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夜明け

見えない少女、カイダ。

彼女の世界は暗闇と静寂、そして母の温もりだけだった。

しかし、ある夜「何か」が彼女の感覚を打ち砕く。

世界の外で何が起きているのか?

目が見えない彼女だけが“それ”を感じ取ってしまった――。


これは、闇の中で光を探す少女の物語。




カイダの指が壁の穴をなぞり、彼女の心は静かにそれぞれを数えていた。彼女はいつも数えていた――石、歩数、呼吸。それが、この静寂の中で自分を保つ唯一の方法だった。


彼女のエネルギーの波動が洞窟を駆け抜け、柔らかな波のように広がった。彼女はすべてを感じ取ることができた――外の木々、樹皮を這う虫たち、近くで巣を作る動物たちの呼吸までも。命が地面の下で響いていた。


「カイダ?」母の声が部屋に漂い、優しく慎重に響いた。


カイダは首を傾けた。「ママ?」


「なんで寝てないの?もう遅いのよ。」


彼女は壁から手を離した。遅い?彼女にはわかるはずがなかった――太陽も月も、移ろう光も知らない。彼女は夜明けも夕暮れも見たことがなかった。


これが、虚無に満ちた闇の中の生活。


これが、盲目の少女の生活だった。


「眠くなかったの」とカイダは簡単に答えた。それは本当のことを説明するよりも楽だった。彼女はほとんど、真に眠ることがなかった。ほとんどの夜、目を閉じてじっと横たわり、母の帰りを待っていた。


母は何を見回っているのか、なぜなのかを決して言わなかった。カイダは尋ねたことがなかった。彼女は洞窟を出たことがなかった。村に足を踏み入れたことも、他の誰かと話したこともなかった。


「寝なさい」と静かな命令が響いた。「明日、消耗してほしくないの。」


カイダは母が息を吸い込む音を聞いた。落ち着いているように聞こえたが――カイダにはわかった。何かがおかしい。彼女は母の方へ向き直った。視覚ではなく、別の感覚で。


部屋は白く穏やかなエネルギーで満ちていた。その中央に、オレンジ色の炎――それが母だった。


でも、その炎の一部が、いつもよりも薄暗かった。


「怪我してる」とカイダは静かに言い、首を傾けた。


「ちがうわ――もちろんちがう」母はあまりにも早く答えた。「大丈夫よ。」


「ほんとうに――」


「大丈夫って言ったでしょ。」その口調は硬かった。続いた沈黙は重かった。


カイダはうなずいて、再び横になり、ゆっくりと呼吸をして、眠っているふりをした。


母が部屋を動き回りながら、痛みをこらえている小さな音を抑えているのを、彼女はじっと感じていた。母が隠したかった傷を手当てしていた。隣のベッドが揺れ、やがて静まった。


母はようやく横になった。


カイダは目を開けた。果てしない黒。


彼女は母の呼吸を数えた。数分ごとに壁に指を当てた――温かければ夜。冷たければ朝。


その静けさの中、カイダは再びエネルギーを伸ばした。洞窟の慣れ親しんだ白い輝き、森の木々の鼓動、大地の震え……そして――


何か新しいもの。


何か暗いもの。


異質なエネルギーの鋭いとげが彼女の感覚を突き刺し、彼女を跳ね起こした。それは今までに感じたことのないものだった――重く、濃く、間違っている。


母が隣で身じろぎした。彼女はすでに動いていた。


「ママ――?」


「中にいなさい」その声は、きっぱりと速かった。「戻るまで絶対に出てはだめ。」


カイダはベッドから足を下ろした。「ママ、何が起きてるの?」


「説明してる時間がないの」足音が速くなった。「お願い――ここにいて。」


温かい腕が一瞬、カイダを包んだ。額にキス。それだけ。


カイダは固まったまま座っていた。胸が締めつけられ、得体の知れない温かさが肋骨の下で膨らんだ。それは名前のない感情で、混乱と恐怖で燃えていた。身体が震え、呼吸が不安定になった。


彼女は床に滑り落ち、壁にもたれてその温もりを感じた。


大丈夫、大丈夫。


彼女は何度も自分にそう言い聞かせ、身体を丸めて、顔を膝に埋めた。





***** ***** ****

カイダは時間を数えながら、数秒ごとに洞窟の壁に指をなぞり、温かさから冷たさへのゆっくりとした変化を確かめていた。


温度がわずかに、微妙に下がった瞬間、彼女はパッと体を起こした。裸足で地面に立ち、記憶だけを頼りに外へ駆け出した。


空気が彼女の顔を打った。その感触は嘘のようだった。


いつもより暖かかった――それもこれまでのどの朝よりも暖かかった。カイダはその違いを数えきれないほど覚えていた。風の動き、外の世界のリズムのすべてを。


しかし今は?


