第1話: 消えた100兆ギル、疑惑の幕開け
俺の名前はタカシ、28歳。日本の冴えないサラリーマンだったが、トラックに轢かれて異世界エテルナに転生。授かったチートスキルは「バリアスキル」。攻撃を防ぐ、空間を操る、結界を張る、なんでもありの最強スキルだ。3年前、ギルドバンクの銀行長グラウスに見出され、異世界最大の正規銀行「ギルドバンク」の金庫番に任命された。俺のバリア空間で管理するのは、100兆ギル――エテルナ全土を揺るがす伝説の財宝だ。帝国を丸ごと買収し、ドラゴン王の宝を凌駕する、途方もない金額。ギルドバンクは冒険者ギルドが運営する金融の要で、貴族、帝国、エルフ、ドワーフが金を預ける、鉄壁の信頼を誇る機関だ。
その日、金庫室でバリア空間を確認すると――100兆ギルが、跡形もなく消えていた。「は!? なんだこれ!?」俺は叫びながらバリアを再チェック。金貨一枚すら残ってねえ。頭が真っ白になる中、銀行長グラウスが金庫室に飛び込んできた。でっぷりした体に、鋭い目。いつもは落ち着いた紳士だが、今は別人だ。
「タカシ! 100兆ギルが消えただと!? お前のバリアが破られたんだ! 裏切り者め!」グラウスの声は怒りに震え、目は血走ってる。
「違う! 俺じゃない! バリアは完璧だった! 誰かがハックしたんだ!」俺は必死に弁解するが、グラウスは冷たく言い放つ。「お前しかバリアにアクセスできない。盗んだのはお前だ!」その場で追放を言い渡され、金庫室から叩き出された。
ギルドバンクの外はカオスだ。冒険者、商人、帝国の使者が叫び合う。「100兆ギルが消えた!」「タカシが盗んだんだ!」「魔王の呪いだ!」「銀行の腐敗だ!」ギルド掲示板には、俺の似顔絵が「賞金首:タカシ、100兆ギルの窃盗犯、報酬1億ギル」と貼られ、街中が敵だらけ。冒険者が剣を抜き、暗殺者が影から睨む。俺はバリアで身を守りながら路地裏に逃げ込んだ。
酒場ではさらに噂が過熱。「100兆ギルで天空都市を動かせる!」「神の力を呼び覚ます儀式に使うんだ!」「タカシは帝国に金を売った!」って、ふざけんな、俺がそんなことするわけねえ! だが、グラウスのあの目、妙に芝居がかってた気がする……。いや、考えすぎか?
隠れながら、バリア空間を解析。微かな「残響」が残ってる。誰かが空間魔法でバリアをハックした痕跡だ。さらに、金貨に付着していた「呪いの刻印」の魔力を検知。こいつはただの金じゃなく、魔力を増幅する触媒だ。儀式? 何のために? 「俺のバリアを破った奴、絶対見つけてやる!」俺は拳を握った。
情報屋から、霧の港の闇市場で100兆ギルの一部が取引されてる噂を入手。そこに行けば手がかりが掴める。だが、接触してきたのは、怪しい情報屋のゼノス。元冒険者の元僧侶で、癒やし魔法使い。ニヤケ顔がムカつく。「タカシ、100兆ギルの件、俺が手がかりを掴んでやるよ。霧の港、案内しようか?」
「お前、なんでそんな情報持ってる?」俺は警戒するが、ゼノスは笑う。「情報屋の仕事さ。疑うなら置いてくぜ?」怪しいが、他に頼る奴がいない。俺はゼノスと霧の港へ向かう決意をした。グラウスの怒り、呪いの刻印、空間ハック……ギルドバンクの裏に、でかい陰謀が潜んでる気がする。
(物語は続く! 霧の港での戦い、ゼノスの怪しさ、新たな手がかり! 真相は12話で明らかに!)