ホラー映画ってただ大きな音にビビってるだけなんじゃないの?
いきなり作品タイトルに身もフタも無いことを書いてしまった。
言いたい事はほぼタイトルの1行に尽きるのだが、これについて他の人たちは一体どう思っているのだろう。
実際、ホラー映画って、急に大きな音を出して見ている人をビビらせるだけの映画なんじゃないか。
そしてそのビビらせ方も、割とパターンが決まっているんじゃなかろうか。
ホラー映画が好きじゃない僕がホラー映画を語るのもどうかと思うが、僕がイメージするホラー映画のビビらせ方をパターン化すると、ざっと以下の通りである。
■パターン1.『どストレート』
部屋で寛いでいると、カーテン越しに窓から何か音がする。
なんだろう、と不審に思ってカーテンを開けると、「デデン!」という大きな効果音と共に、異様なモノが窓の外からこっちを覗き込んでいて「ギャーッ!」
これが最も古典的なパターン。
単純すぎて、見ている側が「くるぞ、くるぞ」という心の準備が出来てしまうので、あまりビビらせることが出来ない。絶滅危惧種認定。
■パターン2.『時間差&振り向きざま』
部屋で寛いでいると、カーテン越しに窓から何か音がする。
なんだろう、と不審に思ってカーテンを開けてみるが、何も変わったところは無い。
ホッとしてカーテンを閉めて振り返ると、「デデン!」という大きな効果音と共に、異様なモノが目の前に現れて「ギャーッ!」
もはやこちらが基本形と言っていい。
一度安心した直後にビビらせるパターンだ。
異様なモノがどうやって背後に回ったのかはいつも不明。
異様なモノに追いかけられて必死に走って逃げ、後ろを振り返るともう追ってくる様子が無い。
ホッとして前に向き直ると、なぜか目の前にそいつが居て「ギャーッ!」
……っていうパターンもありがち。
「そんな先回りができるなら、そもそも追いかける必要なんか無いだろ。最初から先回りしろよ」と言いたくなる。
■パターン3.『なんだ、お前か』
部屋で寛いでいると、カーテン越しに窓から何か音がする。
なんだろう、と不審に思ってカーテンを開けてみるが、何も変わったところは無い。
ホッとしてカーテンを閉めたとたん、いきなり誰かに肩を掴まれて「デデン!」
振り返るとそれは息子だった。
これはフェイントの一種で、普通の人間にビビらせられるパターン。
部屋の電話が突然鳴り始めて「なんだ、電話か」のパターンや、突然目が覚めて「なんだ、夢か」の夢オチも分類としては同じと見ていいだろう。
■パターン4.前触れ無し
別にどうという事の無いシーンで、突然「デデン!」という大きな効果音と共に、異様なモノが目の前に現れて「ギャーッ!」
簡単に言うと、パターン1~3以外の『不意打ち』がこれ。
……とまぁ、細かく書き始めるとキリが無いが、とりあえず僕の偏見にしたがってホラー映画のビビらせパターンをまとめてみた。
どのパターンもドキッとさせられる訳だけど、いずれにしても、水を打ったようにシーンとした静けさの中で急に大きな音を出されてドキッとするのは、怖いからではなく驚いたからである。
静かな席で突然、隣のオヤジが大声で「へクション!」とくしゃみをすると、こっちの身体がビクッとなるのと原理は同じで、ビクッとするのは驚いたからであって、怖いからではない。
ホラー映画では、よく連続殺人鬼のような人物が不意に大きな効果音と共に登場したりするが、リアルな連続殺人鬼の場合は、当然のことながら、登場する際に効果音が鳴ったりはしない。
現実には効果音なんてまったく鳴らないのである。
お化けや幽霊もその類で、柳の下の幽霊は古典的には「ヒュードロドロドロ……」という効果音を伴って登場する訳だが、仮にオバケや幽霊が現実に存在したとしても、それらが効果音付きで出てくることはあり得ない。
つまり効果音は、ホラーの内容そのものではなく音による演出であって、僕らはその演出にビビっているのである。
突然大きな音を出してビビらせるのが目的なら、隣のオヤジのくしゃみでも事足りるのだから(もちろん、オヤジのくしゃみはホラーなどではなく突然の騒音にすぎない)、ホラー映画の価値はいかに効果音でビビらせるかで決まるのではなく、いかにその内容の怖さや不気味さでビビらせるかで決まるのだと僕は思う。
したがって、それが本当に(内容的に)怖いホラーなのかどうかを判断する最善の方法は、消音状態で鑑賞することだ。
これなら効果音にビビるということが無くなって、純粋にその内容の怖さを判断することができるからである。(ただしセリフの音も消えてしまうので、字幕付きの状態で見る必要があるが)
しかしながら、これは実際に試してみればすぐに分かる事であるが、消音状態でホラー映画を見たって、ちっとも怖くないのである。
そこで改めてタイトルに挙げた疑問が真実味を帯びてくる。
「ホラー映画ってただ大きな音にビビってるだけなんじゃないの?」という疑問である。
消音状態で見たからといってストーリーの内容や展開が変わるわけではない。
にも関わらず、消音状態で見ると怖くないということは、僕らがホラー映画を怖がっている原因が「音」にあるのは明らかだ。
そして先ほども書いた通り、それは正確に言えば怖がっているのではなく、驚いているのである。
……と、以上が僕がここで言いたかった内容だ。
それでは最後に、恐怖映像の定番ナレーションをパクりながらこの文章を締めくくることにしよう。
お分かりいただけただろうか。