足元に震えがなかった。


大地の鼓動もなかった。


遠くから聞こえる生命の響きもなかった。


ただ、静寂。動かない空気。虚しさだけ。


何かがおかしい。


カイダは震える息を吸い込み、全ての力を集中して母の気配を探した。たった一瞬でも感じられれば、胸のパニックは和らぐかもしれない。


彼女は爪が手のひらに食い込むほど強く拳を握ったが――


何もなかった。


火花も、温もりも、母の痕跡も。


心臓が胸の中で跳ね上がった。


何かを感じるはずだった。


何かが絶対にあるはずだった。


恐怖と本能が嵐のように襲いかかり、思考が激しく揺れた。心は「行け」と叫び、頭は「止まれ」とささやいた。


カイダは頭を振り、動けなくなる恐怖を振り切った。


そして走った。


最初は躊躇うように歩き、だんだん速くなり、やがて息も乱れ、森の中を村へ向かって全力で駆け出した。


結果なんて気にしない。


走るほどに空気は重くなり、近づくにつれてエネルギーは歪んでいった――奇妙で乾いていて空っぽだった。壊れた炎のように揺らめき、弱くなったり鋭くなったりを繰り返す。


それは前の夜に感じた、あの見知らぬエネルギーと同じだった。


カイダは自分をさらに追い込み、村が見えてきたその時――


空気が彼女の呼吸を奪った。足はもう地についていなかった。走っていなかった。


彼女は抱きかかえられていた。


強く、見知らぬ腕が彼女を包み込んでいた。彼女は恐怖で体をひねった。


それは母の手ではなかった。


カイダは動きを止めて、エネルギーに集中した――


人間のものだった。


少し息を吐いたが、安心はしなかった。その人物は知らない人で、何を望んでいるかもわからなかった。


母が教えてくれたことがあるなら、それは「知らない人は信じるな」ということだった。


「離して」と、低くはっきりした声で言った。


相手は彼女の口調に緊張した。


「ショック状態だろう。疲れている」と男の冷静すぎる声が続いた。「でも安心しろ……安全な場所へ連れて行く。」


カイダは眉をひそめた。安全?


「降ろして」彼女は彼の胸に手を押し当てて強く押した。「知らない人だ。母は私を探すはず!」


「まずありえないな」彼はそう言いながら、彼女をもっと強く抱き締めた。彼らは空中を高速で駆け抜け、静かに着地したが、彼の走りは止まらなかった。


「母のことを知らないんだな。離して。母が探し始める前に、私が見つけないと。」


鋭いため息。


「信じろ、ここに誰もいない。静かにしなければ、そして抵抗をやめなければ、次はお前だ。」


カイダは理解できず眉をひそめた。彼は母を捨ててこの男について行けと言うのか?知らない男に?彼は降ろさないし、母のもとにも行かせない。


敵以外の何者でもなかった。


カイダは自分でも知らなかった力を振り絞り、彼に強く押し返して二人を遠くへ飛ばした。床に落ちそうになった瞬間、かかとを地面に突き刺して止まった。


見知らぬ男からは音はしなかったが、彼のエネルギーは数マイル先で輝いていた。


明るく、青く、普通の人間より強い。


彼女はもう長居しなかった。閃光のように森の中へ走り込んだ。うまくいけば村へたどり着けるかもしれない。


静寂を切り裂く足音。新しいエネルギーの閃光が彼女を追った。


見知らぬ男だった。


彼のエネルギーが感じられた。彼は誰よりも早く彼女に追いついていた――母さえも。


だがそれは関係なかった。彼女は奴を振り切らなければならなかった。かかとを地面に突き刺し、跳び上がって木の枝を掴んだ。考える前に次の木へ、その次の木へと跳び移り、木々を自分の道として使った。


見知らぬ男は無視した。もう一度跳んで――


脚に手がかかった。


カイダの目が見開かれた。


引きずり降ろされたが、地面に倒れる前に足を振り上げた。男はそれを読んでいて、もう片方の足を掴み、二人は空中で激しくぶつかった。


カイダの体は痛みで震え、地面に衝突した瞬間、痛みが全身に走った。


足音が聞こえた。


「もう終わりか?」見知らぬ男は立ち上がりながら言った。カイダは目を開けて、彼のエネルギーが自分の上に輝いているのを見た。


怒りが湧いた。


彼が手を伸ばす前に、カイダは足を振り上げ、彼の手をバキッと音を立てて挫いた。


彼のエネルギーを追いかけて、彼が着地するのを見た。


「ああ、本気だな――」


彼の言葉を遮り、


カイダは彼に向かって走り出し、手に持った前腕ほどの長さのピンを振りかざした。彼のエネルギーの流れを追い、空中に突き刺した。


男は驚いたように息を呑んだが、彼女の攻撃は全部かわした。彼は盲目の少女がいつか諦めると思っていた。


カイダは諦めなかった。


蹴り、刺し、時に彼が攻撃しないことを不思議に思った。しばらく彼のエネルギーがとても近くにあるのを感じた。


チャンスがあった。


跳び上がって、彼に手を伸ばし、ピンを首元まで2センチまで近づけた――


その時、首にピリッとした痛みが走った。手足が冷たくなり、ピンが床に落ちた。彼のエネルギーがぼやけて消え、次の瞬間、彼女は顔から暗闇へ落ちていった。





この物語を読んでくださった皆様に感謝します。 皆さんに事前にお知らせしたいのですが、私は国籍も血統も日本人ではないので、日本語は母国語ではありません。アニメをたくさん見たり、漫画を読んだりしているので、基本的な日本語の知識はあり. 現在使用しているアプリを使って、できるだけ正確な日本語に翻訳できるよう最善を尽くします。どうかご容赦ください。言葉遣いや 散文の訂正。本当にありがたいので、ご意見やご提案があればお気軽にコメントしてください。CHILUFYAより、たくさんの愛を込めて

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