うこの日
彼らは気まぐれに願いを叶える
少女は家族が嫌いだった
自分と似てない弟が
どこか他所他所しい両親が
混血児のような顔が
大嫌いだった
だから少女は願った
幸せなカップルに願った
星は言った
「その願いなら叶えてあげよう」
少女は夢見た
幸せな家族を夢見た
家族皆で仲良く眠る夢を
数日後、少女は無残に死んだ
車にひき潰された彼女は
教会の裏の墓に入れられた
少女の家族は今日も見舞う
両親の親友の墓を
願いは叶えられた。
そこの貴方は、答えが分かりましたか?
星は願いをきちんと叶えています。